新世紀えぴっくすたぁネ申

Japanese

新世紀えぴっくすたぁネ申

2020年12月号掲載

Member：HIЯO・チッチャ・エンペラー　まぁくん！　あらた　カイリレイ　ツカサ・イェーガー　安室ちゅり　柾木まさき　中込幸輝

Interviewer：杉江由紀

群雄割拠の様相を呈しているカオスなメンドル＝メンズ・アイドル・シーンの中でも、格段に際立った存在として異彩を放ってきた新世紀えぴっくすたぁネ申が、このたび発表したのは『超ウイルスバスターズヒーロー盤』というアルバムだ。SxunやGORI＆SHU（Macaroni&Cheese／ex-BACK-ON）を始めとした気鋭のアーティストたちを作家陣に迎えたうえで制作されたという今作は、いい意味でアイドルらしからぬ気骨に溢れた挑戦的......いや、挑発的な音楽作品になっていると言えるだろう。混迷のウイルスショックをバスターしながら、新世紀えぴっくすたぁネ申の目指す新境地が今ここに拓かれる。

－このたびのアルバム『超ウイルスバスターズヒーロー盤』は新世紀えぴっくすたぁネ申としての作品になりますが、一方で同日には秘密結社ニルヴァージュ∀も『超ウイルスバスターズヴィラン盤』をリリースしております。実際に、両盤は多くの楽曲が重複してもおりますし、なぜこれだけ大胆にしてイレギュラーなかたちでの音源発表をされることになったのか......その経緯をぜひ教えてください。

HIЯO：最初に、僕と、もともと新世紀えぴっくすたぁネ申にいて今は秘密結社ニルヴァージュ∀にいるアヤァ＝オブ＝ザワールドのふたりで話して決めたんですよね。とにかく、今回はごちゃまぜにしよう！って。だから、今みたいな質問をされるのはそれこそ読み通りではあるんです（笑）。"なんで違うグループなのにおんなじようなアルバムを出してるの！？"って、"気になって"もらったらきっとそれがひとつの間口にはなるんじゃないかなと。

ツカサ：まずは受け手の人たちに対して、何かしらの引っ掛かりを作りたかったっていうことだよね。

HIЯO：そうそう。イメージ的なことで言えば秘密結社ニルヴァージュ∀がロック寄りだとすると、新世紀えぴっくすたぁネ申はアイドル寄りで歌はヘタなんですけどね（笑）。でも、ヘタはヘタなりに明るめな雰囲気を醸しだせるのがウチの強みなんで、今回の『超ウイルスバスターズヒーロー盤』でもそこは明確に打ち出せていると思います。

－なお、もともとこのアルバムは今年4月にリリースされるはずだったそうですね。

HIЯO：コロナの影響で延期になって、今ようやく出せるかたちになりました。そして、実は2019年の12月にはすでにアルバムのタイトルは"超ウイルスバスターズ"って決まってたんですよ。

－えっ！驚きです。そんなことってあるのですか！？

HIЯO：アヤァ＝オブ＝ザワールドが決めたタイトルではあるんですけど、ある意味なんか奇跡が起きちゃいました（笑）。

ツカサ：ただ、現実にはまったくウイルスはバスターすることができなかったっていうね（笑）。むしろ、僕らがバスターされる側になったとも言えるからなー。

－いえいえ。バスターされることなく生き抜いてきた結果として、この今があるのではないでしょうか。

ツカサ：とりあえず、やっとアルバムを出せて良かったです。いやもう、ここに至るまでにはいろいろありましたもん。アヤァ＝オブ＝ザワールドがウチから脱けて、新しく中込が入ってきたりとかしてね。

幸輝：僕、2ヶ月前に入ったばっかりなんですよ（※取材は11月中旬）。本来なら2月の段階でアルバムは完成してたはずなんですけど、発売が延期になったことで僕の加入後に録り直したり、新しくレコーディングした曲も入ることになったりしたので、ここ2ヶ月はなかなかカオスな状況ではありました。

－それだけの波乱含みな状況の中でようやく生まれた今作ですから、きっと今作に対してはみなさんの思い入れもそれなりに強いのではないかと思います。せっかくですので、ここからは各メンバーの推し曲についても教えていただけますでしょうか。

