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INTERVIEW

Japanese

さめざめ

2014年10月号掲載

さめざめ

Member:笛田 さおり

Interviewer:沖 さやこ

-「それでも生きなくちゃ」という別の文脈もありつつですが、この『さめざめ白書』は"女子の普段言えないような気持ちを赤裸々に表現する"というさめざめのコンセプトがより強く大きくなったものになっていますね。

ああ、ありがとうございます(照れ笑い)。普段言えないような気持ちを、というのはもちろんですけど、どうしてもさめざめは赤裸々な気持ちが多いぶん、ちょっと言葉で戸惑ってしまうことが多いんですけど。ちゃんと読んでいただくと"実はこの歌詞の主人公の女の子はすごく真面目で、真剣に人を好きになりたい子なんだろうな"というような、ひとつひとつの曲に物語を描いているので。楽曲ごとにいる女の子たちの中で、聴いてくださる人々が自分と照らし合わせてくれたら嬉しいなと。

-ご自身の経験でそういう物語をお作りになるんですね。

私自身の経験もそうですし、こういう曲を作っていることもあって、似たような境遇の人たちがたくさん集まってきてくれるので(笑)、そういう人たちからの声を自分の声にして表現したりしています。曲を作るときは物語の中に必ず自分が入っていってしまうので、自分が本当に感じていることも、周りの人たちが感じていることも、すべて自分の経験かと思い込んで(笑)、楽曲の中に没頭してしまうんです。こっちの女の子は可愛いけど、こっちは恐ろしい子だなとか(笑)、十人十色というか10人全員違う女の子なんですけど、どの曲でも私が恋愛をしている......という感じですね。

-『さめざめ白書』の女の子たちは、以前のさめざめの楽曲の女の子たちよりはポジティヴだと思いました。前の子たちは"私がこの世で1番不幸だ""なんで幸せになれないの、幸せになりたい!"みたいな感情が強い気がしたんですけど(笑)、今回の子たちはそういうつらい生活の中でも、前向きに生きようとしている印象があって。

私自身が成長したのもあると思います。10曲集めたとき、自分の生きかたや考えかたも以前とは変わってきたのかなー......と思って。以前の楽曲では生々しい痛々しさを表現しようとしていたんですけど、今回はその中でも"生きていかなくちゃいけない"とか"それでも人を好きになっていく"みたいな、そのあとのことを考えているような。少しでも、微かでもいいから光が見えるような曲を作りたくて。なので以前のさめざめの楽曲の主人公よりは、年齢が少し上になったというか、ある程度恋愛を経験してきて、また新しい恋愛をしているような感じなので、いくつか歳を重ねて、大人になった子たちが恋愛をしているようなイメージはありますね。私の根本的なところでは、そういうものを書くのがすごく好きだったんですけど、さめざめで特化な表現をしてすごく......いなたさというか、がっちりグレーなものを最初に作ったので、今回は少し、扉の隙間からでも何か希望が見えるものが欲しいなと思って。この何年かが、私自身が"前へ前へ行きたい""さめざめをもっともっといろんな人に知ってもらいたい"という欲望が強かったので、今回のこれは自然の流れというか、その表れかもしれないです。

-Track.2「We are メンヘラクソビッチ」はメッセージ・ソングですものね。

ですね......リリースするにあたってタイトルや歌詞が大変で、たくさんのかたがたにご迷惑をお掛けしたんですけど(笑)。それでも、スタッフの皆さんも"この曲はすごくいいからたくさんの人に聴いてほしいから頑張って世に出そう"と言ってくれて、チーム全体の一大決意の楽曲です(笑)。この曲は恋愛というよりは生きかたの面で書いた曲なんですけど。

-そうですね。"正直なあたしでいることが/こんなに難しいことなんて"など。"自分のやりたいことをやればいいんだよ"言ってくれることで"ああ、もっと成長したいな"と思える曲でもありました。

私も右向けと言われれば右向いて、左向けと言われれば左を向くような、イエスマンなところがあって(笑)。でもそういう自分に嫌気がさしているところもすごくあって。そのときに"正直な自分でいることはこんなに難しいんだな"と思って。これは女性目線の曲になってはいますけど、男性でもイエス/ノーをうまく言えない人とか、自分に正直にいるのは難しいなと思う人に向けて"そんなのは別にいいんだよ、自分のやりたいようにやればいいんだよ"みたいなことが伝えることができたらな、と思ったんですよね。そういう意味ではこの10曲中でもポジティヴで前向きな楽曲になっていると思います。

-セックスをテーマにした曲が多いのもあって"さめざめの詞は際どい"と言われることは多いと思うんですけど、私はさめざめが下品だと思ったことは1度もなくて。

あ、そう言っていただけると本当に嬉しいです(笑)。

-表現は奇抜かもしれないけど、当たり前のことというか、この物語の女の子の立場になったら誰しも思うことだと思うんですよね。

ご理解いただけて本望です(笑)、それがさめざめで1番伝えたいことなので。やはりどうしても特化してしまう部分よりも、ちゃんと読んでいただいたときに"この子たちはがむしゃらに頑張ってるんだな"とか"この曲の主人公の女の子の恋愛は日常生活で起きていることなんだろうな"みたいな感じで、非現実的なことというよりは、日常的に起こっている恋愛を描いているだけなので、さめざめをあまり知らない人でも、今回のアルバムは......若干聴きやすいかな......?って(笑)。

-(笑)さめざめで描かれている女の子はみんな一途ですよね。

その男の子のことが大好きで、どうやったら好きになってもらえるだろう、という気持ちが溢れている子が多いです。さめざめを始めたときにインターネット上で"さめざめはメンヘラクソビッチだ"と言われるようになって。でも恋愛をすると落ち込むこともあるし、泣くこともあるし。それは恋愛において健康的というか、ありうることなので。それで"恋愛気質だ"とか"ビッチだ"とか、そういったものに押し込めなくてもいいんじゃないかなーって。みんな恋愛が好きで、健全に傷ついて健全に恋をする女の子たちだと思いますね。