Japanese
AliA
Skream! マガジン 2019年07月号掲載
2019.05.20 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 蜂須賀 ちなみ
6人組ハイブリッド・ロック・バンド AliAが、渋谷CLUB QUATTROにて全国ツアーのファイナル公演を開催した。バンド初のワンマンとなったこの日。結成わずか10ヶ月でこの規模の会場が埋まるだろうか、無謀ではないかと、当初は本人たちも思っていたのだという。しかし、蓋を開けてみれば会場は超満員。メンバーが登場すると、観客が大歓声で迎え入れた。
「impulse」の疾走感から演奏がスタート。リズム隊による重心の低いサウンドは地を揺さぶり、バイオリンは優雅に泳ぎ、ギターが華やかさを、キーボードがきらめきを添える。ルーツはバラバラで、ソロ活動をしていた者や一度はバンドを諦めた者によって結成されたAliA。SEIYA(Ba)がこのバンドのことを"もがいていたひとりぼっち同士がたまたまぶつかったことによって生まれた"という意味で"ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けない"と言い表していたが、たしかに、言い得て妙である。そしてこれだけ個々が主張しているのに、ヴォーカルがその先頭に立ち続けていられるのは、AYAME(Vo)の圧倒的な声量によるところが大きい。情報量の多いバンド・サウンドに、ライヴだと、レーザー光線を始めとした光の演出や、オーディエンスの歌声や掛け声も加わることになる。その結果、早くも場内はすごい熱量に。AYAMEは、"すごいよ! 熱気がすごくて!"とすっかり興奮している。
1stミニ・アルバム『AliVe』収録曲だけでなく、まだ音源化されていない楽曲も多数披露され、それら未発表曲からは『AliVe』には収まりきらなかったバンドのポテンシャルが窺えた。例えば、「Discord」は全編オートチューンのダンス・ナンバーで、「letter」はAYAMEの"素直になりたい"という気持ちが込められたバラード。「slide sunset」はMV撮影のために行ったロサンゼルスで書いた曲らしく、アコースティック調の音色に新鮮味がある。
ドラムやキーボードによるソロ、曲間でのセッションなど、ライヴならではのアレンジも。そんななか曲数を重ねるにつれ、個々の演奏がどんどん剥き出しになり、それぞれが同じ方向を向くことによって、バンドとしての一体感が増していった。変拍子のセッション、そして"ここにいるあなたに捧げます"というAYAMEの言葉を経て披露された「AliVe」では、多展開でドラマチックな曲調も相まってサウンドの熱量がピークに達する。1本のライヴの中でこれほど進化するものなのかと驚かされたが、ということはつまり、その"1本"の積み重ねである今回のツアーは、彼らに大きな成長をもたらしたのではないだろうか。同曲演奏後にはこの日一番の拍手喝采が発生。彼らが"無謀"を覆せた理由が、わかったような気がした。
"ツアーの初日に「6人ならできる」って言ったんです。でも今は違います。みんながいるって思ってます"とAYAME。アンコールとして披露された新曲「fanfare」はそんな手応えをさらに確かなものにさせるような曲で、オーディエンスに"ここ歌う!"と指示を出しながら、その場で一緒に曲作りをしていく様子が印象的だった。"6人にしかできない音楽"を大切にしながら活動する彼らは、そのときその場所で(観客含めた)"私たちにしかできない音楽"を鳴らすことに、自分たちらしいライヴのやり方を見いだしたのだ。
この日発表されたように、次のツアーも決定済み。台湾、香港を含む41ヶ所を回ったあと、12月18日、東京 恵比寿LIQUIDROOMにてファイナルを迎える。
[Setlist]
1. impulse
2. limit
3. Discord
4. letter
5. simple
6. シルエット
7. slide sunset
8. 声
9. ~impro~
10. AliVe
11. イドラ
12. かくれんぼ
en. fanfare
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