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INTERVIEW

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Interviewer:石角 友香

ライヴだと、明るくてポップな曲でお客さんが笑顔になるのがわかるので、そうした曲を作れることもアーティストの道だなと思うようになりました


-そして、もうひとつの主題歌である「The Hardest」。これは「Who I Am」と共にあるとしたらどういう存在ですか?

「Who I Am」が表で、自分の足で立って歩いていくんだっていう曲であって、「The Hardest」はそれに対して、自分の思い出や過去を振り返っていてすごく切ない曲なんですね。そこで対照的に聴こえるかもしれないんですけど、「The Hardest」も思い出と一緒に生きていくっていう意味では、前を見据えている曲ではあるなと思うので。そちらも違うテンションで違う色で、違う重さの曲ではあるけど、結局のところ見つめているのはやっぱり未来かなと考えています。。

-珍しくmiletさんの曲の中では懇願する部分や問い詰める表現がされていて、歌詞も新しい感じがしました。

すがるとかはないんですけど、大切な人とかものを思い出したときに、自分の心の中から一瞬でも消えてほしくないという思いが強くて。この曲は、歌詞通りに懇願することよりも、何か大切なものとか、もう見えなくなってしまったものを思い出すための鍵というか、この曲があればその人のことやあのときのことを思い出すことができるみたいな、宝箱を開けるための鍵の役割にしたいなと思いながら作った曲でした。

-直情的なものというより、自分の感覚を呼び起こすための装置みたいな曲なんですね。一転して「One Touch」はすごくブライトで。

そうですね。歌詞通り、すごくブライトな曲になりました。

-ここまでエレクトロで明るい曲も新鮮ですね。歌詞も素直だし。

そうですね。甘えたいときにはこれぐらい言いたいなと思いながら作った曲で。デビューするときはこんなにラヴリーだったり、ポップだったりする曲を歌うようになるとは自分でも思ってなかったですね。でも、作りたいなと思うようになったのはライヴをしたのがすごく大きくて。ライヴをしてみると、ほんとにお客さんの盛り上がりが曲によって全然違うんです。クールめに見られることが結構多いんですけど、ライヴだと明るくてポップな曲でみんな一気に笑顔になるんで、ああいう姿を見たら私もちょっと作る曲考えるなぁと思って。それからはちょっとずつEPの中にもみんなで楽しめるような曲というか、ファンタジーな曲も入れるようにして、それもまたアーティストとしてひとつの道だなと。自分でも歌っていても、作っていても、ちょっと夢の国に行けてるような気持ちにはなるので、こういう曲作るのは楽しいです。

-この"One Touch"のリフレインがいいですね、いいフロウで。

(笑)そうですね。歌うとなると結構難しいとは思うんですけど、成功するととても心地いい響きになる歌詞なので、ぜひみなさんにも歌ってほしいです。私も歌いながら韻を踏む気持ち良さは初めて知ったので、無駄に踏みまくってはいるんですけど(笑)、そのおかげで一貫したリズム感や、音のキャッチーさが曲に詰まっているので、聴いても楽しいと思うんです。歌って初めて"あ、こういうところに種があったんだ"と、種明かしみたいなのが自分でできていくと思うんで、そこらへんを含ませていけるのが作曲の面白いところというか。

-「Ashes」はすごい世界観ですね。すべてが灰になれば世界が再生するのかも? みたいな。

世界のことや宇宙のことまで話は飛んでるけど、結局は愛する人とのすごく狭い世界の話ではあって。アメリカ人のトップライナーのMick CooganとSakai Ryosuke(Ryosuke "Dr.R" Sakai)と3人で作ったんですけど、いつもより攻めてみようということで、普段、歌詞では言わないようなちょっとFワードみたいなものも挿入してみて。そういう今までやってないことをやるのがすごく楽しいですし、聴いているだけだと"あ、Fワード使ったんだ"みたいな感じで思うかもしれないけど、表現のステップのひとつとして大事なところを踏めたかなと思っているんです。今まで使ってこなかったからこそ、ここで私の伝えたいメッセージみたいなところが強調される言葉ではあると思ってて。ほんとに"クソっ!"って思うときって、その言葉しかないから。新しくMickと制作ができたんですが、すごくスピーディだし意見をたくさん言い合える仲間ができたことは嬉しかったです。それに私のイマジネーションをMickが膨らませて、それをまた私が膨らませてって、キャッチボールでどんどん雪だるまみたいにアイディアが大きくなっていくのがすごく楽しくて、刺激的で、また何回でもやりたいなと思えるセッションでした。

