Japanese
さユり
2020年04月号掲載
Writer 山口 智男
メジャー・デビュー5周年を迎える今年2020年、これまで"2.5次元パラレルシンガーソングライター 酸欠少女 さユり"と掲げ、活動してきたさユりは、新しい時代を迎えようとしているようだ。それは5周年だからというよりは、数年来じわじわと高まってきた、あるいは、はっきりとしてきた自らの内なる思いを、5周年という節目をきっかけに実行に移そうということかもしれない。
その第1歩であると同時に今年2020年が彼女にとって、挑戦且つ飛躍の年になるという予感を裏づけるというか、確信に変えるのが、4月1日に配信限定リリースしたニュー・シングル「ねじこ」と6月3日にリリースするさユり初の弾き語りアルバム『め』の2作品だ。
新たな"さユりワールド"の始まりを告げる2作品の聴きどころに迫る
"ねじこ"というタイトル。
耳にしたことがない言葉だから、造語かもしれないと思ったらやっぱり、不器用な足取りでも、"根(ね)"を張り"自(じ)分らしく"一歩一歩ひたむきに"航(こ)海"する主人公の気持ちを表現したものだという。
航海をコンセプトにしていることからも、この「ねじこ」がひとつ前のシングル『航海の唄』の延長上にあることは明らかだが、新たなステートメントに聞こえる"ねじこぼれた自由を歌え"というサビの歌詞をはじめ、今回のさユりは、"歩き出せ"と歌いながらまだまだ不安を感じていた「航海の唄」のときとは違って、何かが吹っ切れたように自信に満ち溢れている。"まだ 明日に届かなくても"と歌っていた彼女がここでは"明日へ向かう"、"明日を選ぶ"と歌う。
その他、自信に裏づけられた力強い言葉の数々にぜひ耳を傾けていただきたい。
歌いながら印象的に響かせる"宜候(=船を直進させる操舵号令)"という歌詞が連想させるのは、"よろける足を/少しだけ踏ん張って"船首に立ち、大海原を見渡す少女の姿だ。
これだけでも、「ねじこ」がさユりにとって新たな一歩であることがわかっていただけると思うが、歌詞に込めたそんな思いに応えるように曲調というか、サウンドメイキングもまたこれまでの彼女のどの曲とも違うものになっている。
「ねじこ」を聴いているとギター、ベース、ドラム、そして鍵盤からなるバンドが、これまで通り、アコースティック・ギターをかき鳴らしながら歌うさユりをバックアップする光景が目の前に浮かぶ。オーガニックなんて言葉も使いたくなる生々しいバンド・サウンドは、オルタナ・フォークとでも言えばいいだろうか。ルースに鳴るスライド・ギターもゴキゲンだが、ウェルメイドに作り込んだ、これまでのモダンなロック・サウンドとは明らかに違うアプローチは、「ねじこ」の大きな聴きどころに。
ミュージシャンとして新たなサウンドに取り組みたかったのか、それとも「ねじこ」のステートメントをよりインパクトあるものにするには、その入れ物とも言える楽曲のイメージから大胆に変えたほうがいいと考えたのか。いずれにせよ不穏な空気も若干含みながら鳴るエレピをはじめ、絶妙なバランスの上に成り立っているようなバンド・アンサンブルも実にスリリングだ。
歌詞、曲共に新境地をアピールした「ねじこ」の挑戦はまだまだ始まりに過ぎない。これからどんな挑戦が「ねじこ」に続くのか今から楽しみだ。たぶんさユりは今年1年かけて様々な挑戦をじっくりと見せてくれるんじゃないか。その結果、2020年は彼女にとって大きな転機だったと後々記憶されるに違いない。
「ねじこ」がそんなことを期待させる一方で、6月3日にリリースする『め』は前述したように初の弾き語りアルバムながら、ベスト的選曲がキャリアのひと区切りを印象づける作品になった。そういう作品を「ねじこ」と共にリリースすることで、彼女はやはり新たな時代を始めようとしている! そうダメ押しで確信に変えるわけだが、ひと区切りという意味では、いわゆるベスト・アルバムをリリースしても良かったにもかかわらず、代表曲の数々を弾き語りで再レコーディングしたのはなぜか? それはやはり新しい時代を始めるタイミングで、自分の原点は弾き語りだということを今一度、刻み込んでおきたかったんじゃないか。
これからどんどん新しいことに挑戦していくにあたって、弾き語りの路上ライヴから始めたさユりの出自は変わらないという、これもまたひとつのステーメントでもあると思うし、同時に、たとえこの先迷ったとしても、一度そこに戻ることで、いくらでも軌道修正できる原点があるという自らに向けての確認なのかもしれない。事実、1stアルバム『ミカヅキの航海』が、オリコンデイリーアルバムランキングで1位を獲得したあと、彼女は新宿駅の新南口改札外で弾き語りライヴをやっており、『め』の初回生産限定盤にはそのときの映像を収録したDVDがつく。
