Overseas
ATOMS FOR PEACE
2013年03月号掲載
Writer 伊藤 洋輔
ATOMS FOR PEACE(平和のための原子力)――現音楽シーンにおいて、世界中からその動向に注目が集まるRADIOHEADのフロントマンThom Yorkeと、RED HOT CHILI PEPPERSのベーシストFlea、BECKやR.E.M.のバックで有名なドラムスJoey Waronker、David Byrneの秘蔵っ子であり最近ではBrian Enoをサポートするなど大御所が絶大な信頼を寄せるブラジル人パーカッショニストMauro Refosco、そして数多くのプロデュースを手掛けながら、RADIOHEAD第6のメンバーとまで評される知性派Nigel Godrichで形成された。これほどの豪華な顔触れだけに、しばしば彼らを“スーパー・グループ”なんて呼ぶ声もあるが、Thomは公式インタビューでこう反論する。“僕が説明に苦労するのは、これがバンドなのかとか、本当に勘弁して欲しいんだけど、スーパー・グループなのかとか、そういう類の話じゃない。すべては、基本的に僕が自宅でラップトップ上で作ったガラクタの数々を核に形作られたって点なんだ。ひとつの出発点、ひとつの美意識として。だからそこには、優れたミュージシャンたちがマシーンを真似て、その音源を用いたり、あるいはまた別のマシーンを用いたりという、奇妙なせめぎ合いがある。もしくは、両者の奇妙なミクスチュアがね。それが、『The Eraser』に辿れる僕らの出発点であり、そこからふたつの要素の間で対話が始まったのさ。だから、単に“僕らはバンドで、存続可能です”って話じゃなくて、もっとそれ以上の存在なんだよ”、と。
そう、この“もっとそれ以上の存在”の出発点は『The Eraser』のライヴ再現という名目だった。ラップトップで作られた『The Eraser』という極私的な世界観をライヴ空間で共有する試みは、音源とは別次元のフィジカルをもたらし、さらに新たな発見となる創作意識を刺激されたという。そうしてリリースされたのがアルバム『Amok』である。アコーステックとエレクトロニックを巧みに配し、または大胆にエディットし、さらにその境界線は曖昧にしたアブストラクトな音響の数々。LAビート、ヒップ・ホップ、ハウス/テクノ……先鋭的なビートに彩られた世界観は、『The Eraser』の進化として納得できるし、RADIOHEAD関連で交流もあるFOUR TETやFLYING LOTUSに近いものだ。しかも歌声は全編エモーショナルな起伏のない静謐な囁きとくる。パフォーマンスを体感した者ならもっとバンド・アンサンブルとしての何かを期待したと思うが(正直、Fleaの影が薄い!)、やはりイニシアティヴはThomに委ねられているのを痛感する。
“アイゼンハワー米大統領が提唱した“平和のための原子力”のコンセプトは示唆に富んだものですが、どういうニュアンスでとらえているのか?”という質問に対しては、Thomはこう答える。“言うまでもなく、今の時代においては多方面で非常に深く共鳴するコンセプトだよね。日本で、北朝鮮で、イランで。そしてこういうナイーヴな、1950年代末に我々に原子力を強引に売りつけた手法と、その行く末にもね。僕の父は原子物理学者で、インペリアル・カレッジ・ロンドンで学んで、1950年代末に、何の防護処置もせずにプルトニウムを入れた試験管を持って歩き回ってた。それが普通だったんだよ。危険だってことを知らなかったのさ。だからそういうナイーヴさがあって、そこが気に入った。バンドをATOMS FOR PEACEと命名したかった大きな理由のひとつは、そのナイーヴさと、裏に潜んでいる闇、そのナイーヴな考えがどういう結末に辿り着き、どう変質したのかっていう対比にあるんだよ(笑)。でもそれと同時に、“平和のための原子力”という言葉の響きからして、一種の不思議な運動エネルギーを示唆するだけでなく、静けさをも表現しているよね。それは、アイゼンハワーの提唱とは一切関係ない。また他方では、今我々が直面している危機にも思索を向かわせる――”。
非ギターとしたロック・フォーミュラの在り方から音源価格フリーという販売方法、パフォーマンスにおける斬新なライティングによるアーティスティックなビジュアル・デザインなど、常に先見的/革新的な考えを持って歩み続け既存の価値観を打ち壊し続けるThomのこの言葉が意味深に響く。『OK Computer』~『Kid A』期によるカッティング・エッジな時代は過ぎたとはいえ、まだまだこのカリスマはあらゆる示唆を与えてくれるようだ。ただでさえ“原子力”という言葉に敏感な現在、あなたはこのナイーヴで深い闇の向こうに何を想い、何を語るか……。
- 1
LIVE INFO
- 2025.10.31
-
すなお
ExWHYZ
吉澤嘉代子
東京スカパラダイスオーケストラ
LONGMAN
YOASOBI
ガガガSP
フリージアン
FINLANDS
Newspeak
夜の本気ダンス
go!go!vanillas
超能力戦士ドリアン
インナージャーニー
岸田教団&THE明星ロケッツ
ポップしなないで
RAY
アイナ・ジ・エンド
- 2025.11.01
-
東京スカパラダイスオーケストラ
怒髪天
PIGGS
超☆社会的サンダル
ポルカドットスティングレイ
MONOEYES
シド
LACCO TOWER
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
