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INTERVIEW

Japanese

ペンギンラッシュ

2019年06月号掲載

ペンギンラッシュ

Member:望世(Vo/Gt) 真結(Key) 浩太郎(Ba) Nariken(Dr)

Interviewer:TAISHI IWAMI

-「契約」も浩太郎さんが作った曲ですよね?

浩太郎:今作の中では、これだけ歌詞が先にあったんです。すごく好きな言葉の流れだったので僕が曲を作りました。

-望世さんの歌詞の魅力ってなんでしょう?

浩太郎:さらっと追ってると、気になるフレーズが"スパーンッ!"って自分のスウィート・スポットに入ってきて、イメージが広がっていく感じが気持ちいいんです。そこで自分の情景と重なることがあったり、なかったり、なんか恥ずかしいですね(笑)。

-身内のことですもんね(笑)。次に「能動的ニヒリズム」についてですが、ペンギンラッシュらしさとは何か。私はこの曲を中心に掘り下げたいと思ったんです。情報量が多くて変則的な展開を見せる曲で、すごく興味深いんですけど、タイトルから察すると"そこに意味を見いだそうとするな"と言われているようで(笑)。

望世:たしかに(笑)。この曲は結構前からあった曲なんです。真結がデモで持ってきていて、練習こそしてたんですけど、しっくりこなくて放置していました。でも、今作を作るにあたってまたやってみようって。オケだけだと今までやってきたこととは離れすぎてるんじゃないかと不安もありつつ、メロディをつけたらなんとかなるだろうってノリでできました。

真結:ぎりぎりまでメロディがなくて、結局デモの段階でピアノのフレーズとして入れてた音をメロディにしたんです。結果的にすごく個性的になったし、私的にはすごく満足してます。

-デモの段階でメロディのないものが多いんですか?

浩太郎:数を数えるとそっちの方が多いですね。

-メロディは曲の基準として大きな要素ですから、そこから手をつけないからこそ、様々なパターンを無秩序にコラージュしたようで耳馴染みのいい曲ができるんでしょうね。

真結:この曲に関しては、AメロとかBメロとか、セクションを気にせずに作っていったんですけど、変拍子だって感じてもらうよりも、なんとなく感じる若干の違和感がイメージになってくれたらベストかな......。

望世:たぶん変拍子だって、気づかない人は気づかないよね。

-だから、私が最初に言ったように、曲の展開に意味を見いだすなってこと、すなわち"能動的ニヒリズム"なんじゃないかと。

望世:なるほど。面白いですね。

-それがペンギンラッシュの核になってると思うんです。真結さんの変拍子に対する意識を受けて望世さんが狙って付けたタイトルではない。序盤におっしゃっていた、バンドとしての方向性やあり方をわざわざ机の上で話し合うことはなく、すべてはスタジオでのやりとりで感覚を共有していることを象徴する曲。

望世:言いたいことは一貫してるけど、全然違うセクションが組み合わさってる。そんなふうに感じて歌詞を書いていきました。

Nariken:もともとBPMは今より30も遅かったですし。

望世:そうだ。速くして遊んでたんだよね?

真結:"まだいけんじゃない?"とか言って(笑)。

浩太郎:どんどんいい方向に捻くれていった(笑)。

Nariken:メロディもないし、どうせ世に出ることはないだろうと思っていろいろ試した結果だよね。

-どの曲も、伝えたい想いはあれど、奇を衒うとか前衛的にとか、逆に誰もがわかるようにとか、そういう意識では作ってないですよね。

真結:はい、ないですね。

-では、ペンギンラッシュの音楽が大衆的なものになるのかならないのか。そこはどう思いますか?

望世:変わらずわかりやすい曲は世に出てる。でも、私たちには関係ない。今はジャンルとかカテゴリありきで人気が出るような時代じゃないと思うんです。ブラック・ミュージックの要素が入るとシティ・ポップとか、そういうところにわざわざ出向いて勝負しなくてもいい。ちゃんといいものがウケるような流れに変わってきてると感じています。

-それは望ましいことですよね。

望世:具体名を出すのもあれですけど、中村佳穂さんとかそうじゃないですか。変に狙わず、やりたいことを突き詰めていって、それがいいものであれば必ず伝わると信じてやっていきたいです。

真結:やりたいことはいくらでも出てくるので、全部手を抜かずにやりたいと思ってます。