Japanese
THE ORAL CIGARETTES
Skream! マガジン 2016年01月号掲載
2016.01.04 @Zepp DiverCity
Writer 沖 さやこ
半年の時を経てバンドと楽曲が会合した。2015年7月14日にZepp DiverCityで開催されたTHE ORAL CIGARETTESのワンマン・ライヴ。演奏中にギター・ヴォーカル山中拓也の声が出なくなってしまった。彼は膝から崩れ落ちてステージの上にうずくまり、楽屋で少し休む。話し合いのあと4人はライヴ内容を変更し、その日のライヴをやりきった。その後バンドは山中の声帯ポリープ摘出手術のためにライヴ活動を休止。手術までの間にニュー・アルバム『FIXION』を完成させ、手術後は休養ののち11月にリリースしたシングル『狂乱 Hey Kids!!』のインストア・イベントを行い、全国各地のファンと直接話す機会を得た。12月上旬にはライヴ活動を再開。そして復活後初のワンマン・ライヴであり7月のリベンジであり『FIXION』の店着日である1月4日を迎えた。様々な出来事を乗り越えた彼らは『FIXION』制作時に比べ、人間的な成長を果たしていると思う。このライヴは様々なことを乗り越えた彼らが、それ以前に作り出した楽曲たちを更新していく日でもあった。
会場が暗転すると、巨大スクリーンには楽屋で顔をふさいで涙を流す山中の姿が映し出される。あの日の様子だろう。するとスクリーンは7月のオープニング映像を1月4日仕様にリアレンジしたものを映し出す。そしてあの日と同じバックドロップがあの日と同じようにせりあがってきた。山中が"帰ってきたよ!"と告げると1曲目は「GET BACK」。彼の声は手術により極端に変わったわけではないが、やはり違う。特に落ち着いたトーンの声がものすごく映えていて、その美しさに息を飲んだ。声帯ポリープ摘出後は得意な音程や音域が変わるという話をよく聞く。もしかしたらまだ今の声をまだ完全にコントロールできているわけではないのかもしれないが、その歌声を聴いたときに原石を見つけたような感覚があった。よく知る人物からそれを感じるという稀有な状況に胸が躍る。
THE ORAL CIGARETTESは今まで、観客を煽り、噛みつくようなライヴを続けていたようにも思う。もちろんこの日も山中は"かかってこいよ!"、"そんなもんか!"と叫んでいたが、それは煽るというより"沸きに沸いた自分たちの熱量とフロアの熱量をどう料理していこうか?"と高揚しているように見えた。果敢に体当たりしてきた彼らがこういうライヴをしていることも感慨深い。山中と鈴木重伸(Gt)とあきらかにあきら(Ba)が部分的に動きを揃えたりと、ショーとしての見せ方をしているところも楽曲と観客への愛情ゆえだろう。
MCで観客に感謝を伝えると、7月のワンマンで演奏予定だった楽曲を演奏。「嫌い」では中西雅哉(Dr)の手腕が光る変拍子で魅了し、そこに巧みにはまる歌と弦楽器も心地よい。間違いなく楽曲が育っている。壮大なバラード「透明な雨宿り」は山中の歌が主役となり観客を惹きつけ、フロアからもあたたかい拍手が起こった。
すると警報音とともに"キラーチューン祭りが始まります"のアナウンス。これも7月のライヴ同様の演出だ。「STARGET」、「mist...」、「カンタンナコト」とアグレッシヴな楽曲を畳み掛ける。ヴォーカリストが完全復活したことで演奏隊も迷うことなくその歌を遠くへ飛ばすように音を放つ。4人の音がひとつに固まっていた。
Zepp DiverCityでは叶わなかったアコースティック・セットもリベンジ。"バンドとしてちゃんと歌の良さを伝えたい"という想いから「机上の空論に意味を為す」と「出会い街」を披露し、普段とは違う観点から楽曲の良さを伝えた。山中のヴォーカルに寄り添うあきらのコーラスも美しい。MCでは鈴木がライヴ活動休止期間に触れ"バンドとしてもひとりの人間としても向き合う時間が増えて、まだまだ人間として足りないところがあるなと反省して。2016年はバンドマンとしてもっと上に行きたいという気持ちもあるんですけど、もっともっとかっこいい人間になりたいなと思っています。もっともっと一緒にかっこいい人間になっていきましょう"と観客へ語り掛けた。