-そしてラストに「Grab the air」が中野(雅之/BOOM BOOM SATELLITES)さんのリミックスで入ってますが、オリジナル(『eyes』収録)からすごく変わりましたね。

ほんとに"ここまで変わるリミックス、あるんだ?"みたいな。中野さんの手に掛かるとここまで印象が変わって、すごく驚きました。でも、この歌に込めた思いとか歌詞の隅々まで汲み取って生かしてくれようとしたことが伝わって、聴いてて嬉しかったです。

-miletさんはもともとBOOM BOOM SATELLITESのどういうところが好きなんですか?

もともとどういう人が歌ってるかとか、どこの国の人が歌ってるかもわからなかったんですけど、小学校のときにお兄ちゃんがiPodをお下がりでくれて、その中に入っていたのがBOOM BOOM SATELLITESで。それまで私、ロックとか、ガンガンしたのあんまり聴いてこなかったんですけど、そこですごくかっこいいのに出会ってしまったっていう衝撃を受けて、その当時からKULA SHAKERとかBBS(BOOM BOOM SATELLITES)をすごくたくさん聴くようになったので、もう起源ですね(笑)。

-ルーツなんですね。このリミックスにも中野さんの得意技のドロップとかが入ってますね。

開いた感じのサウンドに神聖な感じの彩りを足してくれていて。季節感まで変えるというか。もともと夏だったのが、このリミックスは冬というか、ちょっと寒空みたいなものまで想像できるような気がしていて。ここまで見える景色が変わるんだなとも思いましたし、そういう意味でもこの「Grab the air」を楽しめるようになったのは嬉しいですし、ライヴで歌っても変わると思うので、それはすごく楽しみです。

-中野さんはmiletさんのメロディや、歌唱の中に突き抜けた何かをきっと感じてるんでしょうね。

いやー......レコーディングで中野さんにお会いできて、すごく嬉しかったので、「Grab the air」のレコーディングのときは、相当やりきったというか、いつもの自分の曲のときのレコーディング以上に出しきったんですよ(笑)。思い切り振り切ったら、中野さん、ニコニコして喜んでくださったので(笑)、ほんとに夢みたいで嬉しかったですし、すごく私の歌い方ひとつひとつを分析してくださる方で、私が今まで考えたことのなかった妖艶さだったりっていうものを、私の声の中から探し出してくれて。自分で聴いていてもわからない声をすごく生かしてくれたと思うので、できあがった歌を聴くと、ちょっと私の考えていた私の声じゃないものが聴こえてくるというのが、すごく新鮮で楽しいです。

-では、最後にこのEPのリリース後に初の有料の配信ライヴ(2020年12月5日に開催する[milet ONLINE LIVE "eyes" 2020])を行われますが、どういう思いで臨まれますか?

今、絶賛企画中なんですけど。配信ライヴだけど、みんなが会場にいるかのように思えるライヴにしたくて、なんならもうみんなの家に行って歌ってるような気持ちになってもらいたくて。ずっと最前列でついてきてもらってるようなイメージですね。6月にアルバム・リリースしてから、ワンマンは一度もやってないので、みなさんの前で歌ったことのない曲、もちろんこの6枚目のEPも含めてですけど、たくさんあるんです。なので、そういった曲もちゃんとこの場で披露させていただきたいなと思っていますし、ライヴに行きたくてチケットも取ってくれて、でも中止になって来れなくなってしまった人たちのためでもあり、このEPから私を知ってくださる方のためでもあり、配信ライヴだし家で見れるからちょっと見てみようという興味本位で見てくださる方のためでもあり、そして私自身も本当にみんなに会いたかったからやらせてもらうライヴなので。ほんとに一対一だと思って聴いてほしいですね。それに配信ライヴなので、家で歌ったり踊ったり好きなようにしながら、みなさんにとって楽しめる、思い出に残るライヴにしたいなと思ってます。