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INTERVIEW

Japanese

moke(s)

2018年07月号掲載

moke(s)

Member:町田 直隆(Vo/Gt) 海北 大輔(Ba) 小寺 良太(Dr)

Interviewer:高橋 美穂

-でも、町田君と小寺君は、お互い知らない時期があるからこそ、今このバンドで引き出し合えているところがあると思う。そうじゃなければ、小寺君にこんなドッカドカなロック・ドラムを叩いてもらおうとは思わない(笑)。

小寺:わりと繊細だったもんね。

-小寺君のロックなドラムは、moke(s)の衝撃のひとつでした。

小寺:やる機会がなかっただけで、好きなドラマーはDavid Grohl(FOO FIGHTERS/ex-NIRVANA)だし、このバンドでリミッターを外せる場所を得たっていう感じです。自分が理想としているカッコいいロック・ドラマーは、あまり日本にいなくて。音の破壊力が違うんです。でも、いろいろやってきて、そういうものは日本人でも目指せるんじゃないかなって思えて、ここでチャレンジしているところです。

-それは、今作を聴いていてもよくわかります。

町田:僕は、小寺君に関しては先入観がなかったから。予測もつかなかったし。最初のスタジオから、めちゃめちゃロックな人だ! って思った。

小寺:ナメられたくなかったんだろうね(笑)。

町田:良かったー、完全にこっちの人だって思いました(笑)。

-また、初期衝動を出しつつも、実は洗練された楽曲を作っていますよね。だから、ラフ=オルタナティヴじゃない、っていうか。

海北:それぞれが美学を持ってきた結果だと思います、そこは。音楽を衝動で続けるには、美学を持っていないと難しい瞬間がいっぱいあって。町田直隆ってシンガーを見ながら、自分は孤独になりながらも歌い続けるタフさはあるかな? って思うし、心底尊敬する。この人の横に立つことで、フロントマンとしての僕にもフィードバックされているんですよね。もっともっと世の中にも、こんなすげぇ奴がいるってことを、僕自身が拡声器になって伝えたいんです。

町田:ソロ活動で、シンガー・ソングライターと一緒にやってきて、楽しい半面、俺は畑が違うんじゃないかな? と思うことが多かったんです。音楽が好きで歌が好きなところは一緒でも、ルーツの音楽や思考は違う。それで、孤独だったんです。moke(s)をやってはっきりしたのは、俺は、シンガー・ソングライターを10年やってきて、この先もやっていくけど、根本はバンドマンなんだなって。だから、今は水を得た魚です。逆に、自分の根本がはっきりしたことによって、シンガー・ソングライター活動も楽しくなってきたし。

-それぞれのこれまでの活動に還元できているってことですよね。小寺君は? ふたりより、さらに違ったジャンルで叩くことも多そうだけれど。

小寺:現場現場で音楽に向かい合うことには変わりないんです。でも、人を立てる仕事ではあるから、グッと堪える瞬間もある。でも、moke(s)はそれがゼロなんですね。それくらい、タガを外している。僕も水を得た魚ですよ。ドラム人生に張りが出ましたね(笑)。

海北:町田君も俺も、ミュージシャンとして、そんな器用なタイプじゃないんですよ。小寺くんが一番器用で、いろんなニュアンスで叩ける。でも、そんな小寺君が開けていなかったドアを、一番不器用な僕らが開けてしまったっていう。

小寺:完全に開いたね! でも、それが潜在的に一番やりたかったことかもしれない。

町田:だから、moke(s)にはいろんなミラクルがあるんですよ。

-これからも、3人ともmoke(s)以外でも活動していくんですよね。

海北:もちろん。

-でもmoke(s)にも全力を注ぐっていう。

町田:そう。メンバーみんな、サイド・プロジェクトだとは思っていないです。

海北:どこがメインで、どこがサブとかはない。そのときに立っているステージがメインですよ、っていう意識ですね。

町田:まぁ、音を聴いてもらえれば、サイド・プロジェクトだとは思われないでしょうね。

-うん、この話のみならず、今日の話すべてを、今作が語っていますよね。歌詞に関しては、moke(s)ならではの書き方ってありますか?

町田:出してるサウンドが呼んでくる歌詞っていうか。歌詞だけだと意味がわからないかもしれないけれど、音に乗ると説得力を持つものとか。ソロのメロディは、歌詞が呼んでくるものでもあるんです。弾き語りは、ギターしかないから、メッセージを持たせようとすると、歌詞とメロディが重要になってくるんだけど、バンドでは、バンド・サウンドがメッセージになってくれるんで。自分でも想像していなかったような言葉が出てきて面白いんですよね。

-このふたりの影響で出てきた言葉がある?

町田:それは、大いにありますね。

-まさにバンドですね。私は「THORNS&PAINS」が特に好きです。

海北:これは、俺が今作に入れてほしいって言ったの(笑)。実は、あとミニ・アルバム2作出せるくらい曲のストックがあるんだけど、俺は今作にこれをどうしても入れたくて。サビの"反逆者の夜に イマジンが流れてる"を聴くと、こんなロマンチックな歌詞を書けるなんて! って思うよね。

-また"通学カバンに火をつけて眺めていた"も、町田ワールドそのものですよね。

町田:こういうものは、僕の心の中にあって、消えない風景なんですよね。ロックを好きになった中学生のころに見ていた風景っていうか。何回表現しても、表現し足りないんです。解決しないから歌わずにはいられない。解決した瞬間に、僕は歌う必要がなくなるんでしょうね。解決しないからこそ、音楽に向かえているというか。ロックは、少年少女たちに一番向いていると思うんです。自分もそのころ、ロックを聴いて救われたし、自分もそういう音楽を、年をとってもやり続けたいなって。

海北:僕が中学生のころ、40近い人はめっちゃ大人に見えたんだけど、俺たちはそんな怖くないよ(笑)。面白いから聴きにおいでよって言いたいですね。