Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

fox capture plan × bohemianvoodoo

fox capture plan × bohemianvoodoo

fox capture plan:岸本 亮(Pf) 井上 司(Dr)
bohemianvoodoo:Nassy(Ba) 山本 拓矢(Dr)
インタビュアー:石角 友香 Photo by 結城さやか

-そして今回、2組のスプリットとして2作目になりますが、そもそもは1枚目(2013年リリースの『color&monochrome』)を作ろうとしたときに、どういう経緯でこの2バンドでやろうという話に?

岸本:"Playwright"っていうレーベルができてちょうど1年経ったころで、レーベルのカラーが、すごく明確になり出した時期だったんです。(bohemianvoodooとは)やっている音楽が似ている部分もあるんですけど、まったく一緒っていうわけじゃないからよかったのかもしれないですね。お互いを高め合うみたいな感じで。

Nassy:そうだね。foxとじゃなかったら、ちょっと考えたかもしれない。

山本:リスナーが被ってるようで被ってないところでも広がった感はありますね、お互い。

-なるほど。交互に曲が収録されているので、片面にひとつのバンドの曲だけが入っているEP盤のようなものでは味わえない感覚がありました。

井上:LPを出す話があったときには、片面をfoxで、もう片方をbohemianvoodooにしようかみたいな案もあったんです。でも今回は、曲順ありきで作った作品なんで、やっぱりこの形が腑に落ちましたね。

-今回のスプリットでは、それぞれのバンドの特徴の中でも、特にどういう部分を詰め込んだんでしょうか。

岸本:結構、曲の選択肢があったんです。というのも、foxの新しいアルバム(1月25日リリースの『FRAGILE』)も同じ時期にレコーディングしてたんで、その中から選んだんですよ。1曲目の「Acceleration」を作ったのはベースのカワイ(ヒデヒロ)なんですけど、fox capture planらしさを全開にした曲でして。3年前のスプリットでは結構メロディックな曲や変拍子に挑戦した曲を出したんですけど、今回は3年経ったし、より明確にfoxっぽいものをということで。一方で、僕の書いた「Turning Point」(Track.3)は、もともと一昨年に作った曲なんですけど、テンポ感の速い、攻撃的な変拍子を織り交ぜた特殊な曲調のものがあると面白いんじゃないかと思って。それで、"ちょっと引っ張り出す感じやけど、今回のコンセプトにあの曲が合うんじゃない?"という感じで入れました。

-bohemianvoodooの「Golden Forest」(Track.2)と続けて聴くと流れがいいんですよね。マイナー・キーでラテン・テイストみたいなところが繋がるなぁと。

岸本:そういうことを自然と考えてたのかもしれないです。bohemianvoodooの「Golden Forest」も素晴らしいですね。ループが作る高揚感と、メロディのようなリフのような感じが。

-そしてfoxのニュー・アルバム『FRAGILE』についても少しお聞きします。毎回入っている洋楽カバー・シリーズが好きなのですが、今回も結構狂ってますね(笑)。

岸本:狂ってますね(笑)。

-ARCTIC MONKEYSの「Brianstorm」(2007年リリースの2ndアルバム『Favourite Worst Nightmare』収録曲)の原曲をかなり忠実にやろうとしてませんか?

井上:しかもピアノでね(笑)?

岸本:ピアノ・ソロ・パートはなかなかジャズっぽいんですけど。アルバム全体の曲が決まり出したときに、ちょっとパンチ力のある曲が欲しいなと思って(笑)。この曲はもともと好きで、foxでやったら面白いんじゃないかな? と思っていたのでセレクトしました。もちろん、オリジナルへのリスペクトありきですが。

-あと、「エイジアン・ダンサー」のアプローチも面白いですね。

岸本:何なら今回から作風を変えようかなぐらいの感じですよね。「エイジアン・ダンサー」も僕が書いたんですけど、ちょっとファンをいい意味で裏切るような音楽性とかも提示できたら面白いんじゃないかなというのを常日頃から考えてまして、そういう曲を書いてみようと思って作ったのがこの曲です。クラブ・ミュージックの要素も多いんですけども、意識的に"クラブ・ミュージック、好きだわ"って聴いてる人は、今の若い子にはそんなにいないと思うんですけど、そういうのに関係なく、四つ打ちのノりやすさとか気持ち良さは、ポップスとかにも未だに色濃く残っているんで、それと同じようにfoxが提示する新しいスタイルだと思ってます。


今が何年だとか自分が何歳だからというより、いい音楽を作っていくだけ(bohemianvoodoo)


-2017年はどういうリスナーやシーンに食い込んでいこうとか、野望はありますか?

山本:僕は今が何年だとか何歳だとかいうよりも、いい音楽作るだけだなと常に思ってます。

Nassy:強いて言うなら、2018年にバンドが10周年を迎えるんですよ。だから10周年のためにどうするかを考えるのはすごく大事だなと思います。タクちゃんが言ったように、やっぱりいいものを作り続けるだけ、だと思います。

-これだけいろいろな音楽が並列で聴ける時代なので、いろいろと策を練るよりも、作っている人が"これは良いです、自信あります"って提示する他ないですもんね。

岸本:そうなんですよ。どういうバンドとか、どういうアーティストのファンに受け入れられたいか? という感じじゃなくなってきた印象はあります。どうやってfoxとしてのオリジナリティを打ち出していくか? ですよね。常日頃からそれは考えていて、過去の自分たちも更新していかないといけないし、それがバンドのコンセプトなんでしょうね。

-bohemianvoodooの次作の予定は?

Nassy:2月5日のライヴ(※品川プリンスホテル club eXにて開催される"9th Anniversary Special Live")はムービー撮影が入るので、ライヴDVDのリリースを予定しています。

-では、クラブ・ジャズのライヴ未体験の人たちに向けて、何かメッセージがあれば。

Nassy:ジャズ・シーンでも活動させてもらっているなかで、これはたぶんジャズのライヴだけだと思うんですけど、席に着いてお食事しながらとか、お酒を飲みながらライヴを観るっていうのは、普通のライヴハウスではできないことだし、お年を召した方も若い方もいらっしゃるんで、そういう体験をしてみたい方にもいいと思いますね。

岸本:僕も、初めてブルーノートに行ったときの記憶は未だに鮮明だったりするから。読者のみなさんには、ちょっとチケット代が高かったりするかもしれないですけど、そのぶん、音楽は我々が保証しますんで(笑)。