もっとも、単純に一番自信のある弾き語りバージョンで、代表曲の数々をより多くの人に聴いてほしかったという、それだけのことかもしれないけれど、ともあれ『め』にはデビュー・シングル「ミカヅキ」、梶浦由記作詞作曲の「それは小さな光のような」、RADWIMPSの野田洋次郎(Vo/Gt)楽曲提供&プロデュースによる「フラレガイガール」、MY FIRST STORYとコラボレーションした「レイメイ」(ALLさユりVo ver)、「航海の唄」など、これまでリリースしてきた全シングル曲に人気のアルバム収録曲、そして、正式音源としては初音源化となるさユりの出発点「夜明けの詩」を加えた全15曲を収録。もちろんすべて新録の弾き語りバージョンでだ。
改めて弾き語りした代表曲の数々が伝えるのは剥き出しのさユりだ。全15曲、71分を一気に聴かせきるのは楽曲そのものの魅力もさることながら、やはり聴く者の胸に迫る歌声によるところが大きい。なんだ、もう誰もがわかりきっていることを言ってら、という声が聞こえてきそうだ。実際そうなんだからしかたないと思うが、じゃあアコギをプレイするさユりのテクニックはどうだ?
だいたいどの曲もサビでは、感情の盛り上がりと共にコードをジャカジャカとかき鳴らしているが、そこにいくまでのイントロや、いわゆる平歌ではスリー・フィンガー、ミュート・カッティング、アルペジオ、ギターのボディを叩くスラム奏法といった様々なプレイを使い分けたり、ダイナミックに鳴らすコード・ストロークも曲ごとにリズムを変えたりしながら、変化をつける弾き語りの"弾き"の部分にも耳を傾けると、さユりというアーティストに対するイメージもまたちょっと変わるんじゃないか。正直、改めて彼女のギターにはびっくりさせられたが、それを考えても、このタイミングで弾き語りアルバムをリリースする意味は大いにあったと思う。
"人と違う感性・価値観に、優越感と同じくらいのコンプレックスを抱く「酸欠世代」の象徴=酸欠少女"や、"2.5次元パラレルシンガーソングライター"として、日々息苦しさを抱えている同世代の少年少女たちの大きな共感を得てきたさユり。今回「ねじこ」と『め』から筆者が感じたのは、より多くの聴き手に届き、共感を得られるシンガー・ソングライターとしての魅力だ。
新しい時代を始めるさユりに迷いはないのだろう。"宜候"と声を上げる彼女に僕らは、ただついていけばいい。
VIDEO MESSAGE
▼リリース情報
さユり
デジタル・シングル
「ねじこ」
NOW ON SALE
[Sony Music Labels]
※アサヒグループ食品「クリーム玄米ブラン」TVCMソング
配信はこちら
弾き語りアルバム
『め』
2020.06.03 ON SALE
※発売日変更
[Sony Music Labels]
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
BVCL-1060~1/¥3,182(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
wataboku描き下ろし 鉛筆画さユり絵巻ジャバラブックレット付き豪華くるみ三方背BOX仕様
watabokuイラスト酸欠少女さユりカード(3種の中から1種ランダム封入)
【通常盤】(CD)
BVCL-1062/¥2,545(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
watabokuイラスト酸欠少女さユりカード(3種の中から1種ランダム封入)
[CD]
1. 夜明けの詩(初正式音源化)
2. ミカヅキ
3. 平行線
4. アノニマス
5. フラレガイガール
6. それは小さな光のような
7. birthday song
8. 航海の唄
9. オッドアイ
10. 蜂と見世物
11. るーららるーらーるららるーらー
12. 月と花束
13. 来世で会おう
14. レイメイ(AllさユりVo ver)
15. 十億年
[DVD] ※初回生産限定盤のみ
1. 2017年5月19日(金)
新宿駅新南口改札外「Suicaペンギン広場」
2000人集結の伝説の弾き語りライブ映像(4曲フル)
・フラレガイガール
・birthday song
・十億年
・ミカヅキ
2. 2017年11月24(金)
TOKYO DOME CITY HALLワンマン
「夜明けの詩」弾き語りノンマイク ライブ映像
- 1
LIVE INFO
- 2025.10.18
-
TOKYOてふてふ
伊東歌詞太郎
挫・人間
シド
OKAMOTO'S
YONA YONA WEEKENDERS
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
アイナ・ジ・エンド
moon drop
RADWIMPS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
bokula.
