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INTERVIEW

Japanese

told

2015年12月号掲載

told

Member:鈴木 歩積(Gt/Vo) 山﨑 裕太(Gt/Cho)

Interviewer:石角 友香

4人の人間が演奏や歌で格闘したり、会話したり......20代後半世代には珍しく90sオルタナ的なサウンドとアティチュードを持つバンドtoldは、ニュー・アルバム『KIERTOTIE』で、さらにバンドの人格を打ち立てた。硬派なだけじゃない、ドライなセンチメントもアンサンブルに昇華して聴かせる潔さ。本誌初登場の今回はそもそものバンドの"性質"から訊いてみた。

-付き合いとしては高校時代からなんですよね?

鈴木:でもこの形にはなってなかったので、told自体は2009年結成です。

山﨑:前身バンドがあったんですけど、そこのピンヴォーカルが抜けて、急遽5人から4人になって。その前身バンドのライヴの予定が入っていて、そこを4人でやるっていうのがtoldの始まりだったんです。

-じゃあ、典型的な"歌う人がいなくなったからギター&ヴォーカルになった"パターンですね。

鈴木:最初は面白がってみんな歌ったりしてたんですけど、知らないうちに私がヴォーカルになってしまいました(笑)。

-鈴木さんのヴォーカルって特徴的だと思っていて。すべてを振り切るような感じというか、もうちょっとラクにやろうと思えばやれそうなのに。

鈴木:ラクにやろうとしてるんですが......"ラクできる"というか、簡単な話、頑張らなくても歌えるメロディを作ろうと思うんだけど、家で作ってスタジオに行くと、"ああ、意外と頑張らなきゃいけないメロディだった"みたいな(笑)。

-ちなみにピンヴォーカルの方が抜ける前から4人の音楽的なルーツや参照点は一緒だったんですか?

山﨑:うちの高校の軽音部はなんかすごく広いホールみたいなところで練習してて。ドラムが2台ぐらいあるんですけど、いい機材は先輩たちが使って、ボロいドラムは1年生みたいな(笑)。そこで誰もやってないときにフラフラって集まって、NUMBER GIRLとかHi-STANDARDのコピーやったり。NUMBER GIRLはみんな好きで。

鈴木:一生懸命練習してるバンドがいる横で、俺らは鬼ごっこしてたり(笑)。でもみんなも同じような感じなんですよ(笑)。全員浮いてたみたいなところあるもんね? なんか高校自体が雑多で自由な学校だったから。

-バンドのムードってそのころから変わってない感じなんですか?

山﨑:変わってないですね(笑)。ホントに変わってないです。

-それが破綻するタイミングってあるじゃないですか? 大学行くときとか。

山﨑:就職するときとか。そこに関してはラッキーなのか、たまたま全員東京で生まれ育って、たまたま全員就職してないし(笑)。

-なるほど。みなさんの世代で90年代後半から2000年代前半のオルタナをバンドで消化してる人って少ないのかな?と思って。

鈴木:どうなんだろ? NUMBER GIRLが好きな人はめちゃめちゃいるよね?

山﨑:たぶんいるんですけど、出てきてないだけだと思います。

-前作から今作までの間、どういうことを考えて活動してました?

山﨑:去年、1stアルバム『Early Morning』を出して、2014年いっぱいツアーして。それで年開けて"じゃ、次どうしよっか?"って話してたんですけど、でも曲ができず。"どうしよっかね......"みたいな言ってたら、"ROOKIE A GO-GO"への出演が決まって。"じゃあこの勢いで年内になんか出したいよね"ってことで、発売を年内、逆算で"こっから曲作って、ここで録って"みたいな話で『KIERTOTIE』は決まっていきましたね。曲ができたから作るじゃなくて、出すことが決まってから曲を作ったっていう(笑)。今までやったことなかったんで、なかなかめまぐるしい夏を送りました。

-これまでに比べて曲ができなかったっていう印象なんですか?

鈴木:もともとそんな曲作るペース早くないんですけど、"着地しない"みたいことがずっと続いて。

-それは今までやってきたことと同じようだと思ったとか?

山﨑:2ndは"1stと変えなきゃいけない"って思っていたみたいです。それであれこれやったものの、いい落としどころが見つからないみたいな状況で。違和感を覚えながら進めていたところもあってたんです。でも今回、合宿で曲作りをしたんですけど、実際にやってみたらtoldの曲になって。わりと何やってもtoldの音にはなるんだ、というのは実感しました。その、"toldが何か"っていうことは明確には答えられないんですけど。

鈴木:でも今回は、骨組みが8割みたいな感じでレコーディング始めちゃったんです。演奏はできてるけど、歌は1曲しかできてないみたいな。だからもうどうなるかわかんないっていう状況だったんです。歌を録る日の朝に歌詞書いて行ってみたいなこともあって。スタジオ行ってメロつけて歌詞書いて、録って、帰って、朝になったらまたスタジオ行って、みたいな(笑)。もう、全然よくわかんない状況のまま、"知らない曲"みたいな感覚でレコーディングを進めたんです。だから、まとまってはいると思うんですけど......こうだから、こうしようみたいなところはわりと今回は省かれてるんじゃないかな。

-何かを伝えようとか、共通認識とか、こういう曲だ、みたいなことをわからずにやろうとしてるんですね、きっと。

鈴木:家の話で言うと、普通だったら重い屋根が乗るから柱を太くしようみたな。でも今回は"もうこの柱にはこの屋根しか乗らない"っていうような作り方だったんです。だからどういう家になるかわからないみたいな状況で(笑)。

-toldのバンドへの向かい方って、それぞれの一門の代表の人が初めて会って、自分の必殺技をレコーディングまで出さないみたいなイメージはあります。

山﨑:レコーディングも"ドラゴンボール"で言うところの新技を作る修行みたいな感じはありましたね(笑)。

-ところで毎回レコーディングする場所がユニークで。

鈴木:今回は四角なんだか三角なんだかわかんないですけど。

-あ、このアーティスト写真の後ろの建物(※山梨県にあるピラミッドセンター)ですね。

山﨑:そうですね、要は四角錐。上條"KJ"雄次さんと前回のマスタリングのときに"次、どこで録ろうか?"って話題の中で、実家の近くにピラミッドがあるって話になって(笑)。なんかノイズのイベントもやってるっぽいし、音出せるじゃんって(笑)。もうそのときに"ピラミッドで録る"っていうのは決めていたんです。