Japanese
BO NINGEN
2013年03月号掲載
Writer 小田部 仁
なにかが、震える音がする。このイギリス発の最高にスタイリッシュな日本人サイケデリック・ロック・バンド、BO NINGENの2ndアルバム『LINE THE WALL』をかける時は、スピーカーを使って、なるべくラウドな音でプレイした方がいい。音の洪水を全身で感じろ……とか、そういうダサいことを言っているんじゃない。隣人に気を使って小さな音で再生する、善良でいい子ちゃんな都会育ちのきみは、こうしつこく言い聞かせておかないと、轟音の後ろに幽かに、でも確かに在る、エモーショナルで切実な響きを、きっと聴き逃してしまうから。もう一度言う、スピーカーのヴォリュームをフルテンにせよ。目を見開いて、混沌の向こう側をしっかりと見据えるんだ。
BO NINGENは、ロンドンのとあるアート・カレッジの周辺で、Taigen Kawabe(Vo/Ba)を中心に結成された。メンバーは、Taigenを含め、Kohhei Matsuda(Gt)、Yuji Tsujii(Gt)、Mon Chang(Dr)の4人。全員が日本人でありながら、現在の活動の拠点はイギリス・ロンドンである。日本の典型的なカレッジ・ライフに憧れを抱けなかったからロンドンに出てきた、なんて嘯く、飄々としたかれらの涼しげな態度とは裏腹に、内向きと言われて久しい日本人の若者が今、ここまでやったか! と、快哉を送りたくなるような、彼らのイギリス本土における縦横無尽の活躍には目を見張るものがある。クラウト・ロックの重鎮・元CANのダモ鈴木やTHE HORRORSのFaris(Vo)に見初められ、グラストンベリーやOFFSETフェスティバルなど、イギリスの有名フェスに相次いで出演。2010年のデビュー・アルバム『BO NINGEN』は、NMEなどの海外音楽メディアで高い評価を勝ち取った。胸まで伸ばした長髪、独特の服装、ミステリアスな雰囲気など……ファッション・アイコンとしても彼らは注目され、ファッション誌やシューズ・メーカーの広告にもモデルとして起用された。
全曲日本語詞でありながらも、海外でBO NINGENがここまで評判を呼んだのは、かれら自身のアイコンとしての存在感の強さにあるのだろう。混沌と沈静が交錯する緩急のある音楽と、この世のものとは思えないその個体としての圧倒的なプレゼンスで、場を異世界へと変質させてしまう。彼らの音楽的系譜の上流にある日本のサイケデリック・ロックの長老、灰野敬二が、そんな危うい秘術を発明したように、BO NINGENというバンドもまたその魅力を受け継いでいる。そして、その力が最大限に発揮されるのは、かれらの姿と音に直接触れることの出来るライヴ・パフォーマンスにおいてなのだろう。
このアルバム『Line The Wall』でも、それは意識されている。「Soko」の地を這うような轟音で幕を開け、「Natsu No Nioi」で静かに余韻を残したまま消えていく……整然と仕立てられた曲順は、アルバム全体で一夜のライヴの魔法を体現しているかのようだ。曲間は極めて短く設定され、息つく暇を与えない。一度、再生ボタンを押したら最後、空間がぐにゃぐにゃとBO NINGENたちに歪曲されていくのを、きみはただ見ていることしか出来ないのだ。
しかし、破滅的な音圧や、ただ踊り狂うだけの夜を『Line The Wall』に求めるなら、それはきっとある意味で、完全に間違っている。空間の変質というのは、ただ、破壊衝動においてのみなされるものではないからだ。「Natsu No Nioi」や「Ten To Sen」から明かに薫る透明な叙情性は、ノイズの連続にも匹敵する強い効力をもち、少しずつ、心の底に淀んだ澱を溶かしていく。BO NINGENはFUGAZIやFAUSTなどのハードコア・バンドからの影響を指摘されることが多いが、メタリックな轟音だけが彼らの音楽を的確に表す表現ではないということをここに記しておきたい。
音楽が止んだ時、きっと、きみはまたひとりぼっちでいつもと変わらない風景の中に佇んでいる。スピーカーからはジリジリと小さなノイズが聴こえる。でも、きみは気づく、見た目には同じでも、なにかが確実に変わってしまったことに。そして、きみの手の中には、BO NINGENの『Line The Wall』がある。轟音の後に訪れた静寂は、もう以前と同じものではない。そこには確かに“響き”がある。
- 1
LIVE INFO
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
豆柴の大群
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
- 2025.12.11
-
MONOEYES
あいみょん
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
山本彩
オレンジスパイニクラブ
BIGMAMA
ポルカドットスティングレイ
そこに鳴る
The Ravens
FRANZ FERDINAND
- 2025.12.12
-
Hump Back
VII DAYS REASON
Chimothy→
崎山蒼志
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
Nikoん
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
DURAN
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
Nikoん
石崎ひゅーい
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
- 2025.12.14
-
downy / toe / unripe / aieum
(sic)boy
VII DAYS REASON
LiSA
ねぐせ。
10-FEET / クリープハイプ / go!go!vanillas / Saucy Dog ほか
UVERworld
ぜんぶ君のせいだ。
Devil ANTHEM.
