DUTCHDADDY

Japanese

DUTCHDADDY

2015年06月号掲載

Member：岩切麻由（Vo/Gt）ネイタクヤ（Gt）草野ひろ明（Ds）

Interviewer：吉羽さおり

－世代的には90年代のインディー・ロックは後追いですしね。

ネイ：もちろん日本のギター・ロックとかthe pillowsも好きだし、ASIAN KUNG-FU GENERATIONも好きだし、スタンダードなサウンドも好きなんですけど。段々とまわりの友達が洋楽を聴くようになってきて、"RADIOHEAD好きなんだよね"とか"TAHITI 80いいじゃん"とか、それがファッション・アイテムみたいな感じなのがイヤで。

草野：NIRVANAがいい、とかね。

ネイ：そうそう。どれも好きですけど、そういうのがイヤで王道じゃないところにいったんだと思うんです。それが染み付いちゃったのかなと（笑）。ひねくれちゃったんですね。

草野：誰にでもあるよ。俺はその方向が違って......

岩切：メタルにいったと（笑）。

－パワー・ポップみたいなニッチなところに行っちゃうと、同じような音楽聴いてる友達いなくて大変って感じですよね。

ネイ：今でもいないです（笑）。

－だからこそ、そこを出しているバンドも少ないと思うので、DUTCHDADDYらしさを示すことはできますね。

岩切：作曲をしている人が1番ニッチなところに寄っていて、で、ドラマーに関しても対称的だし。わたしはわりと中間な気がするんです。そのへんが、いいバランスになってるのかなっていう。

ネイ：もともと日本のロックが好きなのは共通としてあるから、パワー・ポップとはいえ、聴いた印象としてはスタンダードな、"聴きやすいじゃん"ってものになっていると思いますね。

－今作は1stアルバムとして自己紹介的な作品ですが、自分たちでも初めてフル・アルバムを作ってみて、より視野を広げたなという感覚は強いですか。

岩切：そうですね。アルバムとしてまとまっているとは思うんですけど、その中でいろんな要素が入っていると思うし。わたしは歌詞に関して言ったら、今までの感じを踏襲した、ちょっと男っぽい言葉で熱く語る歌詞もあれば、「内緒の花」のように内省的な歌詞もあって。今まで自分が書いてこなかった、日常的で内省的なところに触れた曲になったので。そういうカラーはいろいろあるような曲が集まっていると思うので。

－あえてその、女性性を出さないようにっていうのは何が大きいんですか。

岩切：女らしさを前面に出すっていうのがそもそも好きじゃないっていうのがあるんですけど。あとはあえてっていうか、女ヴォーカルでギター持たないで歌うとか、ギター持ったとしても女っぽいことをするバンドって、今結構いっぱいいると思うんですけど。そういう中であえて、そこで女を出しすぎないというか。男と同じくらいロックしてるっていう、それができたらかっこいいなっていうのがあって。それがまたひとつのこだわりだったりするんですよね。

－わかる気がします。ちょっとした男の子への憧れっていうのがありますよね、ロック・バンドでは特に。書き手として柔軟になってきたということですね。

岩切：そうですね。今まで作ってきた音源は、憧れの部分にばかり寄った歌詞を書いていたりしたんですけど。今回のアルバムでは、無理をしない、背伸びをしない、等身大の曲が入り込んできて。憧れと、今の自分の等身大が共存してるようなところはあるかなと思います。

－ネイさん、草野さんはどうですか。

ネイ：今回アルバムを出して、次にまたアルバムを作るならっていうイメージができたんです。作品を出さず、頭の中にばっかりある状態だと、自分がどういう曲が作れるのかとか、何をやりたいんだろうっていうのが見えてこなくなったりして、それで曲が作れなくなったりしていたんですけど。こういうふうにアルバムを出して、次が見えたというか。もっと、自分が聴いてるパワー・ポップや90年代っていうのも出したいなって部分もあったり。次、っていう指針にはなったかなという感じですね。

草野：今までのEPやミニ・アルバムは、基本的にはドラムはなるべくシンプルにしていたんです。今回は意図的にかなり手数をなるべく多めにして、派手な、今までとは違った印象のドラムをやろうと思って、結構おかずやフィルインが多めになっているんです。次からは、フィルインとかで遊んだり主張するというより、ビートそのもののフレーズで面白いものを作って、印象付けたいなっていうのがあるんです。それが1番理想なのかなと思って。いろいろ考えようかなという感じですね。

ネイ：そこでまたせめぎ合ったりね（笑）。今まではどういうバンドなんだろうって、自分たちでもわからなかったところもあったので。アルバムを作って、それがわかってよかったかなと思います。