Japanese
Sori Sawada
2020年10月号掲載
Interviewer:蜂須賀 ちなみ
-人間関係上の問題が生じた時期が、今回のアルバムの制作にも大きく影響しているとのことでしたが。
去年の6月くらいだったかな。その時期にはもう制作を始めていたんですよ。で、その人間関係のトラブルに向き合っている間に、自分個人の人間性を、見直さなければいけない時期がきて、それによって、いろいろ見えてきたものがありまして。今まで、自分を否定されるような経験をしたことがなかったんですよね。僕って無駄に人当たりが良くって――
-あ、それ自覚あったんですね(笑)。
自覚あります(笑)。しかも、僕の人当たりの良さって、決していいものじゃないんですよね。八方美人と言えばわかりやすいんでしょうか? 基本的に、自分と相手の間に壁を置いているというか。自分の内側に人を入れないっていう付き合い方をしてきたんですよ。愛想はいいんだけど、結局のところ、自分のいい面しか見せてこなかった。だから自分の人間性を否定されたことがなかったんですよ。で、実際否定されてみると、落ち込むよりも先に"あぁ、自分ってそうだったんだな"って気づかされた感覚が強くて。それって歌詞を書くうえですっごく大事なことなんですよ。
-そうですよね。というか、その時点で『昼日中』とは違いますよね。『昼日中』は俯瞰の視点で書いたと当時仰っていたので(※Skream!2019年3月号掲載インタビュー)。
そうですね。『昼日中』は、自分のことは書かない、あくまで"人が何を望むか"で考える、っていう書き方だったんですけど、今回はその逆で。自分のことを書こうと思ったのはその時期の経験があったからですね。せっかく悲しい想いをしたんだから、この感情の落としどころを探そう、と。もちろんSori Sawadaという名義で出す以上、恋愛ものに落とし込まなきゃいけないんですけど――
-自分の中でそういうルールを決めているんですか?
いや、ルールじゃないんですけど、そのほうが僕自身書きやすいんですよね。僕って基本的に友達――自分の内側に入ってくる人のことが大好きな質(たち)なので、親愛/友情の部分で歌詞を書こうとすると、愛しか出てこないんですよ。だけど、僕の語彙だと"幸せ"や"好き"の表現が陳腐になりやすいんですよね。そっち方面の言葉をあまり習得してこなかったので。
-なるほど。それで、前回はフィクションの恋愛ドラマを作り上げる方式だったけど、今回は、恋愛ではない人間関係上の実体験を、恋愛ものに落とし込む方式で曲を作ったと。
そうですね。今回のアルバムの中で最初にできたのが「魚と猫」という曲で。これ、ラフが上がったのが去年の6月で、ヴォーカルも、今回のリリースまでに5回ぐらい歌い直しているんですよ。この曲が(収録曲中)唯一、僕の以前の価値観が表れている曲ですね。
-"すれ違うならぶつかった方がいいだろう。/言わなくてもわかってくれよ。"という部分ですか?
そこです。その期間(人間関係上のトラブルがあった期間)中、相手の人から"私とあなたの関係はフェアじゃない気がする"と言われたんですよ。当時の僕は、その人のことを大事にしていたつもりでも、大事だと伝えてはいなかったし、汲み取ってくれるだろうと思っていた。そういう自分の考えは共有できているものだろうと、勝手に思っていたんです。
-相手の人に甘えてしまったんでしょうね。だけど相手からしたら、Sawadaさんが"伝える"という行為をサボっているように見えるわけで。
僕は"伝える"ということが得意ではなかったから、これまで明確にそれを避けてきたんですよ。だけど、"フェアじゃない気がする"と言われて、根底から覆されて。その戒めもあって、今回「魚と猫」を表題曲にすることにしたんですよね。
-戒めとして表題曲にする、という考え方が興味深いなぁと思って。暗い思い出を見えやすいところに飾っておくことって、苦しいし、恥ずかしいですよね。どうしてわざわざそうすることにしたのでしょう?
そうやって生きていかないといけないなぁと思っているんですよね。だってそれって贅沢じゃないですか。
-どういうことですか?
