Japanese
iLL
Writer 花塚 寿美礼
このアルバムを再生したらならば、異空間へ飛び立つ極上の音旅行のはじまり。
輪郭がはっきりしない、フワリフワリと霧の深い森のなかに迷いこんだ……そんなイメージ。
曖昧でいてそれが心地よい。それでいてドリーミーでファンタジーな世界を見せてくれる、一種の麻薬みたいなもの。
そんな“成分”がiLLのニューアルバム『Minimal Maximum』には詰まっている。
iLL、ことナカコーの経歴を探っていくと、SUPERCARのヴォーカル、ギターであり、メンバーは皆、青森出身。(個人的に東北出身の方には大変失礼な話だが、こんなスタイリッシュで都会的な音が青森から発信されたということに驚いた記憶がある)「cream soda」で鮮烈なデビューをし、「YUMEGIWA LAST BOY」が映画『ピンポン』の主題歌に起用されたり、あらゆるCM等でもその楽曲を耳にすることが多い。
そしてソロプロジェクトiLLが始動した。ソロとしてもそのポップかつ中毒性のある制作力を発揮。
前作『∀(Turn a)』では新たな一面を垣間見せた。向井秀徳、POLYSICS、ASIAN KUNG-FU GENERATIONら数々のアーティストが参加したコラボレーションアルバムを発表。
そして、バツグンのコンビネーションで、彼らの魅力を最大限に引き出したthe telephonesのサウンドプロデュースなど活動は多岐に渡る。
なんでも自分色に染めてしまうミックス力。細胞分裂が繰り返され、日々生まれ変わっていくように更新されていく、iLLのサウンドメイキング。どちらをとっても秀逸だ。
今作では、明るくドラマティックな冒頭の「Eden」で一気に引き込んでいく。〈はじけるエネルギー〉という歌詞の通り大きな力がぶつかり合って新たなエネルギーを生産するイメージが浮かぶみたいに。「Living On Dance」のような踊れるナンバーと、キラキラなシンセに浮遊感のある歌声がもはや楽器のように作用する「Good Day」。ワードのリフレインにますます異次元へと意識は持っていかれる「Seagull」は、いたるところから発せられる音の光線が飛び交いメランコリックに響く楽曲も。序盤のポップよりなものから後半に向かうにつれて徐々に深い闇に向かっていくような怖さがある。これからどうなってしまうのか、けれどもそこで鳴らされる音には希望を感じる。あらゆる音が同居し、なんともバラエティ豊かな仕上がりだ。その絶妙なバランスにヤられる。
そして11曲目の「Bad Dream」が終わった頃、無音のトラックが続き、33曲目に同曲のリミックスが収録されている。これはボーナストラックのように、33曲目にこれが出現するのがニクい。シャッフルで聴いたら、なんのこっちゃとなるが、これは通しで聴かないといけない、オリジナルアルバムの魅力がある。無音のトラック1曲1曲が集まってまた新しい物語が生まれている。
悪い夢が終わって、また深い夢に溺れていくようだ。停止から再生へ巡っていく。この仕掛けは今までも採用されていたが、なんともニクい演出である。
アルバムのタイトルのように最小から最大へ−−。グンとヴォルテージが上昇していくような振り幅がある。冷静から情熱へと意識が向かうとき、右脳に突き刺さる感覚を残して。
11月16日から新代田FEVERにてDJ NOBU、ZAZEN BOYSら豪華ゲストを迎えたイベントが4DAYSで行われる。このアルバムを聴いて、ぜひステージを体感して欲しい。今までにない世界を見ることができるだろう。
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