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INTERVIEW

Japanese

カトキット

カトキット

Member:あっけ(Vo/Syn/Gt) ジャパニーズ田中(Ba) コバヤシヒロユキ(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-コバヤシさんは?

コバヤシ:僕は小さいときからTHE BEATLESが大好きで、物心がついたときからそればっかりですね。60年代のTHE ROLLING STONESやTHE KINKSとか。一番影響を受けてるのはLED ZEPPELIN。あとは世代的にちょっと上なんですけど、2000年ぐらいのブリットポップが大好きで、中学生のときにはOASISやTHE CHARLATANS、SUPERGRASSのライヴを姉に連れられて観に行ってました。その世代には好きなバンドがいっぱいいて、FOUNTAINS OF WAYNEみたいなパワー・ポップも好きでしたね。

-日本の音楽には興味なかったんですか?

コバヤシ:ギターがうるさいような気がして全然聴けなくて、THE BEATLESの方が耳触りがいいなと思ってました。J-POPだったら、ミスチル(Mr.Children)を聴いてましたけど、それも高校の友達に教えてもらって知りましたからね。

-ジャパさんは?

ジャパニーズ:中学校のときぐらいにめちゃくちゃどっぷりハマったのはDEEP PURPLEだったんです。その当時出てたCDはほぼ全部持ってるぐらい聴いてました。基本的にリズム隊がカッコよくて、それでいてヴォーカルだったり、他の楽器を活かしているというか、そういう音楽を聴いていたと思います。

-なるほど。個人個人で好きな音楽はバラバラだったのに、結成したときに目指すものがひとつに決まってたのは面白いですね。

コバヤシ:前のバンドが長かったから。お互いにやりたい音楽もわかってたんです。

ジャパニーズ:(あっけを)どう活かしたらいいのかっていうのは考えてますね。

あっけ:ふたりの方が音楽的に耳も肥えてるし、知識もあるので。制作のときには"自分が、自分が"っていうより、"こういう曲を作りたい、じゃあ、みんなでこうしていこう"っていう感じなんです。私がしたいことを理論的に変換してくれるんですよね。

-発信源であるあっけさんの素材をリズム隊のふたりが汲み取ってくれるというか。

あっけ:そうですね。このやり方でなんとか2枚目まできましたね。

-1枚目は2年前に出したミニ・アルバム『雨ニモマケル手帳』でしたけども、いま振り返ってみて、それは自分たちにとってどんな作品だったと思いますか?

あっけ:『雨ニモマケル手帳』は当時の自分たちのベスト・アルバムでした。初めての全国流通盤だったからコケれへんぞ、みたいな感じでしたね。自分たちが持ってる曲からいいものを選りすぐって6曲集めたので、今回の『みずみずしい日々』とは違いますね。今回はこういう曲が必要じゃないかっていうバランスを見て作ったんです。

コバヤシ:その当時できることのなかで作った感じでしたね。

-初めて全国流通盤を出してからの2年間というのはどんな期間でしたか?

あっけ:全国流通をしていろんな人の目に触れる機会がぐっと増えたんですけど、当時はただ必死やったというか......言い方が悪いかもしれないですけど、人が人に見えてなかった部分があって。"何人呼べたぞ"みたいなことしか考えてなかったんです。

-あぁ、ライヴに来るお客さんを数字で見てた?

あっけ:この2年間っていうのはアプリとか会場限定のシングルは出してたんですけど、全国流通のCDは出せてなかったんです。にもかかわらず、ずっとついてきてくれる人が本当にたくさんいてくれて。ライヴしかなかったんですけど、そのライヴのなかで新しい出会いもあって、ライヴで見る顔が愛しすぎましたね。

コバヤシ:いまはもうお客さんっていうかファミリーみたいな感じだよね。

-そもそもカトキットは組んだときに、"ちゃんと売れたい"っていう気持ちが強すぎて、お客さんと向き合えなかったんでしょうね。

あっけ:そうなんですよね。"売れたい"っていう言葉を京都の人たちはあんまり言わない気がするんです。というと、京都をディスったと思われたら嫌なんですけど。新しいことに挑戦する人を認めるのに時間がかかる街だと思ってて。

コバヤシ:ただいい音楽をやってるから見つけてくれ感が強いよな。

あっけ:そうそう。私はこういうことを考えて、こういうことをやりたい、だから売れたいんですって言っていると浮くんですよ。よく"何と戦ってるの? お前"って言われたし。いまやっと人と向き合えてるような気がしますね。

-そうやって変化してきた気持ちは今回の『みずみずしい日々』にも影響してますか?

あっけ:あぁ、あると思います。今回の作品は、ほぼ1年以内に作ってる曲ばっかりなんです。テーマとして、前作の『雨ニモマケル手帳』より生活に寄り添いたいなっていうのがあって。例えば、空を見て"あぁ、きれいだな"っていう以上のことを感じる。"明日もいいことあればいいな"とか。そういうひとつ先の感情を知ることができる存在になりたいなっていうのを考えてましたね。

-それは前作では表現できなかったことですか?

あっけ:そうですね。ひとりでいるときが寂しかったり、孤独が悲しかったり。それは前作にもあったんですけど、今回はひとりでいることも素敵なんじゃないかって伝えたかったんです。......うまく言えないんですけど。