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INTERVIEW

Japanese

Void_Chords

2020年07月号掲載

Void_Chords

メンバー:高橋 諒

インタビュアー:宮﨑 大樹

誰もが知るような大物アーティストの曲や、アニソン、サントラと幅広い作品を手掛けている作曲家、高橋 諒。アニソン・シーンに衝撃を与えたONE Ⅲ NOTESのプロデューサーとしての顔を持つ彼のアーティスト・プロジェクトこそがVoid_Chordsだ。このたび、同プロジェクトから、国民的な知名度を誇るコンテンツ"ウルトラマン"のTVアニメ化作品である"ULTRAMAN"のエンディング主題歌に起用された「my ID」を表題に据えた作品がリリースされることとなった。Skream!では、本作と共に、高橋 諒のルーツや、プロジェクト Void_Chordsについてメール・インタビューで迫る。


圧倒的なスタイリッシュさとヒロイックでありつつダークでモダン。楽曲の外殻はヴィジュアルから落とし込んで作ったところが大きいですね


-Skream!初登場となりますので、高橋さんのプロフィール的な部分も読者に紹介できればと思います。音楽作家やプロデューサーとして知られている高橋さんですが、バンドのベーシストとして音楽活動をしていたこともありますよね。音楽の世界で生きていこうと決心したのはいつごろでしたか?

初めに好きになった楽器はギターで、ギターの仕事をしたくて上京しようとしたのですが、演奏でもそれ以外でも、音楽の仕事を目指すなら作曲を学んだほうが良いとアドバイスを受け、大学に進学しました。そこで作曲を学んでいるうちに、創るほうにどんどんハマっていき、作家を目指すようになりました。自分のバンドから職業作家にフィールドが変わっていきましたが、当時から作った曲を表現するための演奏やバンド活動として捉えているところがあって、あまり作家に転身したという意識はなかったですね。

-作家として、Mrs. GREEN APPLE、NEWSといったアーティストの曲や、アニソン、サントラと幅広く手掛けていることから、音楽的にジャンルを隔てず、いろんな音楽を聴いていらっしゃったのだろうと想像していますが、高橋さんの音楽の原体験について教えてください。

振り返ってもまとまりのない聴き方をしてたなぁと思います......。原体験、と聞いてパッと思い出すのは、THE VENTURES「Diamond Head」のあのリフを父親に教わったことと、"聖剣伝説2"全BGMをラジカセに(実際プレイしながら)録音して永久に聴いていたことと、『Dancemania』コンピレーションを片っ端から集めて長いライナーノーツを読んでいたことですね。謎ですけど。ミニマル・リフが好きなのは確実に菊田先生(菊田裕樹/※"聖剣伝説2"などの作曲を担当)の影響ですね。

-また、これまでに特に影響を受けたジャンルやアーティストについて聞かせてください。

EL&P(EMERSON, LAKE & PALMER)やMAGMAなどのプログレッシヴ・ロック、Steve Reich、Philip Glassなどのミニマリズムには特に影響を受けました。ダンス・ミュージックもその他の現代音楽もジャズも、影響受けた音楽はほとんどこのふたつからの連なりとして、自分の軸になっている気がします。

-作家業以外にもONE Ⅲ NOTESのプロデューサー、そして今回のプロジェクト Void_Chordsとしても活躍されています。作家以外のこういった活動をスタートしたのは、どういう理由からだったのでしょうか?

作家として多くの素晴らしいアーティスト、歌手の方とお仕事をするのは本当に楽しいし幸せなことです。一方で音楽家として修練を続けていくため、ひいてはポップス表現の拡張に貢献するために、新しい表現の可能性の模索や実験の場を確保することの重要性は日々増していきます。2010年代後半からアニメーションの音楽や、アーティスト様とご一緒させていただける機会が増え、懐の深いアニメーション音楽の可能性を感じていた折に、テーマ曲(OP/ED)と劇伴音楽を一緒に扱うお話をいただき、よりダイレクトに自分自身の音楽的好奇に強くフォーカスしたチャンネルを設けてみてはどうかと思うようになりました。ある意味非常にエゴイスティックな営みなのですが、これを刺激的で興味深いものと捉えてくださった周りの方々の後押しにより、これに名前をつけ、プロジェクトとして扱うことになりました。

-上記と重なる部分もあるかもしれませんが、Void_Chordsとは改めてどんなプロジェクトなのでしょうか?

上にもありますが、フォーカスの違いと思っています。シンガーのカリスマ、思想的背景、文学性、同時代性、様々なものが表現単位の中心核になり得ますが、作曲者の音楽的好奇心をエンジンにしてそこにグッと寄ってみたうえで、そのまま出してしまうという......。工程としては複雑怪奇なものになりますが、質としては非常にエッセンシャルな部分というか、録って出し感はあります。またアニメーションの音楽を軸にしてスタートしたことは、物語の文脈を飲み込むことによって、ジャンル感の横断も妥当性を増すというか、冒険しやすいというところもあります。

-様々な音楽的要素が融合し、ひとつのジャンルに当てはめられないVoid_Chordsの新しい音楽は、多くの音楽ファンに刺激を与えてくれるのではないかと感じました。ある意味で発明のような音楽の制作というのは、意識的に行われているのでしょうか?

そういった立ち上げの性格上、そこが目的の究極でもありますので、そう感じていただけたのならとても嬉しいです。拡張を試みるという意識は常にありますし、普段やってないことを探してみる、という作業が基本とも言えます。自分自身も気づいていない、まだ掘ってないところを探す感覚です。また未知の組み合わせだけでなく、必要に応じてルーツに回帰できるフリーフォームな部分も強みかと思います。

-ダークでクールな曲調が多いことがひとつの特徴にも思えました。Void_Chordsの曲の共通項や、曲を制作するうえでのルールや心掛けていることなどがあれば教えてください。

リズミックな要素を大切にすること、ルーツが見えること、ひとつ意外性を入れること、そして"ベースを最後に入れる"です(笑)。

-TVアニメ"ULTRAMAN"エンディング主題歌「my ID」について、"ウルトラマン"という国民的な知名度を誇るコンテンツのアニメ作品から主題歌のオファーが来たときの気持ちはいかがでしたか?

二度見しました(笑)。歴史あるタイトルの一端に参加させていただけて震えました。同時に"ULTRAMAN"は歴史ある看板を背負いつつも、まったく新しい試みが詰まった作風で、Void_Chordsとして挑戦するのにとてもマッチしているというか、直感的なシンパシーがありました。

-幼少のころにテレビで見た"ウルトラマン"や、"ウルトラマン"の曲のイメージをいい意味で破壊される曲調に驚きました。曲を制作するにあたって、"ULTRAMAN"の制作サイドから曲のイメージなど何かオーダーのようなものはあったのでしょうか?

影絵の演出になるということと、エンディングとしての立ち位置("読後感"を重視するかなど)などは確認させていただき、基本的にはお任せいただきました。

-"ULTRAMAN"のストーリー、ヴィジュアルから受けた印象やインスピレーションなども曲に影響を与えているのかもしれないなと思ったのですが、実際のところはいかがでしょうか?

楽曲のイメージの源泉は、まさにおっしゃる通り作品のストーリー、ヴィジュアルがほとんどすべてです。圧倒的なスタイリッシュさとヒロイックでありつつダークでモダン。楽曲の外殻はヴィジュアルから落とし込んで作ったところが大きいですね。