Japanese
THE ORAL CIGARETTES
Skream! マガジン 2015年01月号掲載
2014.11.20 @渋谷TSUTAYA O-EAST
Reported by 沖 さやこ
理知的なのに、子供のように素直だし、直情的で飾らないバンドだ。例えば「起死回生STORY」のラストなんてフロントマンの山中拓也にとっては、曲の終わりと歌い終わりが同時なんだから、余韻でためてばっちりかっこつけられる、非常においしいセクションでもある。なのに彼はそんなことこれっぽっちも頭になく、歌い終わるや否や"ありがと~!!"と観客への感謝を全力で叫んでしまう。このバンドはこういう愛嬌があるところも魅力的だし、かっこつけないところが逆にかっこいいのだ。
1stフル・アルバム『The BKW Show!!』を携え開催された東名阪ワンマン・ツアー中日の渋谷TSUTAYA O-EASTは超満員。それもそのはずソールド・アウトだ。フェスを機に知名度をより上げ、そのBKW(=番狂わせ)が拡大していることを目の当たりにする。開演前にはディキシーランド・ジャズ的なBGMが流れ、ステージはアルバムのジャケットを具現化したような装飾が施され、背景には巨大なBKWのバックドロップ。場内のムードを高める。
幻想的なSE、赤い光に緑の光が重なり、影の中から登場したメンバーが放った1曲目はアルバムのTrack.1「嫌い」。序盤は背後からの照明のみで4人が影になっているが、曲が進むごとに少しずつ明るくなるというドラマティックな演出が楽曲のスリリングな展開とリンクしてスピード感を生む。まだ1曲目ということもあるだろうけど若干いつもより演奏も歌も固いかな......と思っていると山中が"さあ大阪ワンマン始めるぞよろしくー!!"と叫んで「mist...」へ。大阪と渋谷を間違えるとは、どうやら相当緊張しているようだ(笑)。すぐさま彼は"東京だったごめんよ~!"と訂正。歌いながら合間合間に"かかってこい!""渋谷!""お前らすげえな!"など感じたことをすべて言葉にして観客に歩み寄る。こういう人間くささも彼らが愛される所以である。
曲中でカラーが変わるのも彼らの楽曲の特徴だが、観客はその構造も理解し、時には聴き入り、時にはモッシュし、サウンドに沿ったリアクションで愛情を示す。山中が楽曲のストーリーを告げて「モンスターエフェクト」へ。長身痩躯の鈴木重伸はギターを持つ姿も様になり、一心に攻めの音を鳴らす。あきらかにあきらも左足を高く振り上げ、やわらかい笑みを浮かべながら緩急の効いた硬派で包容力のあるベースで魅せ(ちなみに彼はこの日一度も竿を換えず、この1本だけで様々な表情の低音を奏でた)、中西雅哉のドラミングも楽曲のパワーを底上げする。躍動的というよりはそれ以上、ブレーキが壊れた暴れ車、はたまた猪突猛進の猪と言うべきか。リミッターがはずれて前のめりも前のめりに炸裂するそのサウンドはとにかく彼らの高揚や歓喜がそのまま表れていた。
昭和歌謡テイストのメロディと巧妙なアレンジが入り乱れる「瓢箪山の駅員さん」「逆恨み小僧」では、山中がその艶のあるメロディに入り込み歌い上げる。アッパーでありつつも憂いが滲む、この"ムード"がTHE ORAL CIGARETTESの強靭な武器だ。それを最上の状態で打ち出すにあたってはまだまだすべてが未完成であるが、常に"悔しい"と"もっと上に行きたい"という気持ちを抱える4人だ。この先絶対に今では考えられないほどに仕上げてくることは間違いない。そういう期待感をこちらに湧かすことができるのは、彼らの気合いが音に生々しく漲っているからに他ならない。
「ハロウィンの余韻」では全員が衣装チェンジをし、よりその楽曲の世界観を体現。曲中で長いブレイクを作り、山中と鈴木が向かい合い音を奏で、その後はあきらと、次には中西と......と見目的にもユーモア溢れるステージングを展開。「自動販売機の男」のジャジーなイントロと山中の歌に乗せてメンバー紹介を行うなど、ステージとサウンドに意識を引きつけるオーラル流の様々な工夫や挑戦が見られた。オーラルはこういうところに関してはとても冷静だし知的だ。その思考が自らの楽曲をさらに際立て、一辺倒にならないライヴの創造にも繋がっていく。彼らは時間を掛けて自分たちだけの世界を育もうとしているのだ。
「机上の空論に意味を為す」のアウトロに雨音のSEが重なり「透明な雨宿り」へ。アルバムのラストを飾る壮大なバラード・ナンバー。しっとりと力強く歌い上げる山中のヴォーカルが映え、もっともっと天井の高い場所で聴きたい曲だと改めて思う。その後彼は"一歩ずつみんなと上がっていきたい。少しずつでいいから、俺らはゆっくりゆっくり武道館を目指す"と宣言。"オーラルにしか作れない空気を体感してほしい。めっちゃ動きにきました!みたいな人にはもしかしたら物足らんかもしれへんけど、俺らはこういうバンドですから。これでてっぺん取ろうと思ってますから"という彼の言葉に、この日のライヴの説得力がさらに増した。
このあとは「31歳童顔」、最新アルバムからオーラルの魅力が凝縮された「STARGET」、代表曲「Mr.ファントム」、フロント3人の左足上げパフォーマンスも痛快だった「大魔王参上」と山中いわく"キラー・チューン祭り"で畳みかけ、そこからメジャー・デビュー曲「起死回生STORY」へ繋げて作ったラストの景色は壮観だった。だがそれと同時に彼らはこの先、この"キラー・チューン祭り"にも頼らずに、この景色以上のものを作ろうとしている気がした。
『The BKW Show!!』というアルバムはTHE ORAL CIGARETTESの高らかな宣誓である。だからこそ素直な高揚と緊張が出たこの日のライヴは、オーラルがこれから羽ばたくためにも必要だった。彼らはこれまでもすべてのことに果敢に挑み、いろんな悔しさを噛みしめ、それをバネにしてきた。守りに入ってちっちゃくまとまるバンドではない。実行力と可能性に溢れる彼らが開拓する、これからのストーリーに想いを馳せる。
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