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INTERVIEW

Japanese

Lyu:Lyu

2014年05月号掲載

Lyu:Lyu

メンバー:コヤマ ヒデカズ (Vo/Gt) 純市 (Ba) 有田 清幸 (Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

-「先生」にある"敗者の屍の上に さらに敗者が重なって/そうして出来たこの街の 一番隅っこの/独りきり暗い部屋から 窓の外を見ていたんだ"という詞は、コヤマさんの人間性がとても出ていると思ったんですよね。ひとりきりでありつつも、ちゃんと人を見ているというか。

コヤマ:街には数えきれない、自分では把握できないくらいの人が住んでいて。その人たちには自分とはまったく違うその人たちの人生があって。そんな街のアパートの1室に自分がいて。その窓から走っている車が見えて、そのなかにも人がいて、その人の人生があって......というのをよく考えるんです。普段引きこもっている俺にとって、自分の部屋は盾というか(笑)、シェルターみたいな感じなんです。人のことを見てああだこうだ言いながらも、結局盾の向こうにいるのは普段の俺っぽいですね(笑)。

-いやいや(笑)。人をしっかり見つめていらっしゃるから、深い想いのこもった曲が生まれるんだなと思いました。「先生」はグランジ色が強いですね。やはり今回はコヤマさんがデモをしっかり作っているだけあって、NIRVANA、RADIOHEAD、THE SMASHING PUMPKINS、Syrup16g、THE BACK HORNなどなど、コヤマさんのバックグラウンドへのリスペクトが強く出たサウンドになっているなと。

コヤマ:サウンドは自分の趣味嗜好を結構出した曲になりました。ギターに関してだと、自分がずっと影響を受けてきた音楽や、もともと自分がどんなギターに憧れてエレキを始めたのかというのを色濃く出したくて。それはレコーディング前からずっと言ってたんですよね。音と詞の関係性は、舵取りをさせてほしいと言った理由のひとつでもあって。アルバム・トータルとしての雰囲気を大事に作りたかったんです。

-コンセプチュアルというと少し大げさかもしれないですけど、そういうものにやっと向き合えたと。

コヤマ:それこそが恐らく、新しい段階に行くためにやるべきことなんじゃないかなと思ったのもあって。『~ジスキネジア』が集大成であり、ある意味俺らのベスト・アルバム的なものだったと思うんですよね。そこから更に進むためには、各曲が独立してそれが集まったアルバムではなく、もっとアルバム全体でも表現できるものがあるんじゃないか?と思って。"この曲たちが集まったからこそ、このアルバムとして言えることとは"というものをもっともっとやってみたいなというのはあったんですよね。

-「ドッペルゲンガー」がとてもドラマティックな展開だと思いました。それぞれの楽器にスポットを当てた音作りだったので、バンドで合わせたら気持ちよさそうです。

コヤマ:これはやりたいことを詰め込んだ、という感じですね(笑)。

有田:今回は"1個の作品を作る"という指針があったので、どういう音がいいかコヤマに聞いたり、どういう音がいいのか言ってくれと頼んで。(コヤマは)めちゃめちゃ完璧主義者だから、ほぼ完成に近い状態でデモを持ってくるんですよ。で、そのたびに聴くじゃないですか。まずそこで俺と純市には"このデモをどう上回るか"という課題が生まれるんです(笑)。デモが完璧ゆえに"ここにこの音が必要なんだ"というのがちゃんとわかるからデモのまま叩いてるところもあるし、もっと上に行けそうなところは変えていって。だから今回は作る手間はなかったんですけど、サウンド・メイクは楽しいながらに苦しかったところはありました(笑)。

純市:コヤマがNOと言わなければ取り敢えずやりたいことをやっていって。「ドッペルゲンガー」だったら2番のAメロのファンキーな面白い音とか、「彗星」もそうだけど、今回は音色も、持っていたけど使っていなかったものとかを出して音に幅を出していければなと思いました。

-3人はとてもいいご関係なんですね。

コヤマ:過去にもバンドをやっていたときは今回みたいに俺がデモを作ってメンバーに聴いてもらって。そのときの俺はデモ通りのことをやってくれないと嫌だったんです。"俺はこれがいちばんいいと思ってるんだから変えないでこれでやってくれ"と......それでバンドの人間関係が全然うまくいかない経験が過去にあったから(苦笑)、こんなやりかたじゃだめなんだとずっと思っていたんですよね。自分も石頭にならず、引き出しをもっと広げなければいけないんだと、自分にないものをどんどん取り入れて。だからこのバンドを組んだ頃はみんなで音を出してばーっと作っていた。......で、やっていくうちに"今ならデモを持っていって、これをやりたいんだ!と言ってもわかってもらえるんじゃないかな"と思ったんですよね。それで"舵取りをする人を立てて制作してみよう"という話も出て、今回俺がデモを作る流れになったんです。

有田:バンドを始めたときは若いんで、がちゃがちゃやってたけど、一緒にやって6年くらい経って、プレイヤーとしてひとりひとりがお互いをリスペクトできるようになってきて。こいつの出した音に対して、ひとりひとりが説得力のあるフレーズを出せるようになった。それがわかりやすく、土台からたたき上げるいいきっかけになったのかなと思いますね。

-『GLORIA QUALIA』がライヴでどのようにお客さんに伝わるのか、5月6月に行われる全国ツアーも楽しみです。

有田:音源には音源の、ライヴにはライヴの音作りがあるから、音源とライヴでやっていることは別だけど、スリー・ピースだからってライヴをしょっぱいものにはしたくないし。ライヴでのサウンドを納得するものに仕上げるために、今もリハーサルを重ねている最中です。いちから曲を作っている感覚に近いです(笑)。

コヤマ:恐らくライヴに来るかたがたは『GLORIA QUALIA』を聴いた状態でいらっしゃると思うんですけど......実際そこで自分が見ている人たちの前で歌うことや、バンドが実際見られながら音楽を表現するということこそが、自分がこれからもいちばん追求していくべきことだと思っていて。今までやっている曲たちもそうなんですけど、新譜の曲を俺らの演奏で、自分の歌でみんなに聴いてもらうことにわくわくしています。楽しみですね。俺たちは多分、これまでもこれからも"今この瞬間どうすることがベストなのか"ということを考えているバンドだと思うので、また新しい雰囲気のライヴを見せられると思います。