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INTERVIEW

Japanese

paranoid void

2016年10月号掲載

paranoid void

Member:MEGURI(Vo/Gt) YU-KI(Ba/Cho) MIPOW(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

変拍子やポリリズムを駆使した予測不能のサウンド・アプローチで唯一無二の世界観を作り出す大阪発の3ピース・ガールズ・バンド、paranoid void。それぞれが豊かな音楽キャリアを持つ彼女たちは、結成3年目にしてマレーシアでの海外ツアーを成功させるなど、ライヴ・バンドとしても注目を集めている。そんな"パラボイ"が10月26日にリリースする初の全国流通盤となるミニ・アルバム『POP MUSIC』は、決して売れ線ではないかもしれないが、"私たちが売れるにはこれしかない"という想いで作り上げた勝負作だ。底知れない闇を描きながら光へと突き進む、その美しい音像にはバンドの決意がリアルに込められている。

-結成は2013年ですけど、すでにマレーシアでの海外ツアーも経験してますね。

MEGURI:ちょうど1年前ですね。すごく楽しかったです。

YU-KI:言葉が通じないぶん、批評される不安がなかったんですよ。日本だったら、すぐに他のバンドと比べられて、"ああいう感じが好きなんだよね"みたいなことを言われたりするじゃないですか。でもマレーシアはそういう文化じゃなかったんです。何をしても楽しんでくれるし、人の目を気にしないで好きに音楽をやればいいんだって知ることができた数日間でしたね。

MIPOW:自分たちはどこでも音楽ができるなと思いました。自分の音楽を胸張ってやればいいんだって、自信がつきました。

-そういう意味では日本のお客さんの前でやる方が構えちゃう?

MEGURI:それはすごくあります。一億総批評家時代ですからね(笑)。

-わかります。女の子でポスト・ロック的なアプローチをするバンドは日本では珍しかったりしますしね。paranoid voidは、なぜ今のような音楽を目指すようになったんですか?

MEGURI:前のバンドではヴォーカルじゃなかったから、自分が歌うというイメージはなかったですね。それに、MIPOWとYU-KIと一緒にバンドを組むってなったときも"インストでやろう"って話してたんです。声がシンセ的な役割でインストに入ってるようなイメージで。そうなってくると、やっぱりそれぞれボリューム感のある演奏をしないと成立しなかったんですよね。

-ボリューム感っていうのは、テクニカルな要素を加えるということ?

MEGURI:というより、凝った感じですね。8ビートでいくよりも変拍子でやってみるとか。

-それでサウンドの複雑な構築美みたいなものを求めていくようになったと?

MEGURI:そうですね。

-今回のミニ・アルバム『POP MUSIC』を聴いても、楽器的なヴォーカルだなと思いました。Track.2「夜のレプリカ」は、ほぼインスト曲だし。

MEGURI:そう。あえて今回のアルバムはそっちに戻したんですよ。デモを2枚(2014年5月リリースの『Better than DEMO』、2014年10月リリースの『1st demo』)出してるんですけど、そのころはもっと歌が多かったんです。バンドのコンディション的に歌の方が旬だったんですけど、今回は原点回帰しましたね。

YU-KI:たぶん目指してた音楽性は初めてスタジオに入った日から変わってないんです。それが今ようやく形にできるようになってきたのかなと思うんですよね。

-話が前後しちゃいますけど、このメンバーはどういうふうに集まったんですか?

MEGURI:前のバンドで私はギターをやってたんですけど、そのバンドでMIPOWはサポート・ドラムをやってたんです。で、私がやめるタイミングで一緒にそのバンドをやめて。次にやるバンドを決めてたわけじゃなかったし、また頑張ってバンドをするっていうテンションでもなかったんです。で、なんとなくスタジオに入ったら、やっぱりバンドをやりたくなったんですよね。それで、共通の知り合いにYU-KIを紹介してもらったんです。

YU-KI:私は楽器はやってたんですけど、バンドはやったことがなかったんです。ずっとジャズやファンク系のセッション・メンバーとしてひとりで活動してました。

MEGURI:それで、とりあえずスタジオに入ってたんですけど、1回のスタジオで何かがわかるものではなかったし、とはいえ別にやめる理由もなかったので。"どうします?"みたいな感じでそのまま少しずつ曲を作っていったという感じですね。

-この3人だったら一緒にやれそうっていう確信を持てた瞬間はあったんですか?

MEGURI:うーん、それは......私がバンドを結成してから、プライベートでしんどいことが結構あって、そういうところを含めてバンドで乗り越えた感じがあったんです。そこですかね。別に、スタジオに何回入ったかとか、ライヴを何本も重ねたとかじゃない部分。そういうところでちゃんとお互いのことを知れたからだと思います。

-3人はどんな音楽に影響を受けてきたんですか?

YU-KI:みんな相当バラバラですけど。私は親の影響でハード・ロックからR&B、ファンク系も聴くし、最近のコンテンポラリー・ジャズとかフュージョンが中心でしたね。ベースを弾き始めたのは、家に親が使ってた楽器があったからでした。

-MEGURIさんに誘われてバンド・シーンに入るのは覚悟はいりませんでした?

YU-KI:本質的に自分の目指す音楽というのは、ジャンルでそんなに差は感じてないんですよ。だから今もそんなに違いはないかなと思ってますね。

-MIPOWさんはどんな音楽を聴いてきました?

MIPOW:ひとことで言うのは難しいんですけど。FALL OUT BOYやBLINK-182とかTRAVISなど聴いていました。

-ドラムをやろうと思ったきっかけは?

MIPOW:父親がドラマーだったんです。でもドラムを始めたきっかけは父親じゃなくて。パーカッションをしていた友達がいたんですけど、その子が音楽室からドラム・セットを持ってきて叩き出したのを見てかっこいいと思ったんです。でも教えてくれる人がいないから、自分でいろいろ調べてやりました。

-お父様には教えてもらってないんですか?

MIPOW:父親には教えてもらってないですね(笑)。

-MEGURIさんは?

MEGURI:もともとは70年代のパンクが好きだったんですよ。そこからUKが好きになって、50年代、60年代のロカビリーが好きな時期もあって。一時はBrian Setzerがめっちゃ好きでライヴに行ったりもしたんです。

-話を訊いてると、今のパラボイに繫がっていくような音楽はあんまり感じられなかったですね。ポスト・ロック系のバンドの影響とかを受けてそうですが?

MEGURI:そうですね。よくいろんな人に"こんなバンドが好きでしょ?"とか言われたりもするけど、わからないことの方が多いです。このバンドに関しては、あんまり他の音楽からの特定の影響は受けてないかもしれないですね。