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INTERVIEW

Japanese

2026年02月号掲載

THE DO DO DO's

Member:ヒノ・ヨーコ(Vo/Gt) クハラディ・クハラダ(Vo/Gt) アオイマジン(Dr)

Interviewer:サイトウ マサヒロ

ベースレスに惹かれるっていうよりは 普通のバンドがあんまり面白くないと思っちゃう


-バンドの音楽性について、もう少し掘り下げましょう。最初から現在の編成を想定して始動したTHE DO DO DO'sですが、ベースレス・バンドの魅力を改めて言語化するとしたらどう表現しますか。

クハラ:ベースレスに惹かれるっていうよりは、普通のバンドがあんまり面白くないと思っちゃう。ベースレスじゃなくてギターレスでもいいんですけど、そういう変な編成のバンドが好きなんですよ。既存のバンドがやってるアプローチをやらないから、それがめちゃくちゃ面白い。プレイヤー目線で言えば、そういうバンドのほうが音作りでユニークなことができるっていうのがありますね。

-変な形の楽器が好きだという先程のお話にも通ずる部分がありますね。個人的には、ベースレスだと欠けてるものを補完するためのアイデアが必要で、否が応でもそこにハッキリと個性が表れるから面白いんじゃないかと思います。THE DO DO DO'sは、その"欠け"を補完するためにどのように試行錯誤してきましたか?

クハラ:足りないから補うというより、足りないからいいって考えてますね。引き算の魅力というか。

アオイ:自分も隙間を埋めなきゃという思いでシンバルを長く鳴らすこととかを意識してたんですけど、実は埋めないほうがいいっていうことに最近気付きました。

ヒノ:ライヴごとに違うってくらい、ずっと研究してるよね。"ベース・アンプを繋げてみようか"、"いや、やっぱりいらない"とか、"ヒノのギターをもっと高いところに振ってみようか"、"なんか違う"とか。それをずっと繰り返してちょっとずつ良くなっていってるんだと思う。あと、やっぱり最近はコーラスがデカい要素かなって。楽器だけではコード感が出にくいけど、コードがちゃんと聴こえたほうが活きる曲が多くて。そこにハモりが加わるときれいに響く。

-楽器でフォローし切れない部分を声で支えるんだ。面白いです。単純な発想では、ギターのローを強く出せばいいのかなと思っちゃいますけど......。

クハラ:勘違いされがちですが、THE JON SPENCER BLUES EXPLOSIONもTHE WHITE STRIPESも意外と出してないです。これはいろんなところで言ってるんですけど、ベースレス・バンドで大事なのはローじゃなくてミドルですね。

アオイ:ドラムも、キックを低い音にして補ってるんだろうなと思ってたら、全然トントン鳴ってて、それがカッコいいんですよね。

-ここからは、2月18日にリリースされるニュー・アルバム『MIRACLE』について聞かせてください。再録の楽曲も多く収録されていて、1stアルバムながらベスト・アルバム的な趣もある一枚です。皆さんにとって、本作はどんな立ち位置の作品ですか?

ヒノ:最初はそれこそベスト・アルバムというか、名刺っぽいイメージで。私たちのことが気になっている人に、これを聴いたらいいよって言えるアルバムを作ろうっていう感じでした。だからうちらが好きな曲とかライヴでよくやってる曲、お客さんから人気の曲を再録して。でもクハラが思ったよりいい新曲をドンドン出してきて(笑)、徐々に新曲の割合が増えていきました。結局THE DO DO DO'sのいいところはずっと良くなり続けてるところだから、それが表れたアルバムなんじゃないかなって思います。

-結果的には最新のTHE DO DO DO'sがパッケージされたんですね。再録楽曲の仕上がりも絶妙で、ただ演奏が上手くなって音が良くなったというだけではなく、今の3人ならではのパワフルさによって新しい魅力が付与されているように感じました。

クハラ:1つ前のEP(『ボーイ・ミーツ・ガール』)から比べて、音作りの考え方が変わったのがめちゃくちゃデカいと思います。荒っぽいイメージから、ちゃんとバランスが良くなっているのではないかと。

ヒノ:『Hold me baby, kiss!kiss!kiss!』のEPとかはほぼ友達みたいな人にバーっと録ってもらって、そのローファイさが良かったんですけど、その頃とは曲に対する意識も録音した環境も変わってて。それが"変に上手くなっちゃったね"じゃなくて、ちゃんと良く聴こえるようになってるなって、マスタリングされた音源を聴いて思いました。

-たしかに、小慣れてしまったような肩透かしは全くありませんね。サウンドメイクの方向性が変わっていったのは、なんらかの意識の変化に伴うものですか?

