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INTERVIEW

Overseas

DMA'S

2016年02月号掲載

DMA'S

Member:Johnny Took(Gt) Matt Mason(Gt/Vo)

-例えばTrack.2「Lay Down」やTrack.12「Play It Out」、Track.4「Too Soon」みたいな畳み掛けるロックンロール・チューンと、Track.10「Blown Away」やTrack.11「The Switch」のようにじっくりメロディをあたためていくアコースティック・チューンが本作には混在していますが、そんな中で"DMA'Sサウンド"の基本になっているものは何だと考えていますか?

Matt:動と静の両方の部分がないと僕ららしくないっていうか。もともとはノイジーでラウドなロックンロールからスタートしたバンドなんだけど、やっぱりシンガーのTommyがものすごくいい声をしてるからさ。そんな彼の声を静かな美しいメロディと共に聴かせたいって気持ちも当然出てきたんだよね。僕らのライヴにはラウドな曲が好きな人たちと、綺麗で繊細な曲が好きな人たちが両方とも来るんだよね。そうするとノイジーな曲をプレイしている最中は静かな曲が好きな人たちが耳をふさいでたりっていう(笑)、そういうふうに聴き方を分けてしまうときもあるんだ。そういう意味で、DMA'Sのサウンドが好きかどうか決めづらい瞬間もあると思うんだけど、それでも僕らとしては両方の要素がないとDMA'Sじゃないって信じてるんだ。

-デビュー・アルバムにしてセルフ・プロデュースというのもなかなかすごいと思うんですけど、レコーディングで迷うことはなかったですか?

Matt:実はレコーディングを始める前に、ニューヨークで何人かプロデューサーに会ったんだ。中にはすごく有名な人もいたし、むちゃくちゃ人気があって忙しい人もいた。そしてすごく売れたレコードを作った人もいたから、そういう人たちと仕事をすることを少し考えたのも事実なんだ。僕らのいい部分を引き出してくれるかも、ってね。でも、やっぱり最初のアルバム、デビュー・アルバムは自分たちだけで、1番パーソナルな形で作るべきだって決めたんだ。2枚目以降はプロデューサーと作るかもしれないけどね。

-2年間かけて制作したそうですが、実際にはどのようなソングライティング、レコーディングのプロセスだったんですか? 本作を作るうえで最も難しいと感じたことはなんですか?

Matt:2年間かけて曲を40~50曲って書いたんだけど、僕らは1曲書き上げるたびにその曲のデモをすべて録っていたんだ。それで、最も難しかったのはそのあとだね。デモとして存在する曲を、ちゃんとスタジオに入って正式なレコーディングで録り直す作業が大変だったんだ。Bruce Springsteenも、ものすごく大きなスタジオでお金をかけてレコーディングした音源をボツにして、結局自分の家のキッチンでレコーディングしたものをリリースしたことがあった(※1982年の6thアルバム『Nebraska』)けど、デモの一期一会の魅力を越えるレコーディング・バージョンを作るのはすごく難しいことなんだよ。でも、そのハードルを乗り越えることこそがアルバムを作るってことだと思ったんだ。

-では次に、あなたたちの地元シドニーの音楽シーンの今の状況について訊かせてください。ギター・バンドをやっていくうえでいい環境と感じていますか?

Johnny:音楽を作るのにはいい環境だと思う。結果論になるけど、世界の他の場所から離れてる、ってことがね。スペースもふんだんにあって、空間としてごちゃごちゃしてないから、頭の中もごちゃごちゃにならない気がするんだ。ただライヴする場所としては、ある意味最低。ニューサウスウェールズ州は"ナニー・ステイト(=おばあちゃん州)"って呼ばれてて。政府が規制を作りすぎて、いろんなことが禁止されてるんだ。あとポーカーマシンが流行ったころからなんだけど、例えば金曜や土曜や日曜の夜、300人が入れる会場があるとして――ギャンブルの機械があってそこでみんなが酒を飲んだりなんだりする場所があげる収益とライヴ会場があげる収益は比べものにならないよね? 残念な話だけど。そこからライヴとかが下り坂になっていった。もちろん、今でもクールな場所はあるんだけど。

-ちなみにですが、地元のバンドに限らず、あなたたちが今シンパシーを感じる同世代のバンドはいますか?

Johnny:僕はTHE WAR ON DRUGSがすごく好き。あとKurt Vile、TAME IMPALA。Tobias Jesso Jr.もすごくいいソングライターだね。

-では最後にDMA'Sの短期的な目標と長期的な野望を訊かせてください。

Johnny:近い将来としては、このアルバムができる限り大勢に聴かれて欲しい。これだけの労力をソングライティングやすべてのプランニングに投入してきたのに、結局誰にも聴いてもらえなかった、ってことにはなって欲しくない。ただ今みたいにインターネットにこれだけ音楽が溢れてると、そういうバンドがすごく多いんだよね。だから......僕は自分たちの曲ができるだけ多くの人の耳に届いて欲しいと思う。長期的には、僕はこれからもずっといい曲を書き続けていきたい。クリエイティヴに枯渇してしまいたくないね。そうなったら最悪だ(笑)。とにかくいい曲を書き続けて、普通の仕事に戻らなくてすむようにしたい。ずっと世界を旅し続けていたいね。それと、もっと歳をとったら他の人のプロデュースもしたいと思ってるんだ。オーストラリアの田舎に家を買って、一流のレコーディング・スタジオを作って、誰からも離れて音楽を作る。それが目標だ。