the cabs
SWANKY DOGS
amazarashi
INORAN
WtB
osage
"LIVE AZUMA 2025"
カミナリグモ
Cody・Lee(李)
阿部真央
Newspeak
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
Keishi Tanaka × 村松 拓
"ASAGIRI JAM'25"
ズーカラデル
I Don't Like Mondays.
Victoria(MÅNESKIN) ※振替公演
ロザリーナ
the paddles
神聖かまってちゃん
LACCO TOWER
星野源
- 2025.10.19
-
DYGL
リュックと添い寝ごはん
OKAMOTO'S
Age Factory
bokula.
ぜんぶ君のせいだ。
moon drop
コレサワ
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
SIX LOUNGE
リリカル / みじんこらっく / とにもかくにも / ティプシーズ / 台所きっちん
SUPER BEAVER
Laura day romance
WtB
Omoinotake
"LIVE AZUMA 2025"
Cody・Lee(李)
ビレッジマンズストア
SPRISE
伊東歌詞太郎
浪漫革命
LUCKY TAPES
ハンブレッダーズ / KANA-BOON / キュウソネコカミ / マカロニえんぴつ ほか
ネクライトーキー×ポップしなないで
Keishi Tanaka × 村松 拓
ナナヲアカリ
"ASAGIRI JAM'25"
高岩 遼
Sou
森 翼
SCANDAL
パピプペポは難しい
osage
星野源
PIGGS
- 2025.10.20
-
打首獄門同好会
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
TOKYOてふてふ
TenTwenty
- 2025.10.21
-
The fin.
神聖かまってちゃん
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
- 2025.10.22
-
ザ・シスターズハイ
打首獄門同好会
キュウソネコカミ
ハク。× YONLAPA
ザ・ダービーズ
MONOEYES
挫・人間
VOI SQUARE CAT
kiki vivi lily
- 2025.10.23
-
DYGL
RADWIMPS
キュウソネコカミ
終活クラブ×ザ・シスターズハイ
MONOEYES
挫・人間
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
RAY
古墳シスターズ
トンボコープ
go!go!vanillas
- 2025.10.24
-
LUCKY TAPES
ExWHYZ
RADWIMPS
amazarashi
YOASOBI
YONA YONA WEEKENDERS
TenTwenty
THE BACK HORN
DYGL
アイナ・ジ・エンド
すなお
ポルカドットスティングレイ
OKAMOTO'S
藤巻亮太
キタニタツヤ
FIVE NEW OLD / 浪漫革命 / MONONOKE(O.A.)
WHISPER OUT LOUD
Cody・Lee(李)
BIGMAMA
僕には通じない
NOMELON NOLEMON
PEDRO
アーバンギャルド
- 2025.10.25
-
フラワーカンパニーズ
秋山黄色
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
コレサワ
超☆社会的サンダル
eastern youth
打首獄門同好会 / ガガガSP / 片平里菜 / AMEFURASSHI ほか
chilldspot
TOKYOてふてふ
brainchild's
フレデリック
LACCO TOWER
YOASOBI
森 翼
Appare!
Rei
Age Factory
DeNeel
osage
優里
Lucky Kilimanjaro
KANA-BOON
ASH DA HERO
the paddles
シド
cinema staff
SUPER BEAVER
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
bokula.