クハラ:"ロッキン"のステージに立ったことも影響して、もっとポップスとしての音楽をちゃんと作りたいっていう気持ちはありました。ロックンロールやガレージだけじゃなくて、大衆の世界にも入っていきたい。

-幅広いリスナーに届けるためのサウンドだということですね。

クハラ:そうです。

-新曲も再録曲も、ヒノさんのヴォーカルがめちゃくちゃ良くなっているのが印象的でした。

ヒノ:もっと言ってください(笑)。

-歌うことに対する意識はどうですか?

ヒノ:私、みんなの想像の100倍くらい何もできない状態でこのバンドに入ってきてて。ギターも最初はCコードすら弾けなかったし、例のミッシェルのコピバンも"これをやらないと高校卒業できない!"と思って無理矢理やっただけで、1回しかライヴしてない。だけどTHE DO DO DO'sに入ってからは、クハラの書くメロディがきれいで、歌が良くなる程曲も良く聴こえるだろうと思って、地道に頑張ってきました。"曲の良さがちゃんと伝わるくらいには歌えるようになりたい"っていう気持ちで。

クハラ:もちろん上手くなってるけど、そもそももとがいいと思ってる。

ヒノ:そうなの? 嬉しいな、もっと言ってほしい(笑)。

クハラ:声のキャラクター性がめちゃくちゃあるし、自分1人じゃできないことを形にしてくれてる感じ。3人のバンドっていう形に替えは効かないなって思いますね。

-初期はもっとアンニュイだったけど、今はパワフルだし声に艶があります。

ヒノ:声質がもともと強くないのが悩みなんですよ。裏声っぽい声というか、ロックンロールじゃなくて、バンドになると楽器に負けちゃう声。だから、そのなかでちゃんと前に出る歌を歌おう、声を強くしようっていう努力はしてきました。

-そして新曲群では、クハラさんのメロディ・センスに磨きが掛かりまくってます。

ヒノ:この前のレコーディングで判明したんですけど、ギター・ソロを作るようにメロディを作ってるんですよね。クハラのギター・ソロもそうなんだけど、コードにない音を急に入れてきたり。たぶん無意識にやってる。

クハラ:理論が全くわかんないから。

ヒノ:デモをちゃんと確認しないと、全然違うメロディを歌ってるときが結構ある。

-スケール・アウトした音がフックになってますよね。それが今作でよりハマってる気がする。

ヒノ:へぇ〜。

-(笑)メロディがキャッチーに研ぎ澄まされているのは、単に技術が向上したからなのか、それとも意識的に取り組んだことなのか、あるいは新しい影響を取り入れたからなのか。どれだと思います?

クハラ:もともと根底でポップなメロディが好きなのはありますね。楽器の音はロックンロールが好きだけど、声とか歌メロに関してはずっとキャッチーなものが好きだし。最近だとTOMOOとかめっちゃ好き。

ヒノ:SUPER BEAVERとかも好きだよね。

クハラ:そうそう。ポップな洋楽を聴いていた親の影響も多少あるし。かつてロックンロール・バンドをやってたときは全然そういうメロディを作る機会がなかったけど、こっちでは自分のやりたいことがいっぱいできるから、今まで眠っていた引き出しを出せるようになったのかな。そこに、今聴いている音楽からの影響を反映させて形にしてます。

-新曲の中でも気になるのがヘヴィな「探索」と「Your likes are my dislikes」。新境地を感じさせますが、どんな流れで生まれた楽曲なんですか?

クハラ:K-POPにめっちゃハマってたからそういうのをやりたいなと思って。aespaのシンセ・ベースってギターっぽいっていうか、Jack Whiteが弾いてそうなフレーズがめっちゃ出てくるんですよ。それを現代に適応させたベースレスのサウンドで作りました。

-意外な影響源! でもたしかに、aespaはロック・ファンからも好まれることが多いグループのように感じます。

クハラ:K-POPは日本のポップスと違ってコードがシンプルなループだけど、その中でちゃんとキャッチーなメロディを作っているのがロックと親和性が高いと思っていて、めっちゃ影響受けてますね。

-「Your likes are my dislikes」のラップもその流れで組み込まれたんですね。

クハラ:あとはJon Spencerもラップの影響下にあるから。ベースレス・バンドとしてもっと踊れる曲を作りたいという思いでアプローチしました。

-......ヒノさん、なんで笑ってるんですか(笑)?

ヒノ:クハラって、ラップ上手いんですよ(笑)。マジで面白い(笑)。でも私はレコーディングがめっちゃ大変だったんです。下手すぎて、ラップのつもりでやってても自然にメロディが付いて歌ってるみたいになっちゃう。それを削ぎ落とそうとして、わけ分かんなくなって。だけど結果的に、新しい武器が増えましたね。