Japanese
NakamuraEmi
2016年02月号掲載
Interviewer:白崎 未穂
-曲の展開も、お風呂で決断した後半からは力強くなっているなと。それに、歌詞にある"レコードのように グルグル グルグル"と歌うところには実際のレコードをスクラッチさせる音が入っていたりと遊び心も散りばめられていて面白いです。
そういった音は『vol.1』では入れてなかったんですけど、エンジニアの兼重哲哉さんが本当に面白い人で、「女子達」とか「七夕」(Track.10)もそうですけど、歌詞をプラスに持ってくために、パーカッションの音だとか、いろんなアイディアをくれるんです。カワムラヒロシさんと同じく、アレンジャーと呼んでも過言じゃないぐらいキーマンです。しかも理論的なんですよね。こうだから、この音を入れようってやり方なんですけど、その理論をカワムラさんは感覚で動かす人。なので、カワムラさんの感覚があって、そこに理論でアイディアを出していく兼重さんがいて、そのふたつの意見を聞いて私は本能で歌う。という3つでできあがってる感じですね。3人のタッグがあるからこそ作れた作品ですね。
-個人的にもすごく気に入ってしまったのがTrack.4「I」です。最後の"こんな傷舐めときゃ治るし こんな程度ほっとけ"という捨て台詞も素敵で、どうでもいいことだから気にしなくていいし、自分の中で大事なものがあるんだったらそれを大切にしたらいいというメッセージがすごく伝わりました。
本当にその通りですね。スタジオで働いているときに上司と合わなくて。おかしいなって思うことがたくさんあって、でも踏ん張らないといけないときに、どうしてもその上司の心を動かすことができなくて。でも自分がそのままそれに染まるのが嫌で、これまでは合わせることなんて全然できてたんですけど、この曲を作った時期は自分を変えたいという時期だったし。そのときは仕事を辞めると周りに嫌なふうに言われたりしたので、仲間はずれ時代に一瞬戻るのですごく怖かったんです。でも絶対にこれは曲げちゃいけないっていうものが自分の中であったので、"私はこのやり方だったら仕事はできないから辞める"って曲げずに言ったんですよ。いつかはわかってもらえるだろうと信じて、まずは自分が思ってることを貫かないといけないと思ってやりました。そうしてたら、1年後その人はその会社でいろいろあったりして。信じてやってるとこうなるんだなっていうことがありましたね。
-因果応報というか。あるんですね、そういうこと。
そういうのも含めて、仕事やってる人たちに何か"これはおかしい!"ってことがあったら自分を信じてみていいんじゃないかなって思いを込めた曲です。
-Track.2「スケボーマン」とTrack.6「オネガイ」は男性目線ですね。どうしてまた?
「スケボーマン」は地元の仲間の男の子たちに会ったときに、30歳を越えたあたりから結婚や親のこと、仕事のこととか、20代のころと悩み方が変わっていて。男性は男性の決意があるんだなと感じたので、それを女性目線で書きました。「オネガイ」は、日本代表のサッカーを観てたときに、選手ってどんだけカッコいいプレイをしたあとでも、すごく"いや、自分は〜"って感じでクールじゃないですか。こういう人に好きな人ができるとどうなるんだろうって(笑)。
-あはははは(笑)。
妄想ですね(笑)。なので、女性目線の男性の決意だったり、女性がする男性の妄想だったり。高倉健さんみたいな人も、恋愛したらどうなるのかなって(笑)。甘えたりするのかなっていう考えからできました(笑)。
-なるほど(笑)。アルバム・タイトルは"NIPPONNO ONNAWO UTAU"とあったので不思議に思っていました。
女を代表してではなくて、こういう女性になりたい。そういう女性の周りってキチンと素敵な人がいたりするので、とにかく素敵な女性になることが目標としてあったらいいなと。そういう気持ちが自分の中にあったのでこのタイトルをつけています。
-どの曲もそうだと思うのですが、ご自身で1番思い入れが強い曲はどれですか?
やっぱり「使命」(Track.9)ですかね。仕事なのか、音楽なのか、女性として生きることなのか。まさにそういうことを迷っていたころに書いた曲です。メジャー・デビューだとか事務所に所属するってことを決意するときだったので、今いるチームのメンバーと、今までやってる仕事のメンバーのふたつがガンと乗っている曲なので。自分にとってすごく大切な曲ですね。
-セルフ・ライナーノーツに"三十路目前にいろいろ考えた"というふうに書いてましたが、やっぱり考えますよね......(笑)。
考えますよね(笑)。ちょうど結婚しようと思っていた「台風18号」(Track.5)の人と別れて(笑)、そのあと"どうしよう"って思っていたときに、カワムラさんがライヴで地方にいろいろ引っ張っていってくれたりして、それから音楽がすごく楽しくなってきましたね。
-周りの方々に恵まれてますね。
本当にそうなんですよ! それしか本当にないです!
-ツアーも行われますね。5月から東名阪ツアーが始まりますが、ライヴでは何を1番大事にしていますか?
そうですね、ライヴだから歌詞が聴こえなくて迫力だけっていうのは嫌で、歌詞がちゃんと聴こえることと、あとはその日の空気ですかね。そのイベントごとに空気ってあると思うんで。もちろん、どこに行っても自分らしいライヴをするっていうことは前提にあります。イベントは特にどんな流れで進んでいるのか、全部見るようにしてますね。流れによって話すことも変わるし、歌う目線も変わるし。なので、その日の空気とその場にいる人に歌詞が伝わるってことは大事にやってます。
-ツアーはどんな内容になりそうですか?
まずは東名阪をバンドで回って、それからは少人数編成でもいいからとにかく日本全国を回れるようになりたいなって思いがあります。これだけラジオでたくさん流していただいているので、直接お客さんに会いたいですね。
-この2016年、まずはメジャー・デビューから始まる年ですが、どんな年にしたいですか?
そうですね、とにかく何をするにも初めてのことだらけだと思うので、挑戦を重ねて、でもライヴだけは準備を怠らないように、挑戦と、準備を(笑)。
-やってみないとわからないことが多そうですもんね(笑)。
テレビとかラジオとか、こういう取材だったりもとにかく初めてのことだから、挑戦していくことと、挑戦して教わったことを準備に変えていくということをやっていく年かなと思っています。
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