Overseas
THE LIBERTINES
2015年09月号掲載
Member:Gary Powell(Dr)
Interviewer:山口 智男
たった2枚のアルバムでロックンロールの復権という革命を起こしたTHE LIBERTINESが本当の意味で復活を遂げる。2010年に実現した再結成以来、誰もが待ち焦がれていた3作目のアルバム『Anthems For Doomed Youth(邦題:リバティーンズ再臨)』がついに完成した。前作から実に11年ぶり。10年ひと昔という言葉があることを思えば、若いリスナーにはもはや伝説の存在なのかもしれない。それなら伝説はまだ終わらないと言おう。ふたりのソングライターにばかり注目が集まりがちだが、今回はバンドの屋台骨を支えるドラマー、Gary Powellがインタビューに応えてくれた。
-11年ぶりとなるアルバム『Anthems For Doomed Youth』を完成させ、リリースを約2週間後に控えた現在の心境は?
ハロー! ゲンキデス(笑)。正直なところ変な感じだよな。2004年からずっとご無沙汰だったのに、4~5週間のソングライティングとレコーディングを経て、いよいよ発売を迎えるんだから。一見、短期間で仕上げたように思うかもしれないけど、11年のブランクは長かったし、そんな簡単に短期間でできるわけないよ(笑)。
-新作をリリースするまでに最初の再結成が実現した2010年から5年もかかってしまったのは、なぜだったんですか?
メンバー全員が各自関わっている他の音楽プロジェクトで忙しくしていたからね。2004年以降、Peter(Doherty/Vo/Gt)はBABYSHAMBLES、Carl(Barât/Vo/Gt)と俺はDIRTY PRETTY THINGS、John(Hassall/Ba)はYETIとしても活動してきた。CarlとPeterはソロ・プロジェクトでも忙しかった。2010年の再結成時は事前準備の時間も十分になかったんだよね。あのときは、慌ただしい中、急遽、4人が再び集まることになったから。当時はTHE LIBERTINES一本に専念するエネルギーがメンバー間の中で高まっていなかったこともあって、あのあとは各自の別プロジェクトとしての活動に戻った。そのあと、ユニバーサル・ミュージックがうまくまとめてくれたお陰で(笑)、ラッキーなことにTHE LIBERTINESとしていい方向に前進することができたんだ。
-最初は一度限りの再結成と考えていたようですが、THE LIBERTINESとして活動を続けていこう、続けていきたいと思ったきっかけは何だったんでしょうか?
一度限りとは考えていなかったよ。2010年の再結成のためにTHE LIBERTINESを撮影したドキュメンタリー映画まで製作されたんだから。実はあの再結成の前に4人で集まったのは、再結成のたった2週間前だった。あのときの再結成では映像クルーやカメラマンが周囲に常にいたから、残念ながらゆっくり4人だけで友情を温め直す時間もなかった。THE LIBERTINESは音楽以前に、まずは友情が存在したバンドだった。でもTHE LIBERTINESの絆が着火する前にその日を迎えてしまったんだ。そして、再結成翌日には、それぞれのプロジェクトへ戻った。PeterもCarlも俺も......Johnも翌日にはデンマークへ帰国したし。常にカメラが回っていたから、あの環境ではゆっくり友情を温め直すこともできなかったんだよな。そのあと、2014年にドイツのハンブルグで俺たちは再々会を果たした。とあるライヴのためにドイツへ行ったんだけど、ギグの前に俺たち4人だけで飲みながら近況報告しあったり、演奏したりした。昨年、再々会したときはしっかり友情を温め直すことができたよ。4人で同じ屋根の下で暮らし、あれはホントに楽しかった。あの2014年の再々会がTHE LIBERTINESとしての新作に向けて、いいきっかけ作りになったね。本当の意味での再スタートだった。メンバー4人だけで過ごし、いろいろ話したときは10年間のブランクをまったく感じなかった。昔の4人に戻った感じだったね。
-現在のイギリスのロック・シーンはギター・ロックがまた多くのリスナーから歓迎されています。そんなロック・ブームの再燃に火をつけたのは、ARCTIC MONKEYSだと言われています。しかしそもそもARCTIC MONKEYSが活躍できるきっかけを作ったのがTHE LIBERTINESだったことは、現在では多くの人が認めていることですが、自分たちがロックンロールを現代に蘇らせたという自負はありますか?
うーん......どうだろう? それはちょっと大袈裟だと思うな。わからないよ。イギリスのロック・ブームの再燃には他のバンド......例えば、ROYAL BLOODも大貢献していると思うし、俺たちだけじゃないと思う。根本的には、どのバンドがロック・シーンのリヴァイヴァルにひと役買ったという話じゃなくて、あのころから音楽ファンたちがライヴ演奏を聴きたいと会場へ再び繰り出すようになったんだろうね。不況の煽りでバンドという形態で音楽制作するのが困難になったあたりから、テクノロジーの進化の恩恵でラップトップPC一台で作品をデジタル上で発表する新人アーティストが続々と登場した。名前はあえて挙げないけど、2006年~2007年ごろにイギリスでもてはやされた女性エレクトロニック系アーティスト勢とかね。俺個人はエレクトロニック・シーンに関してネガティヴな気持ちはまったくないよ。音楽には必然的に時代背景が絡んでくるから、不況で経済的に厳しい時代に低予算で作れるコンピューター・ミュージックが増えたのは時代の流れだった。ギターにしてもドラム・セットにしても、楽器は高いけど、ラップトップにプラグインすればバンド・メンバ-がいなくてもひとりで音楽制作ができ、ネット上で自分の作品をアップできる時代だからね。思い返せば、このエレクトロニック・ムーヴメントはかつてのパンク・シーンと似ているのかもしれない。70年代に社会的、経済的理由でDIYスタイルでガレージで演奏していたパンク・バンドも時代背景が生み出したシーンだったから。でも、そういったエレクトロニクス系の作品を購入していたリスナーたちも徐々にライヴ会場で生演奏を聴くことで音楽シーンに参加したいと思うようになったのかもしれない。気づいたんだろうなぁ。単に音楽を聴くんじゃなくて、もっとコミュ二ケイティヴな音楽を総合的に感じたい!って。だから、ロック・シーンが再び盛り上がったんだろうね。
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