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INTERVIEW

Japanese

富金原佑菜 × eijun

 

富金原佑菜 × eijun

-自分の内側の感情や、抑えきれない思いから発信するというのともまた違う、ストーリーを描く感じなんですね。

富金原:自分の内側からっていうのは中学1、2年生の、曲を作り始めた頃のほうが多かったですね。中二病みたいな時期もあったので。

eijun:"中二病"って曲もあるよね。

富金原:そうなんです。そういう曲しか書けなかったんですけど、最近はやっといろんな人の視点から書けるようになって曲の幅が広がってきましたし、今しかできない曲を作っていきたいなと思っています。

eijun:「嘘つき」とか──

富金原:最初の曲です! 本当にいろいろ聴いてくださってありがとうございます。

eijun:あれが最初なの? すごく好きで、聴いたときに鳥肌が立って。えぐられるような歌詞の曲だけど、とてもいいんですよ。まだサブスクにはないよね。っていうかほとんどない。早く配信してくださいよ。

-曲提供ではないですが、この人に歌ってもらったら合いそうだなと想像しながら作ることはありますか。

富金原:それはまだないんです。

eijun:自分が歌うことが前提なんだね。

富金原:それしか考えたことがなかったですけど、面白そうですね。

eijun:俺は結構、素振り的にやることもありますね。例えば俺が誰々に曲を書くとしたらと想像してみて。曲提供をするとなると、いい意味で自分の曲ではないところの責任感が芽生えるんです。サビはもうちょっと派手にしたほうがいいかなとか考えるようになって、面白いんですよね。

富金原:面白そうです、やってみます。

eijun:意外とそれがいい曲になっちゃって、"自分で歌うんだけどね。てへ"みたいな感じで(笑)。でも儲けものじゃない、そういうの。

-一方で、今回のように曲を貰ってシンガーとして表現するという経験も、また得るものがありそうですね。

富金原:曲を提供していただいた機会はこれまでにないので、自分が作った曲じゃないのに自分の曲っていう、不思議な感覚になりましたし。自分が作った曲じゃないからこそ、もっと大切に歌おうという気持ちにもなりました。

-アニメもスタートして、MVも公開されて、反響というのはありますか。

富金原:アニメということもあって、YouTubeなどでは海外の方からコメントを貰うようになりました。こうやって海も超えるんだなっていうのは、びっくりしましたね。

eijun:富金原さんのYouTubeの「You're my perfect mirror」のコメント欄を見るとすごく嬉しいです。世界中の人がいいって言ってくれているというのは、本当に嬉しい。

富金原:私をもともと応援してくださっている人の中にも、THE BACK HORNさんのファンの方がいるんです。だから今回の曲をめちゃめちゃ喜んでくださってました。

eijun:嬉しいなぁ。

-また富金原さんは、アニメ"境界戦機"の舞台となった四国、中国地方で主人公たちと同じルートを辿って、各地でフィールド・レコーデイングを行ったMVも富金原さんのYouTubeチャンネルで公開されましたね。

富金原:私自身初めての四国、中国地方だったんです。その独特の雰囲気に驚いたというのと、屋外で、自然の中にマイクを立てて歌う機会はもちろん初めてで。でも思っていた以上に開放感があったので、気持ち良く歌えました。

-バイノーラル録音(※実際に人間の耳で聴いている状態を再現できるような録音)なので、例えば海辺でのレコーディングでは波の音もそばで聞こえて、キャンプ場でのレコーディングでは焚き火のパチパチとした音まで聞こえて、それぞれのシチュエーションで歌っている臨場感があっていいですね。

eijun:あれは聴いているだけでも、気持ちいいよね。

富金原:歌いながらも自然の音が入ってきて、気持ち良かったですね。海や滝など、アニメの舞台となっただろういろいろなシチュエーションで歌っているんですけど、福山市の街中でのレコーディングは早朝3時とか4時とかで。眠かったです(笑)。

eijun:その時間くらいであの明るさがあるんだ。あれ、どのくらいの声量で歌ってるの?

富金原:結構普通の音量で歌っていました。朝早すぎて誰もいなかったので。

eijun:お好み焼き屋さんで歌っているのもありましたね。このお好み焼き屋さんだけ、2パターンあって。

富金原:"隣で歌ってたVer."も撮りました(笑)。

eijun:どこのロケーションが一番歌いやすかった?

富金原:お好み焼き屋さんでした。室内なので、声が反響して歌いやすいんです。海とかだとどうしても声が響かないので。印象的だったのは焚き火ですね。火の粉が飛んでくるくらい焚き火が目の前にあって、汗ダラダラで歌ってました。

eijun:THE BACK HORNのMVでも焚き火のシーンを撮ったことがあるんだけど、あっついんだよね、本当に。

富金原:すごく熱かったです。でも星がすごくきれいなところで。あんなきれいな星は見たことがなかったし。しかも焚き火でマシュマロを焼いて、食べさせてもらったりもして、とてもいい思い出になりました。

