Japanese
the HIATUS
2012.12.06 @東京NHKホール
Writer 沖 さやこ
細美武士(Vo/Gt)は、アンコールで再びステージに登場したときこう言った。“生まれて初めてこの言葉を、言葉通りの意味で使います。……言葉がねぇ” その言葉通り、言葉を失うほど感動的な夜だった。ストリングスやホーンを含めた、16人編成で開催されたホール・ツアー“The Afterglow Tour 2012”のファイナル公演。2012年9月にリリースされた、ツアー・リハーサルのドキュメントDVD/BD『The Afterglow -A World Of Pandemonium-』を見たときからこのツアーへの期待は高まっていたが、16人のthe HIATUSはその期待の遥か向こうまでNHKホールを連れて行った。シャンデリア、赤いソファや絨毯、落ち着いたムードの間接照明などで彩られるステージ。会場に入りその光景を見た観客たちは皆“すごい!”と目を輝かせる。その普段とは違った環境に、開演が近づくにつれ緊張感も高まる。すると開演前の場内アナウンスが突如“三度の飯より飯が好きー!”と叫び出し、場内は騒然。なんとアナウンスの声の主はマキシマム ザ ホルモンのナヲ(Dr)だったのだ。思わぬサプライズに観客たちの興奮は更に触発される。
ステージは「Deerhounds」で幕を開ける。いつもの5人に、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、トロンボーン、フルート、ホルン、トランペット、サックス、マニピュレーター、パーカッション、女性ヴォーカルとして坂本美雨を招いた16人のメンバーは黒と白を基調としたシックな色合いの衣装に身を包む。「Flyleaf」で細美はギターを置き、間奏ではホーン隊と共に『The Afterglow』でも印象的だったクラップを鳴らす。バンドの核である彼が楽器を手離し、演奏を他のメンバーに一任するというのは、バンドの信頼関係の象徴的な光景だろう。続いての「Ghost In The Rain」で16人は更に丁寧に音を重ね、曲の持つ優しさやあたたかさをよりふくよかにしてゆく。そこに広がるのは心が浄化されるような多幸感だ。「The Tower and The Snake」は全員が叫ぶような緊迫感と豊かさ、狂気と美徳が溢れ、より音はひとつになり、研ぎ澄まされてゆく。その空気感は「Bittersweet / Hatching Mayflies」「Shimmer」で一気に膨れ上がった。16人の音色は溶け合い、細美の歌は真っ直ぐ突き抜ける。人間のぬくもりが溢れる音――それはあたたかい血が通った、生々しく美しい感情そのもののようだ。流麗で繊細なチェロとピアノの二重奏で始まる「Little Odyssey」。ハンドマイクで歌い上げる細美のヴォーカルは、夜空に広がる星をかき集めるように煌びやかにメロディを辿る。
「Monkeys」「ベテルギウスの灯」は5人での演奏。“この5人で演奏する曲はこれでしばらく最後です”と細美。この日をもって堀江博久(Key)が一旦バンドから離脱する。“堀江さんからもらったものがあったら、それそっくりそのまま返してくんねぇかな。そんでも、そのもらったものはお前らの中から絶対に減ったりなくなったりしねえから”と続けると、客席からは大きな拍手と合唱が。愛に溢れた空間に、目頭が熱くなる。するとマニピュレーターによるインタールードを挟み、the HIATUSはまた新たな世界へと我々をいざなう。再び16人編成へ戻ったバンドは「Snowflakes」「Walking Like A Man」でよりディープな世界を構築していく。
“久々に自信を取り戻しました。いいツアーでした”と語る細美。バンド・メンバーやスタッフなど仲間に対する感謝、ファンに対する感謝の念を伝えると、THE RENTALSのJamie Blakeを招いて17人編成で「The Flare」を披露。the HIATUSがこれまで積み重ねてきたもの、メンバー全員が各々積み重ねてきたもの、人の“心”が放出されていくようだった「Insomnia」では、それに呼応するように、フロアからも大きな歓声が起きる。ストリングス隊の音色から少しずつ全員の音が重なる「Twisted Maple Trees」は、人が手を重ねて心を通わせているような、言葉の要らない神聖な空間だった。この曲の後、細美は言葉にならず胸がいっぱいといった様子でしゃがみこみガッツポーズ。“音楽を始めてからずーっと行きたかったとこに初めて行けました”と言う。そこがどこかは多く語らなかったが、どうやら彼はひとりで歌っているとき、自分がもう1人いるような感覚になることがあるのだそうだ。“曲作ってるときとかひとりで歌ってるときにそうなることはごくまれにあったんだけど、ステージの上にもうひとりいたのは初めて”と言う彼。この日、NHKホールにいた全員の思いが、その“もうひとり”を呼び寄せたのだろう。
アンコールではメンバーがひとりずつ堀江にバラをプレゼントする一幕が。客席から“堀江さん3年間ありがとう!”という声が上がると、更に大きな拍手が起こった。細美はマイクを通さず、観客とバンド・メンバーに“ありがとう!”と全身を振り絞り何度も叫ぶ。ラスト「Silver Birch」を終えると、メンバーは全員でハグ。客席からの拍手はいつまでも鳴り止まない。人の思いが巻き起こす情景はとても清らかで、逞しい。“思いがひとつになった”という表現は、この日のために生まれた言葉かもしれない――心からそう思う、尊い時間だった。
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.12
-
大原櫻子
星野源
藤沢アユミ
FIVE NEW OLD
ASP
コレサワ
あれくん
ART-SCHOOL
SAKANAMON
女王蜂
LOCAL CONNECT
BLUE ENCOUNT
竹内アンナ
いゔどっと
PK shampoo
荒谷翔大
ACIDMAN
ズーカラデル
夜の本気ダンス × BRADIO × 8otto
チリヌルヲワカ
Homecomings
ブランデー戦記
[Alexandros]
鶴
SVEN(fox capture plan)
YUTORI-SEDAI
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
ADAM at
WtB
Eve
有村竜太朗
Dannie May
Bimi
MAPA
安藤裕子
蒼山幸子
古墳シスターズ
斉藤和義
原因は自分にある。
怒髪天
渡會将士
マオ(シド)
- 2025.07.13
-
星野源
あれくん
SVEN(fox capture plan)
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
TenTwenty
板歯目
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
FIVE NEW OLD
ASP
