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INTERVIEW

Japanese

底なしの青

底なしの青

Member:下田陽太(Vo/Gt) アンザイタイスケ(Gt) 新井 怜(Dr) 相原一平(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

孤独の時間に寄り添える曲が書きたい


-バラード曲は下田さんの自由にというのがあるようですが、こうして曲が徐々に彩られていく過程を、書き手としてはどのように感じているんですか。

下田:僕は、自由に書いていいと言われて、自由に歌詞とメロディとコードをつけていくんですけど、そこから3人がどうアレンジをしていくかは、毎回楽しみなんですよね。絶対にこうしてほしいっていうのは正直ないんです。イメージと大幅に違えば言いますけど。そうじゃない限りは、そういうことになるんだっていう僕自身の楽しみでもあるので。今回の「Good night fighter」はもう最高ですね(笑)。

-ラストにかけての"Good night fighter"のリフレインが印象的で、優しく語り掛けるように、柔らかな余韻を響かせる曲ですが、どんなふうにして生まれた曲だったのでしょう。

下田:僕は感情を曝け出すことが苦手だし、内に秘めている人が好きなんです。普段思っているけどぐっとこらえて、言いたいことを言えない人を応援したいなと思ったんです。夜寝るときに、今日も自分頑張ったなって、そう思ってもらえる曲を書きたいなと考えて。それで"Good night fighter"──戦うものというか、いろんな戦い方があると思うんですけど。我慢する強さや戦い方も絶対にあると思うので。陰で戦う人じゃないですけど、そういう人に贈りたいなと考えたんです。だから応援歌ですね。

-下田さん自身、自分の感情を歌にして吐き出すことよりも、誰かに寄り添える曲をという思いが大きいんですか。

下田:孤独の時間に寄り添えるような曲が書きたいと思っているんです。孤独って悪いことじゃないんだよっていうか。孤独って素晴らしいんだよっていうことを伝えたくて。なので、底なしの青の曲は、理想としてはひとりで聴いてほしいんです。

-それは、自分の経験からですか。

下田:そうなのかもしれないですね。僕は、人はずっと孤独だと思っているので。みんなと一緒にいるときですらも、孤独だと思うんです。自分の中で湧き出す感情は、結局自分に全部返ってくると思います。友達といるときでも、友達と比べて自分はこうなんだなって考えていると思うので。そういう感情を応援じゃないですけど、それに寄り添えるような歌詞にしようとは常に考えています。

-改めて、底なしの青のスタンダードと新しさとを詰め込んだ6曲になっていますが、こうした作品が完成した実感、今の手応えはどのようなものですか。

下田:やっていることは今までと変わらないんですよね。多くの人に届けたいと思って今までもやってきたんですけど。仙台にこういうバンドがいるんだぞっていうのを全国のみんなに知ってもらえたらいいなと思いますね。

-仙台の中でも、底なしの青のようなこういう直球のギター・ロック・バンドっていうのは多いんですか、それともレアな存在なんですか。

下田:多いと思いますね......と言っても数は限られていますけど。仙台はいいバンドがめちゃくちゃ多いと思っているので、もっと全国に知られたらいいのにな、とは思ってます。仙台のバンドはお互いにそう思っているんじゃないかなって思いますね。

-いろんな土地で、いろんなバンドと対バンなどをすることで、仙台のバンドらしさや自分たちらしさということで感じたことってありますか。

下田:仙台らしいか......。

-この4人だからこそ、こういう音楽になるんだなと実感することとか。

アンザイ:この4人だからっていうことで言うと、僕たち結構年齢が離れているんですよ。僕と下田が同い年で、リズム隊ふたりは6、7歳下なんですよね。あと、僕と下田が仙台出身で、ふたりは秋田出身というのもあって。自分たちは、俺たち仙台のバンドだっていう感覚ももちろんあるんですけど、いろんな世代や、それぞれの育ってきた環境や、多感な時期を過ごしてきた地域の差というのは感じるし。それがいい方向にいっているな、出ているなと思う瞬間もありますね。

-6歳離れていると、結構聴いてきた音楽だったり、同じ作品でも触れるタイミングが変わってきますよね。リズム隊のおふたりは、ギャップまではいかないでしょうけど、違いを感じることはあるんですか。

新井:作るうえでのコミュニケーションではあまりなくて、というかむしろ出会ってからいろいろなライヴハウスでライヴをするなかで、共通のものを見てきて。それがひとつの共通認識になって、最近の曲はアレンジメントを進められているところもあるのかなと思いますね。なので、曲作りでのギャップはないんですけど、違いという話で言うと、底なしの青の節目節目のイベントってフロアにいろんな人がいるなって思っていて。そこはルーツも年代も違うメンバーがいてタッチポイントがいっぱいあるおかげで、属性的にも、年代的にもという意味で、いろんな人たちが底なしの青の音楽を楽しんでくれて。それは、この4人でしか作れない空間だよなと感じるところですね。いい意味で、多様性を持った4人という感じで。

相原:年齢もそうですけど、さっきも言ったようにルーツも全然違うので。そのミクスチャー加減というか、そういうところが面白いのかなって。ちゃんとそれが底なしの青としてパッケージングされているんじゃないのかなって、最近よく思います。

-新井さんは2019年に、相原さんは2020年の加入ですが、どういう出会いで底なしの青に加入しているんですか。

アンザイ:僕と下田は大学のサークルからなんですけど、ふたりは下田がTwitterで見つけてきて。ふたりともTwitterに、ドラムやベースの演奏動画を上げていて。それを観て、"一度スタジオに入ってみませんか"って下田が誘ったんです。

下田:いろんな人の演奏動画をだいぶ検索しましたけど。でも実際に会って、スタジオに入らないとわからないので。スタジオで初めましてで、いろいろ話をしてという感じでしたね。

アンザイ:やっぱり演奏だけじゃなく、人柄も大事というか。僕らふたりは年齢は上ですけど、相原も新井も全然離れている感じがしないというか、大人びてるので(笑)。あまりギャップなく話せるというのも、ありがたいかなと。

新井:そこもお眼鏡にかなったところで(笑)。

-バンドの佇まいからもそんなに年が離れていると思わなかったです。

下田:ありがとうございます。僕が若く見えるっていうことでいいですか(笑)。

-(笑)リリース後にライヴや12月10日には地元仙台でワンマン・ライヴも決まっていますが、こちらはアルバムのツアーという位置づけですか。

下田:今回、ツアーとして冠はつけていないんです。単発で、これまで行っていた土地、ライヴハウスに行こうと思ってます。できるなら全国、47都道府県に行きたいんですけど、なかなかそういうわけにもいかないので。まずは今まで行っていたところにご挨拶じゃないですけど、出しましたよっていう報告がてら、ライヴをしに行けたらなという気持ちですね。ツアー頑張ろう! というよりも、会いに行くみたいな感覚ですね。