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INTERVIEW

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PATRICK WOLF

PATRICK WOLF

Member:Patrick Wolf

Interviewer:佐々木 健治


-なるほど。

あ、でも年齢もあるのかも(笑)。ツアー、ツアーって頑張っていたのは20代前半だったし、一つ終って家に帰ったら、すぐに荷造りをして次に行きたいっていうくらい張り切っていたんだけど、歳を重ねた時にふっと振り返ると、電話をする相手もいないじゃないかと。お金もある、成功もある、だけど、それを分かち合う相手がいないことに気がついたんだ。どんなに外で楽しい思いをしていても、待っていてくれる人がいる、Skypeをする相手がいるっていうような楽しさを忘れていたのかもしれないな。もちろん、家族や友達はいるけれど、パートナーって呼べる存在っていうのは大きいと思ったんだ。
なんて言う僕はちょっとロマンティック過ぎるかな(笑)。

-(笑)今は幸せな状況になっていると思う?

2008年の制作の過程を振り返ると・・・何だっけ?スーパーマンだったかな。鏡の中に全ての悪人を閉じ込めるっていうシーンがあったんだけど、そういう感じ(笑)。このアルバムにあらゆるネガティヴなものを詰め込んでしまったから、これは開かずの箱みたいなものになったんだよね。今はその先にいるってことかな。

-そのアルバムからの曲をやったショウは、とても楽しそうに見えましたけど、ライヴは別物?

確かにそうだね!ライヴをやる時は、その開かずの箱を少し開けないといけないんだよね。だけど、ああやって素晴らしいお客さんの前でやることができれば、それが触媒作用というか、カタルシスになるところもあるよ。演奏することで、皆に拍手喝采をしてもらえるでしょ。ベッドルームでこういうことを考えてウダウダ泣きながら、「ああ、人生とんでもない」なんて考えているよりは、開かずの箱がちょっと開いたとしても、祝祭感覚を味わうことができるからね。

-なるほど。じゃあ、最後の質問です。『The Bachelor』とは別にもう一枚アルバムがあるんですよね。それはどういうアルバムですか?

それも、何度も完成しているんだけどね(笑)。最初の段階で2枚のアルバムが完成していて、一緒に出そうと思っていたんだけど、リリースまでの間にまたいろいろな経験をして、人生もハッピーな方向に転がっていったから、手直しをしているんだよね。今の僕の人生に照らし合わせたような、もっとビッグでもっとハッピーなアルバムに仕上がってきているんだ。二つのアルバムは、双子のような存在なんだけど、お互い全然違っていて、祝祭感がより現れているものになる。まず、自分がとても悪い状況にいたということを自分で認めて、そこに僕のことを信じてくれる誰か(家族でも恋人でもいいけれど)が入ってきて、「この状態を乗り越えれば、また幸せな時期がやってくるから、大丈夫だよ」と言ってくれた。そういう経験を踏まえて、出来上がるのが次のアルバムということになるよ。