中西のパワフルなドラム・ソロから「32歳童顔」になだれ込み"キラーチューン祭り!!"のバックドロップが出現し「大魔王参上」、「Mr.ファントム」、「起死回生STORY」とその名の通りキラー・チューンを連発。2012年から時系列のセットリストに、それを織り込んでさらにドラマティックに見せる山中の口上も最高だ。山中が幸せそうな表情で会場中を見回すと、ゆっくり口を開いた。"ここに立つのが怖かった。またあんなふうになったらどうしようって、何も前に進めなくて。でもあなたたちと楽しいワンマンができて、やっぱオーラルのファンはかっけえなと思いました。2015年、気づけばこの曲がいつも寄り添ってくれました"と言い、ラストは「エイミー」。目の前にいる観客にも、ここにいないファンたちにも感謝を伝えるように優しい山中の歌声がすべてを語っていた。
メンバーがステージから去ると"第1部終了"のアナウンス。"第2部"が10分後に行われた。SEが流れると山中の"2016年快進撃を始めたいと思います"の声。フロアは『FIXION』の"IXI"サインを高々と掲げている。第2部の1曲目は「狂乱 Hey Kids!!」。山中のハンドマイク姿はゴージャスなレーザーにも負けない華がある。そのあとは「MIRROR」、「STAY ONE」、「気づけよBaby」と『FIXION』収録曲を立て続けに投下。このライヴが行われている日は同作の店着日だというのに観客はすでに楽曲に親しんでいるようだ。これは彼らが曲ごとにアルバムのCMを制作し、それをYouTubeに公開してきたことも理由のひとつだろう。彼らはかなり真摯にリスナーのことを考え活動をしている。アッパーでアグレッシヴな楽曲がふんだんに詰め込まれた『FIXION』もライヴで聴くと音にやわらかさが宿り、この曲たちがこれからさらに育つことを予感させた。
「A-E-U-I」では盛大なシンガロングが巻き起こり、バズーカ砲の放射に照明がステージ上に"IXI"サインを描くなど小粋な演出。4人の演奏は加速し、その勢いは非常に華々しい。"新しく大事な曲ができたので2016年はこの曲でライヴを締められたらと思います。7月14日という大事な日があったから書けた歌詞です"と山中が語り披露されたラストの「Everything」は、"もっといい景色を俺たちで作っていこう"と我々に語りかけるようだった。第1部でリベンジを果たした4人は、第2部で前しか向いていなかったのだ。やっと過去から解き放たれたようにも見え、清々しかった。
アンコールは"俺らは踊らせたらいいだけなんて思っていないんで。CDで聴きたいと思ってくれる音楽をこれからも作り続けていこうと思います。楽しいときは楽しい、暴れるときは暴れる、泣くときは泣く。ライヴは感情を共有できる場にしていきたいと思います"と山中が語り、軽やかなアコギもアクセントなポップ・ナンバー「LIPS」を披露した。怒涛の2015年に終止符を打ち、2016年の幕開けを迎えたTHE ORAL CIGARETTES。『FIXION』の曲は過去曲と混ぜたらどのように響くのか、そしてリスナーの存在に大きく影響を受け完成させた『FIXION』の楽曲は今後どのように成長していくのだろうか――巷に巻き起こるオーラル旋風、今後彼らがその舵をどのように取っていくのか、これからも見守り続けたい。
- 1
LIVE INFO
- 2025.11.27
-
打首獄門同好会
MONOEYES
Cody・Lee(李)
moon drop
桃色ドロシー
オレンジスパイニクラブ
OKAMOTO'S
ザ・クロマニヨンズ
TENDRE
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
PEDRO
Tempalay
あたらよ
- 2025.11.28
-
Galileo Galilei
優里
BLUE ENCOUNT
go!go!vanillas
怒髪天
DJ後藤まりこ × クリトリック・リス
VII DAYS REASON
Dios
崎山蒼志
凛として時雨
ズーカラデル
コレサワ
SHERBETS
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
ポルカドットスティングレイ
おいしくるメロンパン
sajou no hana
NEK!
CENT
OKAMOTO'S
meiyo
RAY
reGretGirl
- 2025.11.29
-
ビレッジマンズストア
Appare!
