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INTERVIEW

Japanese

Lyu:Lyu

2014年05月号掲載

Lyu:Lyu

メンバー:コヤマ ヒデカズ (Vo/Gt) 純市 (Ba) 有田 清幸 (Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

今作『GLORIA QUALIA』は、間違いなく現段階でのLyu:Lyuの最高傑作だ。退廃的な詞世界と攻撃的かつエモーショナルなギター・ロックで、絶望と微かな希望を突き付ける――バンドの首謀者であるコヤマヒデカズの心情吐露だったLyu:Lyuの音楽は、聴き手を介すことで徐々に新しい気持ちが芽生えてきた。コヤマの口から何度も出た"腹をくくる"という言葉――1年間かけて新たなフェーズへと突入したバンドは、大きな包容力を手に入れた。

-まず、昨年3月にリリースされた1stフル・アルバム『君と僕と世界の心的ジスキネジア』以降のバンド活動について教えていただけますか。

コヤマ:2009年からこのバンドを始めて、手探りしながら曲を作り続けてシングルやミニ・アルバムをリリースしてきて、ライヴをし続けて......自分たちにとってフル・アルバムは満を持して出す、特別なものだとずっと思っていたんです。それでフル・アルバムの話をもらったとき、自分たちのなかで機が熟していたし、出すからには今まで培ってきたものや経験を出し切った、集大成となるアルバムを作ろうと臨んだんです。だから『~ジスキネジア』を作っているときから"この年の最後にライヴとしての集大成のツアーをやって、ファイナルのLIQUIDROOMを迎えるぞ"というのを最初から決めて1年を過ごしていて。自分たちもそのアルバムを出してライヴをしているなかで、お客さんにも"来年はもっと深いところに行きますから"とずっと言ってたんです。

有田:3人の同一見解として"ライヴ・バンドでありたい"というのがあって......それで『~ジスキネジア』で初めてのフル・アルバムを出すというすごくいい機会をもらって。それを初めて披露するワンマン・ツアーで、どういうライヴを組んでいったらいいんだろう? と見つめ直して。"ここで節目をつけて次のステージへ行こう"と、去年の頭から話していたんです。ツアー自体は挑戦と成長がかみ合わさった時期だったんじゃないかなとは思いますね。

-"挑戦と成長"とは?

有田:それまでのライヴはメンバーひとりひとりが思い思いやっていたけれど、ツアー中もツアー入る前もライヴ自体をひとつの作品としてどうやってまとめていったらいいか、すごい話し合ったんですね。"どういう風に聴かせたいのか"とか"どう聴いてもらいたいのか"とか"お客さんはどういう風に見たいのか"とかというところまで、すごく話し合って......俺らなりのやりかたをちゃんとやらなきゃいけないなと思って、今までやっていたライヴとは違うセットリストの組みかたをしてみたり。それは挑戦だったと思いますね。

-そういうことを実行するきっかけになったのは?

コヤマ:『~ジスキネジア』以前はずっと、自分の書いている歌詞やバンドでやっている音楽も......何かを掴むために必死に手を伸ばしているんだけど、どこに向かって手を伸ばしているのか自分たちもよくわかっていなかった。とにかく何かを掴みたくてもがいていた感じだったんです。それが生まれて初めて『~ジスキネジア』で、自分たちがどこに向かうべきか、そもそも自分たちはどういうことを大事にしているか、何を表現しようとしているバンドなのか――それを自分たちも確認するとともに、いちばんはっきりしている状態で聴いてくれる人たちにも見せることができた。だからそれまではロック・バンドとして激しさを出して勢いに任せてやっていたけれど"本当にそれでいいのか?""これをライヴで表現するためには何に気を付けなければいけないんだろう?"と考えるようになったんです。

-『~ジスキネジア』から半年後の2013年9月にリリースされた限定シングル『潔癖不感症』はその流れで制作されたものだと。

コヤマ:『~ジスキネジア』を実際ライヴでやって、『~ジスキネジア』を聴いた人からいろんな反応をもらったりして......自分たちの新しく作ったものがちゃんと届いて、レスポンスが返ってきていることを実感して。それを受けて、そのときに言いたかったこととか、そのアルバムを出してから挑戦した新しいことをシングルとして出しました。

-では『潔癖不感症』は『GLORIA QUALIA』の布石ということ?

コヤマ:んー......『GLORIA QUALIA』の楽曲はこのアルバムのためにゼロから作っていったので、今回は今回という感じです。毎回毎回そうなんですけどね。1枚出してはからっぽになって、またゼロから作るというのを繰り返している感じです。

-なるほど。『GLORIA QUALIA』は、先程有田さんもおっしゃった"次のステージ"ということでしょうか。

有田:そうですね。『潔癖不感症』から「Seeds」という曲が入っているんですけど、これはアメコミ版"サイボーグ009 USAエディション"のテーマ・ソングを書き下ろしてくれというのを受けて作っていたので......表現する上で丁度いい中継地点になってたと思うんです。『~ジスキネジア』で固めたものをぶっ壊す準備、みたいな。それは『潔癖不感症』を録っていたときも思ったことなんですけど、俺は(笑)。

コヤマ:(笑)

有田:だからそのツアーを"今までのLyu:Lyuの締めくくり"みたいに決めていたというか。別にそこから昔の自分たちとさよなら、というわけではなくて、取り敢えずそこまでの自分たちの足跡を整理して、ここで1回まとめよう。ツアーを最後にして次へ向かうときに......今までと違うものをどう生み出していこうか? みたいな心構えみたいなツアーだったところがあって。「Seeds」は『潔癖不感症』から引っ張らせてもらったんですけど、今回の新譜は、曲作りでも新しい試みを行ったり、レコーディングも今までより掘り下げることも多かったんで。新しいところがうまく出せたらいいな、と思いながら作ってましたね。

コヤマ:出すたびに何かをアップデートしていかなきゃいけないとはずっと思っていましたし。昔やっていたことを再生産するだけだと"昔やったものがあればいいじゃないか"と思うんですよね。新しいものを出したり、新しい活動をするなら、当然新しいものを入れるべきだし。"来年はもっと階段上りますから俺たち!"ってずっと言ってましたね(笑)。