フラワーカンパニーズ
TOMOO
NEE
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
OAU
PEDRO
Nikoん
石崎ひゅーい
kobore / Suspended 4th / ザ・シスターズハイ / ザ・シスターズハイ ほか
鶴
SHERBETS
RADWIMPS
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
MOSHIMO
スカート
PHALUX
Bimi
ASP
22/7
古墳シスターズ
クジラ夜の街
[Alexandros]
キタニタツヤ
- 2025.12.15
-
MONOEYES
Kroi
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
anewhite
山田将司(THE BACK HORN)/ 大木伸夫(ACIDMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) ほか
TOOBOE
Mrs. GREEN APPLE
Hump Back
- 2025.12.16
-
くるり
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
優里
YOURNESS
GANG PARADE
ザ・クロマニヨンズ
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.12.18
-
桃色ドロシー
あいみょん
くるり
Nikoん
東京初期衝動
The Ravens
リーガルリリー
ザ・クロマニヨンズ
渡會将士
高岩 遼
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Homecomings
PompadollS
- 2025.12.19
-
(sic)boy
Helsinki Lambda Club
桃色ドロシー
ガラスの靴は落とさない
Nikoん
flumpool
吉井和哉
東京初期衝動
LiSA
BIGMAMA / THE BOYS&GIRLS / KALMA / オレンジスパイニクラブ / ハク。
SHERBETS
VII DAYS REASON
キノコホテル
羊文学
僕には通じない
Mrs. GREEN APPLE
BLUE ENCOUNT
- 2025.12.20
-
NANIMONO
PENGUIN RESEARCH
LACCO TOWER
RADWIMPS
ポルカドットスティングレイ
ぜんぶ君のせいだ。
The Cheserasera
flumpool
ハシリコミーズ
ZOCX
クジラ夜の街
ExWHYZ
浪漫革命
mudy on the 昨晩
"MERRY ROCK PARADE 2025"
ザ・クロマニヨンズ
Awesome City Club
LUCY
アイナ・ジ・エンド
め組
ACIDMAN
UVERworld
パピプペポは難しい
eastern youth
Mrs. GREEN APPLE
優里
- 2025.12.21
-
NANIMONO
The Biscats
桃色ドロシー
クジラ夜の街
RADWIMPS
LACCO TOWER
NEE
東京スカパラダイスオーケストラ
GLIM SPANKY
フラワーカンパニーズ
MOSHIMO
DURAN
(sic)boy
"MERRY ROCK PARADE 2025"
VII DAYS REASON
ザ・クロマニヨンズ
LiSA
Newspeak
齋藤知輝(Academic BANANA)
Keishi Tanaka
鶴
清 竜人25
MONOEYES
暴動クラブ
UVERworld
OKAMOTO'S
優里
- 2025.12.22
-
DOES
東京スカパラダイスオーケストラ
フラワーカンパニーズ
Kroi
FINLANDS
アーバンギャルド × 氣志團
あいみょん
- 2025.12.24
-
Nikoん
松永天馬(アーバンギャルド)
忘れらんねえよ
moon drop
安藤裕子
RELEASE INFO
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2025.12.26
- 2026.01.01
- 2026.01.04
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.11
- 2026.01.14
- 2026.01.16
- 2026.01.21
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号