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
コレサワ
鶴
"HELLO INDIE 2025"
なきごと
ズーカラデル
UNCHAIN
ART-SCHOOL
有村竜太朗
アルコサイト
[Alexandros]
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
チリヌルヲワカ
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
Homecomings
ADAM at
ブランデー戦記
Eve
神はサイコロを振らない
荒谷翔大
すてばち
カミナリグモ
FUNNY THINK
ぜんぶ君のせいだ。
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
reGretGirl
斉藤和義
原因は自分にある。
トラケミスト
- 2025.07.14
-
Mirror,Mirror
- 2025.07.15
-
有村竜太朗
板歯目
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
[Alexandros]
Mirror,Mirror
TENDOUJI × 浪漫革命
SCOOBIE DO
キミノオルフェ
羊文学
Saucy Dog
Ivy to Fraudulent Game
- 2025.07.16
-
有村竜太朗
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
GLIM SPANKY
BIGMAMA × Dannie May
坂本慎太郎
Base Ball Bear × PEDRO
SHE'S × ヨイズ
TenTwenty
Saucy Dog
- 2025.07.18
-
斉藤和義
YOASOBI
フレンズ
[Alexandros]
SVEN(fox capture plan)
板歯目
東京スカパラダイスオーケストラ
ExWHYZ
GLIM SPANKY
the paddles
キュウソネコカミ
NEK! × komsume
KiSS KiSS
Organic Call
SIRUP
ぜんぶ君のせいだ。
SAKANAMON
ヤングスキニー
ACIDMAN
Laughing Hick
TENDOUJI
cinema staff × eastern youth
- 2025.07.19
-
豆柴の大群
浅井健一
フレンズ
"NUMBER SHOT2025"
コレサワ
YOASOBI
PIGGS
鶴
東京スカパラダイスオーケストラ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Novelbright
"JOIN ALIVE 2025"
shallm
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
キノコホテル
UNCHAIN
竹内アンナ
め組
"焼來肉ロックフェス2025"
SPECIAL OTHERS
ExWHYZ
LOCAL CONNECT
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
ぜんぶ君のせいだ。
いきものがかり
新しい学校のリーダーズ
"DAIENKAI 2025"
チリヌルヲワカ
片平里菜
PENGUIN RESEARCH
荒谷翔大
Nothing's Carved In Stone
マオ(シド)
- 2025.07.20
-
神はサイコロを振らない
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
[Alexandros]
ビッケブランカ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
"JOIN ALIVE 2025"
さめざめ
キノコホテル
HY
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
崎山蒼志 / NakamuraEmi / ズーカラデル / TENDRE ほか
GRAPEVINE
"焼來肉ロックフェス2025"
清 竜人25
PK shampoo
"DAIENKAI 2025"
LOCAL CONNECT
ROF-MAO
いきものがかり
GARNiDELiA
ブランデー戦記
- 2025.07.21
-
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
PK shampoo
LOCAL CONNECT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASP
鶴
TENDOUJI
jizue
め組
HY
PIGGS
小山田壮平 / 奇妙礼太郎 / 安部勇磨(Band set) ほか
ぜんぶ君のせいだ。
アーバンギャルド
LACCO TOWER
GOOD ON THE REEL
いゔどっと
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Homecomings
SpecialThanks / レイラ / GOOD4NOTHING / THE FOREVER YOUNG ほか
アカシック
PENGUIN RESEARCH
- 2025.07.22
-
Hump Back
the telephones
- 2025.07.23
-
東京スカパラダイスオーケストラ
板歯目
フラワーカンパニーズ×アイボリーズ
9mm Parabellum Bullet
女王蜂
- 2025.07.24
-
水平線
板歯目
bokula.
ビレッジマンズストア
竹内アンナ
the paddles
- 2025.07.25
-
四星球
マカロニえんぴつ
セックスマシーン!!
東京スカパラダイスオーケストラ
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
キュウソネコカミ
FIVE NEW OLD
有村竜太朗
Ivy to Fraudulent Game
のうじょうりえ
輪廻
RAY
らそんぶる
UNCHAIN
ゴキゲン帝国
miida
bokula.
感覚ピエロ
RELEASE INFO
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
- 2025.07.23
- 2025.07.25
- 2025.07.29
- 2025.07.30
- 2025.07.31
- 2025.08.01
- 2025.08.06
- 2025.08.08
- 2025.08.13
- 2025.08.15
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Organic Call
Skream! 2025年07月号