橋本 薫(Helsinki Lambda Club)
toe
ザ・ダービーズ
山内総一郎
INORAN
藤巻亮太
Omoinotake
OASIS
- 2025.10.26
-
フラワーカンパニーズ
DOES
センチミリメンタル
THE BACK HORN
Lucky Kilimanjaro
東京スカパラダイスオーケストラ
崎山蒼志
PIGGS
KANA-BOON
eastern youth
渡會将士
森 翼
超能力戦士ドリアン
優里
bokula.
モーモールルギャバン×ザ・シスターズハイ
オレンジスパイニクラブ
Appare!
ポルカドットスティングレイ
Age Factory
古墳シスターズ
Cody・Lee(李)
DeNeel
Mrs. GREEN APPLE
osage
阿部真央
moon drop
jizue
DYGL
INORAN
OASIS
ACIDMAN
9mm Parabellum Bullet
I Don't Like Mondays.
- 2025.10.27
-
YOASOBI
錯乱前戦
Damiano David(MÅNESKIN)
- 2025.10.28
-
終活クラブ
SIX LOUNGE
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
吉澤嘉代子
藤巻亮太
超能力戦士ドリアン
サニーデイ・サービス × NOT WONK
リュックと添い寝ごはん
- 2025.10.29
-
吉澤嘉代子
Damiano David(MÅNESKIN)
amazarashi
キュウソネコカミ
moon drop
怒髪天
- 2025.10.30
-
超☆社会的サンダル
LONGMAN
YOASOBI
凛として時雨
夜の本気ダンス
キュウソネコカミ
SIX LOUNGE
打首獄門同好会
Nikoん × Apes
挫・人間
- 2025.10.31
-
すなお
ExWHYZ
吉澤嘉代子
東京スカパラダイスオーケストラ
LONGMAN
YOASOBI
ガガガSP
フリージアン
FINLANDS
Newspeak
夜の本気ダンス
go!go!vanillas
超能力戦士ドリアン
岸田教団&THE明星ロケッツ
ポップしなないで
RAY
アイナ・ジ・エンド
- 2025.11.01
-
東京スカパラダイスオーケストラ
怒髪天
PIGGS
超☆社会的サンダル
ポルカドットスティングレイ
MONOEYES
シド
LACCO TOWER
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
LiSA
Omoinotake
"ボロフェスタ2025"
ドミコ
TOKYOてふてふ
Dannie May
SIX LOUNGE
hockrockb
go!go!vanillas
osage
RADWIMPS
The Biscats
brainchild's
ぜんぶ君のせいだ。
INORAN
chilldspot
moon drop
KANA-BOON
AFTER SQUALL
松永天馬(アーバンギャルド)
NANIMONO
愛美
CYNHN
DeNeel
kobore
the cabs
離婚伝説
[Alexandros] / WANIMA / UNISON SQUARE GARDEN / くるり ほか
- 2025.11.02
-
osage
OKAMOTO'S
PIGGS
HEP BURN
秋山黄色
吉澤嘉代子
MONOEYES
セックスマシーン!!
ビレッジマンズストア
離婚伝説
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
"ボロフェスタ2025"
KING BROTHERS
wacci
Laura day romance
PIXIES
Devil ANTHEM.
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
Dannie May
ぜんぶ君のせいだ。
INORAN
キタニタツヤ
moon drop
KANA-BOON
AIRFLIP
ハンブレッダーズ×秀吉×囲碁将棋
羊文学 / sumika / クリープハイプ / マルシィ ほか
私立恵比寿中学
The Biscats
WtB
:[Alexandros] / 10-FEET / go!go!vanillas / マカロニえんぴつ ほか
bokula.
RELEASE INFO
- 2025.10.19
- 2025.10.22
- 2025.10.24
- 2025.10.25
- 2025.10.26
- 2025.10.29
- 2025.10.30
- 2025.10.31
- 2025.11.05
- 2025.11.07
- 2025.11.09
- 2025.11.10
- 2025.11.11
- 2025.11.12
- 2025.11.14
- 2025.11.18
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
暴動クラブ
Skream! 2025年10月号