-それぞれ何テイクくらいやっているんですか。

富金原:1ヶ所で多くても4回とかですかね。空の感じとか一番いい瞬間を狙って、ここで決めようという感じで。海の場面で、もうちょっと待ったら少し日が沈んできれいだよねとかもあったんです。

eijun:これがロケの難しさだよね。

富金原:3日間かけて全箇所回っての撮影だったんですけど、ずっと時間との勝負でした。

-曲がいろんなところに連れて行ってくれる感じが、すでに出ていますね。

富金原:そうですね。この曲のおかげでいろんなところにいけたので。それも嬉しかったです。

-2021年に「You're my perfect mirror」との出会いがあり、様々な経験がありました。2022年はこういうことをしたい、実現したいことなどありますか。

富金原:2022年は大学生になるので。もっと視野を広げて、歌ってギターを弾くというだけではなくて、別の視点から音楽をやってみたいなとか、エレキをやってみたいなとかもあります。エレキも弾いたことはあるんですけど、アコギの代わりにエレキを持ってるだけのような状態なので、エレキだからこそ作れる曲とか、パフォーマンスとかもやっていきたいなと思いますね。

eijun:でも本当にYouTubeで公開している曲を時系列に見ていくと、アコギがめちゃめちゃ上手くなっているよね。最近の曲なんかは、すごく上手くなってるのがわかる。続けている重みというのが出ていて。

-中学生で曲を作り始めて、今の時代、YouTubeだったりで映像的にその過程が残っていくというのが面白いですよね。

eijun:そうなんですよね。残していくっていいなと思って。本人も言ってるように、そのときでしか歌えないことや、そのときの演奏があるじゃないですか。あとあと見返したときにストーリーを感じますよね。

-富金原さんは、ギターは独学ですか。

富金原:ギターは独学です。ピアノは小さい頃に2年くらいやって。そこから触らない時期があったんですけど、最近作曲のために弾き始めました。

-eijunさんの曲作りは、主にギターでやっていく感じですか。

eijun:今はPCで作っていますね。だいたい頭の中で作って、それでPCで落とし込んでいくというか。

富金原:私はDTMがまだできなくて。自分が録った音源に、ドラムを加えるとかくらいしかできないので、やってみたいという気持ちはありますね。

eijun:ハマると思う。楽しいんだよね。なんでもできてしまうというか。操作に慣れてしまえば、思いついたことをパッと形にできるんですよね。北欧っぽい曲調だったけど、南国っぽく差し替えようというのもすぐにできるし。すごく楽しくて、ずっとそればっかりやっていて(笑)。曲作り好きな人は、ハマりやすいかもしれない。

富金原:やってみたいです。

−大学生になってチャレンジできることも増えそうですし、ライヴもこれまで以上に広がっていくと思います。アニメとの関わりで海外でもライヴができる可能性もありますしね。

富金原:はい、できたらいいなって思ってます。まだこの「You're my perfect mirror」はライヴで披露していないので、ライヴでできる日が来るのもまた楽しみです。

eijun:そのときは観に行きます。

-では最後に、初めてこうしてお話ができたということで、富金原さんからeijunさんに聞いてみたかったことはありますか。

富金原:曲作りに行き詰まったりしたときにeijunさんはどうしていますか。Aメロとかまで書いて、Bメロが書けないとか。Bメロはすごくいいのに、Aメロがなんか違うなって、そこで止まってしまうことがあるんです。

eijun:俺はそういうとき、やる順番を変えてみるかな。漫画家の赤塚不二夫さんは、漫画をどこからでも描ける人らしくて。音楽にたとえるなら、BメロからでもDメロからでもどこからでも書けると。赤塚さんは天才だからそれができたかもしれないけど、俺が自分なりに取り入れたのは、どこからでも書けるようにすることで、その曲で一番エネルギーを注ぎたいところから始めてみたことですね。それが自分の場合はサビが多いから、サビに全エネルギーを注いで歌詞も言いたいことをそこで詰め込んじゃえば、Aメロ、Bメロのテンションが自ずとわかるというか。行き詰まることもないんですよね。歌詞の表現が被ってしまうようなことも、優先したいところに書きたいことを先に書いてしまえば自ずと被らなくなるんですよ。

富金原:なるほど。やってみます!

eijun:具体的な話になっちゃったけど(笑)。もうちょっと、先輩からの人生の言葉みたいなのがあれば良かったけどね。

富金原:とてもわかりやすくてありがたいです。

eijun:作家同士の気持ちなんですよね。体育会系で育ったわけではないので、年功序列みたいなものが俺の中になくて、同じものを目指している人になってしまうので。だから、先輩からの言葉みたいなものが言えないんです(笑)。半分はライバル視してるというかね。誰に対してもですけど、常にリスペクトとライバル心があるんですよ。

-だからこそ富金原さんのオリジナル曲も全部聴いているんですね。今のアドバイスでさらに富金原さんのいい曲が聴けそうです。

富金原:はい、eijunさんのアドバイスでできましたっていう曲ができそうです。

eijun:いい曲ができたりしたら、それもそれでまた困るけど(笑)。

RELEASE INFORMATION
富金原佑菜

TVアニメ"境界戦機"エンディング・テーマ
「You're my perfect mirror」
配信中 ミュージック・ビデオ公開中

▼番組情報
TVアニメ"『境界戦機』第一部"
再放送中
BS11:毎週金曜19:00~
テレビ東京:毎週月曜25:30~
MBS:毎週火曜27:30~
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