LiSA
Omoinotake
"ボロフェスタ2025"
ドミコ
TOKYOてふてふ
Dannie May
SIX LOUNGE
hockrockb
go!go!vanillas
osage
WurtS
RADWIMPS
The Biscats
brainchild's
ぜんぶ君のせいだ。
INORAN
chilldspot
moon drop
インナージャーニー
KANA-BOON
AFTER SQUALL
松永天馬(アーバンギャルド)
NANIMONO
愛美
CYNHN
DeNeel
kobore
the cabs
離婚伝説
[Alexandros] / WANIMA / UNISON SQUARE GARDEN / くるり ほか
- 2025.11.02
-
osage
OKAMOTO'S
PIGGS
HEP BURN
秋山黄色
吉澤嘉代子
MONOEYES
セックスマシーン!!
ビレッジマンズストア
離婚伝説
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
ビッケブランカ × Salyu
"ボロフェスタ2025"
KING BROTHERS
wacci
Laura day romance
PIXIES
WurtS
Devil ANTHEM.
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
Dannie May
ぜんぶ君のせいだ。
INORAN
キタニタツヤ
moon drop
秋野 温(鶴)
KANA-BOON
AIRFLIP
ハンブレッダーズ×秀吉×囲碁将棋
羊文学 / sumika / クリープハイプ / マルシィ ほか
私立恵比寿中学
The Biscats
WtB
:[Alexandros] / 10-FEET / go!go!vanillas / マカロニえんぴつ ほか
bokula.
- 2025.11.03
-
irienchy × no more
NANIMONO
秋山黄色
フレデリック
怒髪天
OKAMOTO'S
東京スカパラダイスオーケストラ
Devil ANTHEM.
ポルカドットスティングレイ
セックスマシーン!!
キタニタツヤ
シド
LiSA
"ボロフェスタ2025"
yama
キュウソネコカミ
愛美
brainchild's
藤巻亮太
AIRFLIP
私立恵比寿中学
Bye-Bye-Handの方程式
moon drop
SPRISE
SCOOBIE DO
the telephones
フラワーカンパニーズ
清 竜人25
THE BACK HORN
凛として時雨
Age Factory
hockrockb
LACCO TOWER
阿部真央
- 2025.11.06
-
RADWIMPS
古墳シスターズ
ねぐせ。
超能力戦士ドリアン
吉澤嘉代子
TENDOUJI
東京スカパラダイスオーケストラ
THE SPELLBOUND
LEGO BIG MORL
LONGMAN
キュウソネコカミ
フィロソフィーのダンス
夜の本気ダンス
GLIM SPANKY / 神はサイコロを振らない / レトロリロン
礼賛
ブランデー戦記
- 2025.11.07
-
YONA YONA WEEKENDERS
コレサワ
Rei
SIX LOUNGE
古墳シスターズ
あたらよ
Chimothy→
NANIMONO
超能力戦士ドリアン
崎山蒼志
ザ・シスターズハイ
MONOEYES
インナージャーニー
PompadollS
LEGO BIG MORL
androp
reGretGirl
終活クラブ
フレデリック
DOES
brainchild's
LUCKY TAPES
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
- 2025.11.08
-
VII DAYS REASON
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
ねぐせ。
FINLANDS
フラワーカンパニーズ
NANIMONO
Rei
SCOOBIE DO
打首獄門同好会
離婚伝説
PIGGS
終活クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
moon drop
キュウソネコカミ
eastern youth
wacci
Cody・Lee(李)
フレデリック
osage
怒髪天
優里
ASH DA HERO
irienchy × no more
パスピエ
MONO NO AWARE / ウルフルズ / Jeremy Quartus(Nulbarich) / SIRUP ほか
向井秀徳 / the band apart / ラブリーサマーちゃん / サニーデイ・サービス / 石野卓球 ほか
ザ・シスターズハイ
藤巻亮太 / SHE'S / SOIL&"PIMP"SESSIONS / 寺中友将(KEYTALK) / CENT ほか
ビレッジマンズストア
- 2025.11.09
-
コレサワ
VII DAYS REASON
Mrs. GREEN APPLE
Laura day romance
ねぐせ。
NANIMONO
SUPER BEAVER
フラワーカンパニーズ
あたらよ
ズーカラデル
osage
FINLANDS
SCOOBIE DO
MONOEYES
SPRISE
Devil ANTHEM.
