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INTERVIEW

Japanese

Halujio

2025年12月号掲載

Halujio

Member:高畠 大知(Gt/Vo) 大窪 弥真斗(Gt) 松本 宗光(Ba) 細川 龍之介(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-弥真斗さんも分かります?

松本:弥真斗は同い年だったもんね?

大窪:うん。スタッフっていうか友達だったんで。Halujioって歌入りの曲が結構少なかったりするんで、僕はシンプルに嬉しいです。

松本:急に(笑)。

高畠:全然関係ない話(笑)。

大窪:いや、曲としていいなと思って。

高畠:歌入りだったのもあって1曲目にしようみたいなのもあったね。

松本:そうだった。

大窪:歌入りの曲が好きなんで。

高畠:もっと作ります(笑)。

-(笑)「ネイキッド」は前作のタイミングで録っていたそうですが、曲自体を作ったときのことって覚えてます?

高畠:いやぁ、どうだったかなぁ......。

松本:めっちゃ前でしょ? 一昨年とかじゃない?

-そんな前でしたか。

高畠:なんか、これぐらいのタイム感で裏打ちの曲が欲しいよねって話をしていて、じゃあ作ってみようかなみたいな感じだったと思います。結構分かりやすいぐらいポップにしたんですけど、そういう曲もなかったし、ちょっとやってみようかなって。あと、俺は靴を1足しか持ってなくて、破壊するまで履き続けるんですよ。壊れたら買い直すっていう。だから基本、靴がボロボロなんで、これを軸に歌詞を書いてみようかなって。なんか、曲を作っているときに追い詰められて、もうしんどい......って下を向いたときに靴が見えて、"なんか俺みたいだな"と思って(笑)。

細川:ははははは(笑)。

松本:キチーな(笑)。

高畠:それこそ2番のAメロがそれですよ。

-"古くなった靴を/無理やり履き潰して/踵を擦り減らし/少しだけ僕に似ている様な、"という(笑)。

高畠:そろそろ靴を買わないとなぁみたいな。

松本:でも買わないじゃん。

高畠:買わないね。壊れて小指が出ても履いてる。

松本:あげたりしてるんですけどね。

-ちなみに今履いている靴は新しめですけど。

高畠:この前、東京、仙台でライヴがあって。東京でライヴして、打ち上げして、仙台に向かう途中、朝起きたら靴の下のところがべろーんってなってたんで、これじゃ無理だってことで仙台で買いました(笑)。

-(笑)同じものを履き続けるということも、特に理由があるわけでもなく?

高畠:そうですね。靴に興味がないっていうだけで。

-そういうところから歌詞が生まれつつも、分かりやすいぐらいポップにしたというお話もあった通り、サウンド的にはキラキラしている感じがあって。

細川:デモを送ってくれたときに、こういうテンションの曲が来るのって意外と初めてかもなって、メンバー内でも結構びっくりした印象がありましたね。明るい曲調というか。

高畠:『roots』のほかの曲と比べるとかなり明るいし、思い切って頑張って明るい曲にしようと思って、歌詞も分かりやすく書こうっていうのはありましたね。でも、結構思い切ったこと歌ってるなぁとは思います。

-分かりやすさで言うと、「アールグレイ」も......。

松本:出ました!

-(笑)ある意味、分かりやすさを意識された曲なのかなって。

松本:これはもう我々にとって至極の分かりやすい曲です。

大窪:Halujioの古いお客さんも"大知くんってこんな歌詞書けるんだ?"って言ってて。それぐらい振り切ってる歌詞ではありますね。

-それこそ分かりやすいものを作ってみようと。

高畠:もう本当に。まさに狙ったというか。結構言われるんですよ。歌詞があまりにも届かないというか。

松本:届いてないわけではないけどね。

大窪:何を歌っているのか分かりづらいっていう。

高畠:じゃあ分かりましたよ、と。これも「ネイキッド」と同じというか、曲を作ってるときにたまたまアールグレイを飲んでいたから、じゃあキッチンにフォーカス当てて、キッチン用具とか入れて書いていこうかなって。あと、"噛んだガムを/少しして吐き出す様に"っていうのも、そのときガムを噛んでたからそう書いたんですけど。

松本:えっ、適当?

高畠:適当じゃない(笑)。でも、言葉を考えて喋ったりするのって、なんか料理っぽいなって思ったんですよね。だから"僕の言葉も/上手く料理が出来たら/口にしたい/思いも上手く言えたかな"って。これが軸ですよね、この曲の。

松本:俺たちは大知と一緒にいるから、こういうことが言いたいのかなってなんとなく分かったりはするんですけど、たしかに初めての人は「アールグレイ」以外を聴くと、うーん......ってなっちゃいそうだなと思って。でも、分かりづらいかもしれないけど、めっちゃパンチラインみたいな一節があるから、そこが分かればほかも分かるみたいな、そういう感じがしていて。たしかに「アールグレイ」は、俺も最初のこの部分が軸だなって思いました。

高畠:ただ、最後のサビはめっちゃ悩みましたけどね。"アールグレイの香りで"がすごくぴったりハマったんで、それに合うような歌詞がそもそもあんまりないなと思って。韻を踏めるワードって何かないかなって考えてたときに、"会いたくなって"......いや、"会いたくなって"かー! って(笑)。でも、思い切ってこの歌詞にしてみました。「アールグレイ」はわりと最後らへんにできた曲なんですけど、最後のサビの"部屋から飛び出した"を書いたぐらいで、じゃあ部屋のことだから......みたいな感じで最初の話に戻るんです。

