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INTERVIEW

Japanese

The Biscats

2020年11月号掲載

The Biscats

Member:Misaki(Vo) Kenji(Gt) Suke(W.Ba) Ikuo(Dr)

Interviewer:山口 智男

"きたー! これ! 自分たちがやりたかったのはこれだ!"と思いました


-Kenjiさんは?

Kenji:「MK5(広末涼子「MajiでKoiする5秒前」)」。あれだけ多くの人たちや層に聴いてもらってコメントもらえると嬉しいですよね。

Misaki:反応がすごいもんね。

-再生回数が19万回に届きそうな勢いだそうですね(※取材は2020年10月上旬)。

Suke:嬉しいですよね。

Misaki:もちろん、似合う楽曲、メロディや歌詞の素敵な楽曲から歌わせていただいてますけれど、ウケを狙ってやっているわけではないので、なぜ、あの曲がそんなにたくさんの方に観てもらえているのか正直わからないんです(笑)。

Ikuo:最初に上げたやつだから、正直、クオリティはそのあとの曲に比べるとそれほどなんですけどね(笑)。

Misaki:観ている側とやっている側の感覚は全然違うんだなってことがわかりました。

-さて、今回のEPはTeddyLoidさんの力を借りて、ハイブリッド・ロカビリーの魅力をさらに追求しようというテーマがあるわけですが、TeddyLoidさんと一緒にやろうというのは、どんなきっかけからだったんですか?

Misaki:1年くらい前にTeddy(TeddyLoid)さんが私のTwitterをフォローしてくれたんです。あまりにも突然だったので、びっくりしていたら、直後に私のMVを観たというメッセージもいただいて。実はTeddyさんも、私と同じように小さい頃からロカビリーを聴きながら育ったというお話を聞いて、またびっくりして、それを父(ex-BLACK CATS/MAGIC etc.の久米浩司)に話したら、"そういえば、ライヴにロカビリー・ファッションの子供がよく来ていた"と。それがTeddyさんだったんですけど、そんなふうに全部が繋がって、そこから何回かやりとりさせていただくなかで、こちらから一緒に何かやりませんかってお話させてもらったんです。

-DJとかエレクトロニック・ミュージックの印象しかなかったのですが、ウィキペディアによると、ご両親がTHE ROCKATSのメンバーと親交があったそうですね。

Misaki:これまではロカビリーがルーツにあるってことは出していなかったみたいですね。今回、このコラボをきっかけにそういうルーツも明らかにしてくれたそうです。

-TeddyLoidさんもThe Biscatsとやることに可能性を感じたということですよね。

Misaki:感じてくれたらしいです(笑)。すっごく褒めてくれるんですよ。

-今回の「Teddy Boy feat. TeddyLoid」、「Hot and Cool feat. TeddyLoid」は、どんなふうに作っていったんですか?

Misaki:Teddyさんとどういうふうにコラボしましょうかと話したときに、"こちらから曲をお渡しさせてもらうので、それをTeddyさん流にアレンジしてください。お任せします"とお願いしました。ロカビリーをずっと聴いてきたことを知っていたので、自分たちから何も言わずに全部任せてみたいと思ったんです。

-できあがってきたものを聴いたときは?

Suke:衝撃的やったよな。

Misaki:もう、"きたー! これ!"みたいな(笑)。自分たちでもこれまで、デジタル・サウンドを融合させてハイブリッドってやっていたんですけど、The Biscatsになってもう1年になるから、何か新しいことや、振り切ったことをやりたいとちょうど考えていたところだったんです。だからこそ、TeddyLoidさんにお願いしたわけなんですけど、「Teddy Boy feat. TeddyLoid」を聴いたときはもう衝撃で。"自分たちがやりたかったのはこれだ!"と思いました。ロカビリーとしての大事な部分もしっかり残っているし、自分たちの引き出しにはない音もいっぱい入っているし、改めてTeddyLoidさんの才能にびっくりしましたね。

Suke:ロカビリーと新しいもののバランスが絶妙でしたね。

Misaki:ロカビリーをもともと知っていて、本当に好きじゃないとできないと思うんです。とても貴重な方に見つけていただいて、こうして出会えたんだなと。今、最新のダンス・ミュージックをされているじゃないですか。それでロカビリーがルーツという人は、たぶん他にはいないんですよ。

Ikuo:日本はもちろん、世界にもおらんよな。

-TeddyLoidさんがアレンジしたフィーチャリング・バージョンに加え、2曲共にバンドだけで演奏したバージョンも収録されていますが、2回レコーディングしたんですか?

Kenji:ヴォーカルはそれぞれにレコーディングしています。あと、ギター・ソロもフレーズと音色を変えて、それぞれにレコーディングしました。

-ギター・ソロはソロが入るパートのアレンジが違うから、それぞれにレコーディングしたのもわかるのですが、ヴォーカルはなぜ?

Misaki:フィーチャリング・バージョンはキュートな女の子をイメージしていて、バンド・バージョンは斜に構えた、ちょっと上からみたいな女の人というふうに、それぞれのサウンドの世界観に合わせて、違う表現にしたかったんです。

-なるほど。だから、バンド・バージョンではクールに歌っているわけですね。ところで、バンドの演奏の聴きどころは、どんなところでしょうか?

Suke:バンド・バージョンは僕ら独特のグルーヴを感じてほしいです。バンド・バージョンは"TeddyLoidさんとは違うアプローチで、バンドならではの勢いがあるものを"という気持ちで演奏しました。

Kenji:逆にフィーチャリング・バージョンはTeddyLoidさんの色に染めていただこうとお任せしたので、その違いを聴き比べてほしいです。

Ikuo:エンジニアさんもロカビリー好きだったんですよ。TeddyLoidさんも含め、全員がロカビリーをルーツに持っているからこそ、できあがった作品はすべてにおいて、王道ロカビリーのご作法を押さえながら、新しい世界観にもチャレンジできている。ロカビリー愛に溢れた作品だというポイントを探しながら、聴いてほしいです。

-Nintendo Switch専用ゲーム"キューピット・パラサイト"のエンディング・ソングとして提供した、バラードの「magic hour」は、前述の2曲とは違う繊細なバンドの演奏も聴きどころです。そして、Misakiさんによる作詞ですね。

Misaki:曲名は日没前と日の出後に見られる数十分の時間帯を表す撮影用語なんですけど、そのときの空の色は曖昧で、はっきりと何色とは言えないんです。そんな感じが恋愛をしていく間の、この人を好きなのかな、どうなのかなという気持ちに重なると思ったので、マジックアワーをモチーフにゲームの世界観を表現しながら歌詞を書きました。

-リリース後は、10月25日のリリース・パーティー(青山RiZM で開催の[The Biscats Release Party "ROCK'A BEAT from TOKYO vol.1"])と、11月29日の金沢公演を皮切りに全国9ヶ所を回るツアー([The Biscats TOUR 2020~2021 "Cat's Style"])が予定されています。

Misaki:YouTubeでカバーを発表してきたこともそうなんですけど、前作の『Cat's Style』(2020年3月リリースの1stミニ・アルバム)のツアーが延期になったぶん、自分たちの演奏と向き合った時間がたくさんあったので、リリース・パーティーとツアーではパワーアップした姿をお見せできると思います。まだライヴで披露できていない前作の曲も含め、The Biscatsの世界観を楽しみに来てほしいですね。