崎山蒼志
打首獄門同好会
キタニタツヤ
リュックと添い寝ごはん
LUCY
水平線
KANA-BOON
ラックライフ
暴動クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
chilldspot
インナージャーニー
ドミコ
森 翼
PompadollS
Appare!
キュウソネコカミ
eastern youth
Cody・Lee(李)
BLUE ENCOUNT
優里
岸田教団&THE明星ロケッツ
Rhythmic Toy World / BIGMAMA / LACCO TOWER / kobore ほか
ASIAN KUNG-FU GENERATION / SHISHAMO / 水曜日のカンパネラ / TENDRE ほか
シド
"四星球放送局FESTIVAL"
Dannie May
a flood of circle
センチミリメンタル
怒髪天
- 2025.11.10
-
SUPER BEAVER
鶴
リュックと添い寝ごはん
The Gentle Flower. / kalmia / Halujio ほか
荒谷翔大
Helsinki Lambda Club
超能力戦士ドリアン
- 2025.11.11
-
PEDRO
Age Factory×ジ・エンプティ
BIGMAMA
Laughing Hick
SAKANAMON
僕には通じない
Ado
- 2025.11.13
-
MONOEYES
ザ・クロマニヨンズ
PEDRO
東京スカパラダイスオーケストラ
あいみょん
YOASOBI
syrup16g × ZION
超☆社会的サンダル
さとうもか
Tempalay
キタニタツヤ
Rei
片平里菜
ドミコ
NEE
amazarashi
PENGUIN RESEARCH
Hump Back
- 2025.11.14
-
コレサワ
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
ポルカドットスティングレイ
SCANDAL×ハク。
CVLTE
Rei
フレデリック
WurtS
超☆社会的サンダル
NANIMONO
go!go!vanillas
FINLANDS
EASTOKLAB
フリージアン
ゴホウビ
緑黄色社会
- 2025.11.15
-
MOS
チリヌルヲワカ
SCOOBIE DO
ザ・クロマニヨンズ
the paddles
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
東京スカパラダイスオーケストラ
離婚伝説
Cody・Lee(李)
SCANDAL / 水曜日のカンパネラ / YONA YONA WEEKENDERS / Jeremy Quartus(Nulbarich) / SIRUP ほか
YOASOBI
PIGGS
eastern youth
wacci
TOKYOてふてふ
超能力戦士ドリアン
ExWHYZ
CNBLUE
SPRISE
UVERworld
meiyo
Mrs. GREEN APPLE
フレデリック
ズーカラデル
ビレッジマンズストア
WurtS
すなお
NEE
暴動クラブ
崎山蒼志
フラワーカンパニーズ
リーガルリリー
THE BACK HORN
YJC LAB.
くるり
Nothing's Carved In Stone
"氣志團万博2025"
9mm Parabellum Bullet
INORAN
moon drop
PENGUIN RESEARCH
RELEASE INFO
- 2025.10.31
- 2025.11.01
- 2025.11.05
- 2025.11.07
- 2025.11.09
- 2025.11.10
- 2025.11.11
- 2025.11.12
- 2025.11.14
- 2025.11.17
- 2025.11.18
- 2025.11.19
- 2025.11.21
- 2025.11.26
- 2025.12.03
- 2025.12.05
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
暴動クラブ
Skream! 2025年10月号








