Japanese
you you you all the same
2016年08月号掲載
Member:大日野 武則(Ba)
Interviewer:山口 智男
元Yacht.の大日野武則が友人たちと結成したインストゥルメンタル・バンド、you you you all the same。彼らが、配信限定だった前作『砂の堤防』から2年、初の全国流通CDとなるセルフ・タイトルのミニ・アルバムをリリースする。メンバー全員、もともとヴォーカリストがいるバンドに在籍していたところが面白い。早速、大日野にメールでインタビューしたところ、この4人組、厳密にはインスト・バンドとは言えない考えを持っていることがわかってきた。そんな柔軟さが今後、どんなふうにバンドを発展させるのか。早くも新たな興味が湧いてきた。
-初の全国流通盤となる1stミニ・アルバム『you you you all the same』の完成おめでとうございます。2014年に配信でミニ・アルバム『砂の堤防』をリリースしていますが、フィジカルと配信とではまた、気持ちは違うものなのでしょうか?
ありがとうございます。やっぱり全然違います。もちろん、聴いてほしいという気持ちで音源を作ることに違いはないけど。フィジカルは配信に比べて、リリースまで時間もコストもかかるけど、今の僕らにはその"大変さ"がモチベーションの部分ですごくいい影響を与えている気がします。
-たぶん、はじめましてという読者もいると思うので、you you you all the same(以下:yyyats)がどんなふうに始まったのか結成の経緯から教えていただけないでしょうか?
結成は2012年です。当時、僕は大阪で活動していたYacht.が解散してから上京して、CALENDARSやヒダカトオル(BAND SET)/現THE STARBEMSでサポート・ギターとして活動していました。そんな中で、自分でも新しいバンドを作ってみたいという思いが出てきて。そのとき、LOCAL SOUND STYLEの活動を止めていたゴスケ(後藤裕亮/Gt)とコースケさん(齋藤康輔/Dr)が声を掛けられる最も近い人だったので、すぐに電話をしてスタジオに入ることにしました。それが原形です。それから2回ギタリストの加入、脱退があり、シンヤ(山本慎也/Gt、ex-maegashira)が2013年に加入しました。
-彼らと一緒にやりたいと思った理由はなんだったんでしょうか? 音楽的な部分の志向なのか、人間性なのか、それともテクニックなのか?
人間性は一番大切だと思います。ゴスケとコースケさんとは、以前のバンドで一緒にツアーを回ったりもしていて、どういう奴らかっていうのは知っていたし、シンヤとも大阪で活動していたときからよく飲んだりしていたので。ほぼ同じ時代の空気を吸って生きてきたからこその、気を遣わなくていい部分がある。このメンバーで楽しく、居酒屋での飲みの延長みたいな感じでやりたいってのはありました。
-"you you you all the same"というバンド名はどんなところから?
バンド名は僕が持ってきたものです。他のメンバーも面白がっていたので、少し長くて変わってるけど、これにしようって。正しく英語として意味を通そうと思うと"you are all the same"で、"みんな同じだね"という意味です。ややネガティヴな表現ですが、楽曲とは関係ありません(笑)。結成した当時、"量産型女子大生"っていう言葉がネットで流行っていて。ある日、道を歩いていたら、僕の前にほぼ同じ服装をして並んで歩いている3人の若い女の子がいたんです。"これはいろいろとヤベーな"と感じるものがあって。それをなんとなくバンド名にしました。
-yyyatsを始めるにあたって、こんなバンドがやりたい、こんな音楽をやりたいという明らかなヴィジョンはあったんでしょうか?
特に明確なものはなかったです。ただ、ずっとインスト・バンドはやってみたかった。
-メンバー全員、以前はヴォーカルのいるバンドをやっていましたが、そういう4人にとってインストの魅力ってどんなところなんでしょうか?
歌が主役となる音楽の構造とか、作曲の方法論とか、自分の中で少し凝り固まってしまった部分から離れて演奏できるところは本当に面白いです。曲を作るときは、毎度真っ白な紙の前に立った気持ちになるし、本当に自由だなって思うことはよくある。それが苦しむところでもあるんだけど(笑)。
-『you you you all the same』は、洗練されたサウンドに、メンバーそれぞれ内に秘めた熱量や激しさが滲むようなところが印象的な作品でした。作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えたんでしょうか? そして、その結果、yyyatsにとってどんな作品になったと感じていますか?
その感想は嬉しいです。コンセプトのようなものは設定していないけど、蒼い感じ、透明なイメージを音にしたいっていうのは、なぜか自分の中でずっとあって。今作はそれにかなり近づいていると思います。
-曲作りはどんなふうに? アイディアを持ち寄って、ジャム・セッションしながらとなんとなくイメージしていましたが、実際はいかがでしょうか?
ジャム的な作り方をする部分もあったけど、今回はわりと曲ネタを持ってきた人が決めたフレーズを振り分けていくっていう作り方が多かったかな。
-『you you you all the same』の曲はこれまで作り溜めたものから選んだもの? それともアルバムのための書き下ろしなのでしょうか?
「泳いだ記憶」(Track.5)は、前作『砂の堤防』にも収録されていた曲で、今回録り直しています。最後の「夜と喧騒」(Track.7)はライヴではずっとやってきた曲ですが、音源にしたのは初めてです。それ以外は今作のために作りました。
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