YOASOBI
NEE
暴動クラブ
brainchild's
Cody・Lee(李)
キタニタツヤ
優里
くるり
TOKYOてふてふ
MONOEYES
キュウソネコカミ
moon drop
THE BACK HORN
androp
The Biscats
フレデリック
チリヌルヲワカ
怒髪天
eill
LOCAL CONNECT
wacci
LACCO TOWER
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
ドラマチックアラスカ
アーバンギャルド
ねぐせ。
ExWHYZ
UVERworld
フラワーカンパニーズ
愛美
浪漫革命
東京スカパラダイスオーケストラ
BACK LIFT / 魔法少女になり隊 / LEEVELLES / パピプペポは難しい ほか
Bentham
MONO NO AWARE
NANIMONO
カミナリグモ
9mm Parabellum Bullet
PIGGS
- 2025.11.30
-
ビレッジマンズストア
YOASOBI
NEE
TOKYOてふてふ
凛として時雨
キタニタツヤ
崎山蒼志
くるり
キュウソネコカミ
moon drop
SHERBETS
THE BACK HORN
TENDRE
アーバンギャルド
the paddles
秋山黄色
TOMOO
LACCO TOWER
ドラマチックアラスカ
LUCY
ExWHYZ
Maki / SIX LOUNGE / w.o.d. / KUZIRA / TETORA
UVERworld
フラワーカンパニーズ
ポルカドットスティングレイ
NANIMONO
ズーカラデル
ぼっちぼろまる×ポップしなないで×ぜったくん
コレサワ / ヒグチアイ / のん / ひぐちけい
miwa
MONO NO AWARE
Conton Candy
JYOCHO
離婚伝説
- 2025.12.02
-
RADWIMPS
LONGMAN
Dios
RAY
マカロニえんぴつ × DISH//
私立恵比寿中学
GLIM SPANKY
SUPER BEAVER
IneedS
- 2025.12.04
-
TENDRE
LEGO BIG MORL
私立恵比寿中学
SHERBETS
Homecomings
アーバンギャルド
キュウソネコカミ
吉井和哉
Hakubi
- 2025.12.05
-
桃色ドロシー
私立恵比寿中学
moon drop
ポルカドットスティングレイ
ザ・クロマニヨンズ
NANIMONO
eill
Laughing Hick
崎山蒼志
さかいゆう / 望月敬史 / L'OSMOSE(O.A.)
flumpool
とまとくらぶ
Another Diary
岡崎体育
Rei
ズーカラデル
打首獄門同好会
- 2025.12.06
-
キュウソネコカミ
AIRFLIP
ザ・クロマニヨンズ
凛として時雨
OKAMOTO'S
BLUE ENCOUNT
indigo la End / a flood of circle / Galileo Galilei / go!go!vanillas ほか
Cody・Lee(李)
brainchild's
LEGO BIG MORL
NANIMONO
怒髪天
ねぐせ。
CVLTE
UVERworld
eastern youth
キタニタツヤ
優里
Kroi / Jeremy Quartus(Nulbarich) / BREIMEN / luv
flumpool
チリヌルヲワカ
Aooo
Mirror,Mirror
心愛 -KOKONA-
THEラブ人間 / ビレッジマンズストア / 忘れらんねえよ / KALMA ほか
フラワーカンパニーズ
Ryu Matsuyama
MyGO!!!!!
- 2025.12.07
-
ぜんぶ君のせいだ。
崎山蒼志
キュウソネコカミ
MOSHIMO
moon drop
ポルカドットスティングレイ
凛として時雨
BLUE ENCOUNT
AIRFLIP
OKAMOTO'S
sumika / マカロニえんぴつ / Kroi / ズーカラデル ほか
NANIMONO
怒髪天
Devil ANTHEM.
ACIDMAN
eastern youth
小林私
UVERworld
優里
秋野 温(鶴)
LACCO TOWER
OAU
the telephones
BIGMAMA
フラワーカンパニーズ
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
トゲナシトゲアリ × RAISE A SUILEN
- 2025.12.08
-
ザ・クロマニヨンズ
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RAY × きのホ。
ドラマチックアラスカ
PACIFICA
シベリアンハスキー
雨のパレード
never young beach
- 2025.12.09
-
キュウソネコカミ
天女神樂
ザ・クロマニヨンズ
FRANZ FERDINAND
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
ドラマチックアラスカ
TENDRE
PACIFICA
Galileo Galilei
Dios
ザ・シスターズハイ
ストレイテナー
PEDRO
モーモールルギャバン
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RELEASE INFO
- 2025.11.27
- 2025.11.28
- 2025.11.29
- 2025.12.01
- 2025.12.03
- 2025.12.05
- 2025.12.06
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2026.01.01
- 2026.01.07
- 2026.01.09
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号


