ちゅり：僕の推し曲は「推しメンかわいいジェネレーション」です。曲の雰囲気もかわいいし、振付もかわいい感じになっているので、CDを聴いてからライヴに来てもらうとさらに楽しめると思います。これの振付は僕がしました！

幸輝：「フェス絶対盛り上げるマン」はイイ意味でわけわかんない曲だから、これはかなり面白いと思います。

－たしかに、こちらはアレンジ的にも歌詞の面でもネタ満載で有名ダンス・ヴォーカル・グループやロック・バンドの存在を思わせる要素や、ホスト系のコールなどが巧みに織り込まれた情報量過多なつくりとなっていて、聴いていて思わずウケてしまいました（笑）。

幸輝：曲の展開が目まぐるしすぎて、一生覚えらんないくらいヤバいです（苦笑）。いろんなものをオマージュした内容になってます。

ツカサ：このアルバムには前からライヴでやってる曲たちも入ってるし、アルバムを作ることになって初めてできた曲も入ってるんですけど、何しろどの曲も全然タイプが違うんですよ。例えば、「ムカつくオタク7つの掟」とかはちょっと攻撃的な歌詞だったりしてそこがインパクトあるし、「裏切りモノラリズム」では新世紀えぴっくすたぁネ申で初めてあらたとラップをやってるんですね。僕は歌があまり得意じゃないんですけど、"ラップならまだマシかな"ってHIЯOさんに言われました（笑）。今回のアルバムでは新しいことに挑戦できたのが良かったと思うし、ここから先に向けてもラップはまたやっていきたいなと感じてます。というか、ラッパーになりたい！

－ツカサさんのポテンシャルがここで一気に開花したわけですね。

ツカサ：自分の可能性に気づいちゃった、ってやつです☆

幸輝：だっせー（笑）！！

ツカサ：あははは（笑）。いやでも、ほんと「裏切りモノラリズム」は自分にとって良いきっかけになった曲ですね。

－秘密結社ニルヴァージュ∀ではマーク＝ノースヴィレッジとして活躍されている一方、新世紀えぴっくすたぁネ申でも今回のアルバムに参加されているまぁくん！さんにとって、『超ウイルスバスターズヒーロー盤』の推し曲はどちらになりますか。

まぁくん！：ちゅりと被っちゃうけど、「推しメンかわいいジェネレーション」かな。もともと俺はオタクなんで、詞の内容にすごく共感できるというか。おそらく聴く側からしても、これは共感できるところが多い曲になってると思います。ニルヴァージュ（秘密結社ニルヴァージュ∀）のメンバーとしては「裏切りモノラリズム」を推してるんですけど、えぴっく（新世紀えぴっくすたぁネ申）のほうの良さはこの「推しメンかわいいジェネレーション」にすごく出てるなと感じますね。

レイ：僕も「推しメンかわいいジェネレーション」が好きです。やっぱり、僕ももともとオタクだったので気持ちがわかるんですよ。この曲にはMVもあって、それのストーリー性も良いのでそちらもぜひ観てみてください。

ツカサ：そもそも、これを作詞してるアヤァちゃんん（※小鳥遊綾名義）自体がオタクですからね。これは彼のありのままの気持ちを書いたものなんでしょう（笑）。

HIЯO：まさに。アヤァはこう思ってるんやな、って思いながら俺もこの歌詞を見た（笑）。

まさき：推し曲とはまた少し意味が違う気がするんですけど、自分にとって印象深いのは僕の前にいたオレンジ担当の生誕曲としてできた「KAMASaaaaaaay!」で、今のオレンジ担当である自分にとってもこの曲はライヴでメチャメチャ面白くなる瞬間があるんですね。その注目ポイントを、CDを聴いたうえでぜひライヴでも見てほしいです。

あらた：推し曲か......なんだろう。特にこれ、っていうのは別にないんですよ。アルバムの1曲目に入ってる「Re:Re:Re:START」とか、さっきも話に出てた「裏切りモノラリズム」はカッコいいなと思うけど。まぁ、逆に言うと全曲好きだし推せるってことですね。