-ある意味決定打みたいな感じだったんですね。でも、歌詞が伝わりづらいかもというお話がありましたけど、ちゃんと伝わってきますけどね。感情とかいろいろなものが。

高畠:最初は奇天烈な言葉並べて、それがかっこいいと思っていたんですけど、そういう自分も残しつつ、それでも伝わるように書けたらいいかなって。それが曲のエッセンスになったらよりいいかなっていう感じで書いてますね。

-いろいろな歌詞があってもいいと思いますしね。こういう書き方も、また別の書き方も。

高畠:今回は結構頑張って考えてましたね。今までは一番悩むのってサビのメロディとかオケだったんですけど、歌詞に時間がかかったなって。今まで通り書いていたらめちゃくちゃ簡単なんですけど、もうちょっと寄り添うじゃないですけど、伝わるように書いてみようかなって。一番大変だったのが「杪夏」だったんですけど。

-どんな部分が大変でした?

高畠:タイトルに"夏"って入っているから、これは夏の曲なんだろうなって分かるとは思うんですけど、タイトルを見ずにこれは夏の曲だなって分かるように書いたりとか、夕暮れ時に田舎の田んぼ道を歩いてる情景が浮かぶような歌詞にしたいなとか。サビを結構伸びやかに歌っているから、入れられる言葉が限られてたので結構大変だったのと、過去のことだけを書くのであればすごい簡単なんですけど、最終的には"毎年半袖に腕を通すと思い出すよね"みたいな感じに、あの頃からだんだん今に繋げていきたかったんですよね。あのときは時間になったら家に帰らなきゃいけなかったんだけど、当時の自分にはもう帰れない。帰らなきゃいけなかったのが、帰れなくなってしまったっていう。だからもう僕は先に行くしかないよねっていう。

-その流れもすごくいいなと思いました。いろいろな感情を抱えながらも、それでも僕は先に行くというところで、この『days』という作品を締めくくるのが素敵だなと思って。

高畠:そうなんですよね。すごい時間がかかったけど、いい歌詞だなって思います。

-その音源のリリース・ツアー"DayByDays tour"が今日からスタートして、ツアー・ファイナルは来年1月23日、場所は渋谷 Spotify O-Crestで開催されます。

高畠:ツアー名のもとになっている"day by day"っていうのは、"日に日に"みたいな意味で。ライヴの一本一本を大切にするのはもちろん、当たり前の話ですけどやっぱりそれをちゃんと積み重ねていかないとファイナルに向けてライヴができないなって。

松本:前回のツアーは、積み重ねるというよりは、その日! っていう気持ちでやっていたんです。とにかくこの1日を大事にしようっていう。結果的にそれが積み重なってはいるんですけど、前回のツアーでそれはできるようになったというか、自然とそう思えていることなので、それをベースに積み重ねていこうっていう話をしてたんです。衝動的だった気がする、前回のツアーは。

高畠:うん。それもあって、"ツアーを回ってきた集大成がこれです"っていうマインドでツアー・ファイナルをやれなかったなっていうところがあって。"とにかく今日命かけようぜ"みたいな感じだったんで。だからファイナルへ向けて積み重ねていきたいんですけど、まぁそれは本当に今日次第っていう感じで(笑)。

一同:はははは(笑)。

-いい滑り出しができるかっていう。

大窪:でも期間で言うと短いんですよ。2ヶ月だから、短いぶんファイナルに向けて気持ちを途切れさせることなくできると思うので、いい意味で"いつの間にかファイナルじゃん"になっていたらいいかなって。

-たしかにじっくりやるのもいいけれど、時間が空きすぎてしまうのも......という。

大窪:そうなんですよね。前回は2週間空いたり、3週間空いたりっていう感じだったんで、"ツアー中です"みたいな気持ちが薄れるポイントもあったんですけど、今回はわりとギュっとしているので、2ヶ月走り切る気持ちでいきたいです。

細川:期間も短いから、その日1日を通して得た課題を、わりと短いスパンでトライアンドエラーができるんじゃないかなと思って。バンド全体としてもそうですし、自分の個人的な課題にもチャレンジして進化できたらなと思ってます。

-ちなみに、セットリストって結構変えたりするんですか?

松本:前回のツアーからセットリストの大まかなベースというか、ここのセクションみたいなのが決まっていて。まぁだいたい一緒と言えば一緒だけど、曲を育てるためにもいろいろ試しながらっていう感じですね。

大窪:うん。全く一緒にはしないようにっていう。

高畠:ただ、曲の分数が短くなったんで、セットリストを組むのがめっちゃ大変なんですよ。最近30分で8、9曲ぐらいできちゃうから逆にムズいなぁって。

松本:あんまりないもんね。ギター・ロックと一応言われているなかで、30分で9曲とか。

大窪:だいたい5曲とか6曲とかだから。

高畠:"パンク・バンドぐらい曲やるね"って言われるんで(笑)。

松本:大変そうだよね、歌っていて。

高畠:ほんと大変。前までだったら3曲やって、2曲やって、2曲みたいな流れだったのが、今は3、4曲やって、3、4曲やって、2曲みたいな。ブロックごとの曲数が長くなってるから。

松本:でも、自分で作ってるからね?(笑)

-お客さん的には曲数が多くて嬉しいっていうのもあると思いますし。

細川:それも積み重ねですね、ツアー・ファイナルに向けて。

高畠:積み重ねて喉を鍛えます。