Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Overseas

Lenny Kravitz

 

Lenny Kravitz

Interviewer:道明 利友


-そして、今回のアルバムでファンの方が驚きそうな話題といえば、6曲目の「Boongie Drop」と14曲目の「Sunflower」ではラッパーをフィーチャーしていることだと思います。この2曲ではJAY-ZとDRAKEをフィーチャーしていますが、このコラボレーションはどういう経緯で実現したのでしょう?

JAY-Zとは、今回が3回目のコラボなんだよ。1回目は彼のアルバム用にやった「Guns & Roses」。2回目は2004年に出した俺のアルバム『Baptism』の中の「Storm」って曲。今回またJAYをフィーチャーしたいって思ったのは、あの曲を作ってる時に彼の声が頭の中に響いたからなんだ。「Sunflower」も同じさ。作りながらDRAKEの声が聞こえたんだ。彼とは面識なかったんだけど、彼のヴォーカルが入ったらいいなって思って、プロデューサー友達のSwizz Beatzに電話で紹介してもらったんだ。DRAKEも俺と同じユダヤ人と黒人のハーフだからさ、それも面白いなと思ったよね。お互い似たような経験もあったようなんだ。両方ともおかげですごくいい曲に仕上がったと思うよ。

-リリックについても、もう少し具体的にお話を聞かせてください。先ほども質問させていただいた「Black And White America」は、今作のアルバム・タイトルにもなっている重要な楽曲ですので、このタイトルに込めた思いや、リリックに込めた心情、メッセージなどを、日本のファンへもぜひ伝えていただければと思います。

当然ながら、これは俺のルーツを意味したタイトルだよ。それは言うまでもないよね? でもそれと同時に、これは前に観たとあるドキュメンタリー番組に対する自分なりの反応っていうか、その中で意見してた人たちへの反論でもあるんだ。そのドキュメンタリーでは、今この国の大統領がアフリカン・アメリカンであることや、人種差別がなくなってきてることに対して不満を感じている白人の姿が映し出されてたんだ。何百年前みたいに、奴隷制度がまだあったらいいのになんて思ってる人もいるらしい。信じられなかったよ。観ながら“こんな考え方してる人間が世の中にはまだいるんだ”ってびっくりした。もちろん人種差別は今でも存在するけど、あのドキュメンタリーで観たものにはぞっとしたよ。あの人たちには、テレビを通しても手に取るように感じれるほどの憎悪のエネルギーがあって。だからこの曲のコーラスは、彼らに対する言葉なんだ。“あんたらが毎日いつの時代だと思って生活してんのかは知らないけど、いい加減目を覚ませよ!”って言っている(笑)。俺の両親の話が出てくるのは、もちろんそれが俺個人のストーリーっていうか、俺の人種に対する見解の一部だから。

-これまでの取材でもたくさん聞かれてきたことかもしれませんので大変恐縮ですが、あらためてこの質問もさせて下さい。今回のアルバムにも「Superlove」や「Looking Back On Love」など、“LOVE”というフレーズが随所に見られます。その“LOVE”というフレーズを多く作品対して用いる貴方にとって、“LOVE”とはどういうものですか?

どういうものか? う〜ん、それは説明できるかわからない。俺たちの存在のエッセンスじゃない? 創世主っていうものを信じるなら、俺たちはみんな“LOVE”から生まれたものだと思う。“LOVE”こそみんなが常に探してるものだし、同時に俺たちはみんな“LOVE”で出来てるものだと思う。これこそ俺たちが最も自然体でいる状態なんじゃないかな。子供みたいに。でもこの世の中で生きていくうちに混沌や罪に触れて、みんな変化してしまう。でも元はみんな“LOVE”が原材料になって存在してると思ってるね。今最も“LOVE”を注いでるものはひとつじゃない。友達、家族、恋愛、趣味、いろんなところに溢れてるものだし、いろんなところに注いでるよ。

-最後に、日本のファンへもあらためて“LOVE”を込めたメッセージをいただけましたら幸いです。東日本大震災の被害から復興の道を歩んでいる日本の人々を力づけるようなメッセージをいただけましたら幸いです。

まず、また日本に行くのを楽しみにしてると伝えたい。最後に行ったのはもうずいぶん前だからね。日本ではすごく素晴らしい体験をしたんだ。北から南まで回ったんだよ。北海道からずっと南の方まで。武道館でコンサートしたりしてね。本当に素晴らしい思い出ばっかりさ。だからぜひまた訪問したいって思ってる。それと、サポートの形としてもぜひ訪れたい。今年の災害のニュースには俺も本当に心が痛んだんだ。本当にショックを受けた。だから行きたい。俺じゃなにもできないけど、その場に行って自分がオファーできるものを届けたい。俺の友達でも何人か日本に行った人たちがいるんだ。何ができるかわかんないけど、何もしないではいられないから、って。“助けに行ったんだぜ”なんて英雄気取りするためじゃなくて、“どうしたらいいかわかんないけど、とにかく現場に行って、一人でもいいから誰かを救えたら”とか、ちょっとでも被災地の掃除を手伝えたらって。ニューオリンズでもここ数年そうしてきたけど、俺も何か自分でできる形で協力したいって思ってるんだ。