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INTERVIEW

Japanese

藍色アポロ

 

藍色アポロ

Member:ナガイ(Vo/Gt) みゃん(Gt) すず木 ひろ史(Ba) 石川 雄太(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-ナンバガをはじめ、2000年代のロックというのは、自分たちにとって特別ですか?

ナガイ:特別ですね。なんなんですかね......サウンドかなぁ。

みゃん:サウンドだよね。

ナガイ:今と全然違うんですよ。澄み渡り方とかが。

石川:ちょっと泥臭さもあるよね。

ナガイ:わりと雑でもかっこいい。ま、雑がすべていいってわけじゃないんですけど。

すず木:ロックのトゲトゲした部分もあるしね。

ナガイ:マジでちょうどいいところを突いてきますよね。当時のバンドって各々が、そのバンドに一番合った音を出してると思ってるんですよ。音を聴いただけでわかる。今はそれがわかりにくいかなと思うんですよね。

-それは鋭い分析かもしれない。

ナガイ:例えば、音源がラジオで流れたときにイントロで"あ、あのバンドやな"ってわかる。それが本当にすごいなと思って。そこは目指してますね。今回は一発で藍色アポロってわかるようにっていうのを掲げてやってたんです。

-当時は今ほど打ち込みの機材も充実してなかったじゃないですか。

ナガイ:作り方がアナログなんですよね。

-情報も少ないなかでギター、ベース、ドラムっていうベーシックな楽器だけを使って、いかにオリジナリティを生み出すかのせめぎ合いだったんだろうなと思うんです。

ナガイ:少ない選択肢の中でドンと衝撃的なパワーを作らないといけないですもんね。

-音作りをするうえで、そこはどう考えてるんですか? 2020年代のバンドであれば、いろいろな機材を使った音作りも選択肢に入ってくると思いますけど。

ナガイ:僕らは完全にアナログ主義者なんですよ。いろいろな意見があると思うんですけど、僕は、真空管アンプにコンパクト・べダルを繋いでっていうのがかっこいいと思ってるので。いろいろなデジタル系の機材はあるけど、あんまり使わないようにしてますね。

みゃん:最初、僕もマルチ・エフェクターを使ってたんですけど、それを売ってヘッド・アンプを買って、ボードを組みなおして、アナログにしてるんです。もともとそっちのほうに憧れはあったんですよ。ただ、お金がなくてマルチにしてただけだったので。そういうところで、こだわりを出してますかね。

すず木:逆に、僕はめちゃくちゃデジタルな機材を使ってるんです。

みゃん:そういえば、そうだね。

すず木:でも、音作りはいなたい感じにしてるので。バンドに寄せてる感じですね。

-石川さんはどうですか? ドラムのアプローチとしては。

石川:自分もシンバルとかはサスティン(音の伸び)がきれいなやつよりは、荒々しい感じのやつを揃えたりしてますね。そこも2000年代のバンドを参考にしてて。今回のEPは全曲通して、スネアのチューニングは抜けるような、ハイトーンな音でレコーディングしてるんです。

ナガイ:いろいろな機材があると思うんですけど、1個自分の中で正解を決めちゃって、それに近づけるためだったら、別にデジタルでもアナログでもどっちでもいいというか。たまたま自分が使いやすいのがアナログだったっていう感じですよね。

-藍色アポロが生きているのは2021年なわけですからね。

ナガイ:そうです。取捨選択というか。それがバンドに必要だと思ったら使うし、これは違うなと思ったら使わないっていうだけですね。

-話は変わりますけど、バンド結成から約1年半という期間をどう振り返りますか?

ナガイ:濃かったですね。激動でした。

-特に、"RO JACK(RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2020)"っていう新人バンドのオーディションで優勝したことが大きかったと思いますけど。オーディションには積極的に応募していたんですか?

ナガイ:正直してました。

みゃん:最初のほうはわけがわからないまま応募してたよね。

-バンド結成してすぐだと、オリジナル曲も少ない状態ですよね?

石川:そうそう。だから本当はちょっとズラそうっていう話もしてたけどね。

みゃん:なぜか自信があったから。それで出しちゃおうって。

ナガイ:何も知らないまま、"優勝したら「ロッキン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)」に出られるらしいぞ"っていう。

-そこで評価をしてもらえたことについては、どう受け止めましたか?

ナガイ:嬉しいんですけど、いかんせんどのぐらいすごいのかわからなかったんですよ。逆に知識がないのが良かったと思ってて。"俺たちは天才だ"とか天狗になることもなかった。"ロッキン"に出るんだったら、まだ俺らには足りないところがあるよねって、受け止めてましたね。

みゃん:このままじゃヤバいってエンジンがかかった感じですよね。

-バンドを進めていくうえでの着火剤にはなったわけですね。

ナガイ:そうですね。自分たちの路線が間違ってないことが証明されたというか。これでダメだったら、俺が書く曲はダメなのかとか別の路線にしたほうがいいのかとか、迷いが出てしまったと思うんですけど。そこを変えずにできたからこそ、今もこういうスピード感でいられるんじゃないかなと思います。

-優勝特典だった"ROCK IN JAPAN FESTIVAL"への出場は、コロナの影響で延期になってしまいましたけど、モチベーションは変わりませんか?

ナガイ:ってことは、次の目標が自動的に生まれたっていう感じなんですよ。"ロッキン"から"COUNTDOWN JAPAN"に延期になって、また"ロッキン"になって。それも中止になってしまったんですけど。

みゃん:ずっと馬がニンジンぶらさげられて走り続けてる、みたいな(笑)。

ナガイ:"ロッキン"のステージに立つことが、自分たちの目標でずっとあり続けたっていうのは助かったと思ってます。このコロナ禍で生きるうえでは。

-コロナ禍って、周りから見るとバンドをやるのは逆風だとか、音楽業界は大変だとか、自動的に同情の目で見られると思うんですよ。

ナガイ:見られます、ムカつきますよね(笑)。友達からも、"バンド大変だよね"って言われて。こっちはだいぶ楽しくやってるのにって思うんですよ。

-たしかに苦境であるのは間違いないけど、今の話を聞いてると、こと藍色アポロに関しては、コロナ禍の活動にあんまり悲壮感がなさそうですよね。

ナガイ:配信とかやって、いい範囲でやるしかないなっていう気持ちでずっと動いてたからだと思います。そのとき最大限できることをやってきたし。ポジティヴなんで。

-あ、自分たちで自分たちのことをポジティヴだと認識してるんですか?

ナガイ:めっちゃポジティヴですよ。フェスが中止になったときも、次! 次! って。

みゃん:切り替えは早いね。

ナガイ:一瞬だけ落ち込むんですけど、それを引きずらずにやれてますよね。