自分を曝け出す行為って――それが理解されるかどうかは置いておいて、アーティストという立場であるからこそ許されることだと思っているんですよ。例えば、会社の中で自分の本来の部分を曝け出しながら仕事をするのって、すごく難しいことで。自分の甘い部分を出したときに"いや、それもあなたのいいところだよね"と言ってもらえることなんて、まずないじゃないですか。だから"自分を曝け出す"ということは、なかなか、全人類ができることではなくて。せっかく曝け出せる機会を貰っているんだから、ちゃんとそれをやっていきたいっていうのが僕の考え方ですね。だから、今の自分は、弱いところも見せていきたいと思っていて。
-もしかして、昨年以降、自分自身が人前に出ていく活動をするようになったのは、そういう考えがあったからこそですか?
そうですね。それも絶対にあったと思います。
-となると、じゃあどうして『昼日中』を俯瞰の視点で作っちゃったの? っていう話になるんですよ。
あ~......。
-合ってないですよね。Sawadaさんご自身の意思と、実際に作った作品が。曝け出したいと思っていたにもかかわらず、あの作品では曝け出しきれていない。
たしかに。出ていかなきゃと言いつつ、出られていなかった。しかもそのチグハグに、自分でも気づいちゃったんでしょうね。......去年のインタビューで人前に出るのが苦手だっていう話をしたと思うんですけど、僕、自分のことを大っぴらにするのがもともと苦手だったんですよ。そんななかで、自分の性格や持っているものすべてを考えていったときに、声だけは好きだと思うことができて。"あ、歌声は好きだなぁ"っていうのが唯一、"自分は人前に出ていってもいいんだ"っていうところの分水嶺にあるもので。
-だからこそ自分の声で歌うようになったんですよね。それに、『昼日中』ではゲスト・ヴォーカルにsayaさんを招いていたけど、今回はハモリ以外自分で歌っているというのも大きな変化で。
はい。
-だけど、そうかぁ。"唯一"なんですね......。
唯一なんですよ。この声がなかったら、僕は人前に出ることを断念しているかもしれなくて。結構そこがアンバランスなんですよね。以前、信頼しているクリエイターの方に自分の曲を聴いてもらったときに"いや、お前は自分で歌えよ"と言っていただいて。それが"やっぱり僕の声はいいのか"という自信になったんですけど、自分の声で歌い始めると、人前に出ていくことに対する逃げ道がなくなってしまうじゃないですか。だからこそ、吹っ切ることのできなかった自分もいたんです。"出ていかなきゃ"っていう気持ちもあるし、"いや、人前に出ていくのってしんどいぜ?"っていう気持ちもある。......チグハグで、すごく面倒くさい人間なんですよ。
-でも、そういう面倒くさいところも含めて、出していこう/出していかなければ/出せるのがアーティストの特権である、と腹をくくれたのが今であって。今日お話を聞いて、私がどうしてこのアルバムにグッときたのか、わかったような気がします。
ありがとうございます。今作がある意味、自分というものが一番出てきている作品じゃないかなと、僕も思っています。人前に出られるようになるためには、自分に自信を持たないといけないんですけど、自分に自信を持つことは、僕にとってすっごくでっかいハードルで。今まではそれを意図的に避けていたんですけど、それもアーティストの仕事のひとつだと思うので。だから放棄するのではなく、見直そうと思いながら、今生きています。
-途中に"人とコミュニケーションをとるとき、自分と相手の間に壁を立てている自覚がある"という話があったじゃないですか。だけど、このアルバムを聴いて"あ、壁の内側に入れてもらえた!"と感じたんですよね。
あぁ~、それは良かったです。この1年半で、曝け出すことって悪いことじゃないんだなって思ったんですよ。もちろん、すべてが上手くいくとは限らないですよ? 本音を出してしまったことによって、自分の近くにいた人が離れていってしまうことも絶対にあるわけで。だけど、僕の場合は、自分のいい部分だけを見せようとしてきたせいで――"大事に思っている"ということを(相手に)言ってこなかったせいで、伝えるべき部分をちゃんと伝えられなかったので。だから今は、ちゃんと言おう、行動でも示そう、っていう気持ちになっています。友達から"最近会えないね"って言われたら、すぐにでも名古屋に戻って会いに行く。"言葉のいらない関係"みたいなものは頭の中から全部捨てる。人と人って、最終的には他人と他人なので。言わなきゃわからないし、やらなきゃ伝わらないと思うんです。
-ちなみに、今日話していただいた内容は、特典として付属されるアルバムと同名の短編"魚と猫"にも反映されていますか?
そうですね。僕の人生に付き纏ってきた思想と、大事にしたい人から与えてもらった価値観の話です。そちらも含めて、『魚と猫』という作品に触れていただけたらと思います。
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