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INTERVIEW

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WHITE LIES

WHITE LIES

Member:Harry McVeigh(Vo./G),Charles Cave(B)

Interviewer:佐々木 健治


-音楽の不思議なところで、ロックにしろポップにしろ、歌っていることは、深かったり、暗いもの、もしくは、ネガティヴなものなのに、それを共有すると、とてもポジティヴな変化が起きるじゃないですか。ある意味、宗教的な救いに近いものがある。今の話を聞いていると、音楽のそういう要素には、意識的なのかなと思ったんですけど。

H:音楽にあるネガティヴだったり、暗い経験、出来事をパワフルで高揚感のある音楽で表現することによって、自分達が癒される部分というのはあるよね。今日会ってみて、自分達が決して陰鬱な人間じゃないことも分かってもらえたと思うけど、それはきっと、ライヴやアルバムで、そういう感情を音楽で表現しているからだと思う。

-WHITE LIESは、よくJOY DIVISIONが引き合いに出されますよね。何度も言われていると思うんですけど。

H&C:(苦笑)

-ただ、僕は個人的にはそこまで似ていると思っていなくて。JOY DIVISIONは、本当に救いがないと思うんです。絶望しすぎなくらい、絶望している。逆に、WHITE LIESは、決して明るい世界観ではないにしても、ちゃんと光が見える音楽だと思うんです。ライヴもストレートで、高揚感のある音楽だと思うし。

H:そう言ってもらえると嬉しいな。確かに、JOY DIVISIONとはよく比較されるんだけど、自分達でも違うと思っているから。もちろん、JOY DIVISIONが嫌いなわけじゃないよ。でも、自分達が目指しているものっていうのは、まさに今やっているような音楽で、JOY DIVISIONの音楽って、もっと冷たいし、君が言っていたように、Ian Curtisは絶望に満ちた人だと思うんだ。自分達は、暗いこと、辛いことを高揚感を持った音楽で表現することによって、癒される。そういう部分は、ライヴだと、音源以上に出てくると思う。

-癒しという言葉がお二人から出ましたが、癒しという要素が、あなた達が音楽をやる動機付けになっている?

C:それは確かにあるね。多分、素晴らしいと言われている芸術、絵画であれ、音楽であれ、演劇であれ、あらゆる芸術の動機付けになっていると思う。自分が癒されるということがね。自分を表現することで、何と言うか、肩の荷が下りたり、わだかまりが消えるっていうのが大きいと思うよ。もちろん、他にも動機はあるよ。音楽を作る、曲を構成するっていうことで、ミュージシャン、ソングライターとして、もっといい作品を作っていきたいというような向上心ももちろんあるし。だけど、同時に、心の中を吐き出して、演奏することで得られる充実感っていうのは、他にはちょっとないものなんだ。

-歌詞を見ていて、あなた達には、死という絶対的なテーマがあると思いますが。

C:歌詞の中の死っていうものが象徴するものは、何かを喪失することで、その喪失したことによって、感じる感情というか。だから、歌詞の中の死っていうのは、必ずしも、言葉通りの死ではなくて、恋愛や友情がダメになることでもいいし、大切なものでもいいんだけど、そういう時に自分が味わう感情を象徴するものとして、死という言葉を使っているんだ。永遠に続くものはないっていうことを受け入れる、いつかは終るという意味で、死というものが歌の中に出てきているんだ。

-現実に感じる疎外感がまずあって、避けることができない死というものを見つめているように感じるのですが。死にある種の救いを見出そうとしているというか。

「From The Stars」なんかは、生きているんだか、死んでいるんだか分からない、生死のちょうど真ん中にいるというか、生きている実感がないという意味では、そういう風に言えるかもね。

-「Unfinished Business」なんかは、教会で流れているような音楽というか、何といえばいいのか分かりませんが、そういう宗教音楽の影響も感じますよね。

C:この曲については、物語の主人公が、ベッドルームで、自分の知らないところで、自分の葬式が行われている、主人公が生きる希望を失っているっていうようなことを歌っているから、レクイエムのようなイメージが合うと思って使ったんだ。
H:子供の頃から、教会に行っていたし、小さい頃には賛美歌隊で歌ったりもしていたけどね。僕の歌い方にその頃の影響はあるかもしれないけど、バンドとして、意識的にそういう宗教音楽的な要素を持った音楽をやろうというわけじゃなくて、この曲のイメージに合うと思ったから、そういう要素を取り入れてみたってことだよね。

-ちなみに、Hurryが最初に音楽を始めたのは、その賛美歌隊ですか?

H:公の場で歌ったという意味では、そうだね。それから、バンドで歌うようになったのは、今のメンバーとやりだしてからだよ。賛美歌隊は賛美歌隊で学ぶことは多くて、あれだけの大人数でハーモニーもあって歌うっていうのは、すごく楽しかった。

-そこから、ロックに入り込んだきっかけは?

H:10歳とか、11歳とかの時に、RAGE AGAINST MACHINEだとか、QUEENS OF THE STONE AGEが大好きになったんだ。周りの友達もそういうバンドが好きだったし、僕も大好きだった。それから、今のバンドのメンバーと会って、誰も歌う奴がいなかったから、「俺が歌うよ」ってなったんだ。そして、徐々に曲を作ったり、歌詞をつけたり、そういうことを学んでいったんだよね。

-それじゃあ、今、お気に入りのバンドは?

H:MASTODONの新作が大好きだよ。 C:BJORKは大好きで、よく聞いている。あと、NICK CAVEも。 H:CLARKも好きだ。新しい『Growls Garden』っていうEPで、初めて歌が入っているんだよね。

-CLARKって、WARPレーベルの?

H:そう!

-CLARKのそのEPは、丁度僕も買ったばかりです。いいですよね。

H:あのEPの一曲目が凄くいいよね。

-僕も好きです。それにしても、結構、聴く音楽がバラバラですね。

H:うん。結構、何でも聴くんだよ。SQUAREPUSHERとかも聴くし。 C:VENETIAN SNAIRS(カナダ在住のAARON FUNKによるプロジェクト)の『Rossz Scillag Allat Szuletett』っていう、鳩のアートワークのアルバムもいいよ。ハンガリーのクラシックをサンプリングして、ビートを載せているんだけどね。その元ネタになった曲が、ハンガリーの自殺歌曲(?)みたいなものでさ。初めて演奏された時に、あまりに憂鬱過ぎて、8人くらい自殺者が出たみたいな、本当に憂鬱な曲なんだ。それをサンプリングしてるんだけど、曲の作り方が、ためてためて、「何だ、クラシックかよ」と思わせておいて、ガツンとビートがくるみたいな展開で、とにかく凄いんだよ。(延々と話が止まらず。)

-それは聴いたことがないので、今度聴いてみます。

C:うん。是非、聴いてみて!