OKOJO

INTERVIEW

Japanese

OKOJO

2019年03月号掲載

OKOJO

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Member：まつした（Vo/Ba）でんでん（Gt/Cho）ヤマト（Dr/Cho）

Interviewer：蜂須賀ちなみ

－でんでんさんはギタリストとして特に苦労した曲はありますか。

でんでん：「遮二無二に恋しない」のギター・ソロですね。これ、もともとなかったんですよ。だけどスタジオで録り終わって"よっしゃ、終わったぜー！"っていうときに"これ弾いてよ"って（まつしたから）言われて。その場で考えて絞り出しましたね。今までそのパターンはなかったので、僕の中では新たな領域に踏み入れたなっていう感じでした。

－そういう注文をしたのは、咄嗟に出てくるものを見たかったからですか？

まつした：そうですね。ちょっといじめてみたかった（笑）。

でんでん：ドSやん。

ヤマト：パワハラの実態や。

まつした：でもこれで出なかったらダメっすよ。それに"絶対出てくるよね"ってエンジニアさんとも言ってて。だからその場で、アドリブでやらせてみようってことになりました。

でんでん：今回は録りながら、さらにアイディアを出すっていうことが結構ありましたね。結果、いいものができたなって思えているので。そういう鮮度も大事なんやね。

まつした：うん。やっぱり考えんでやると鮮度が違うから。でんでんは普段結構作り込んでくるけど、その方がええって。

－今後こういう流れは増えていくかもしれないですね。

でんでん：そうですね。ネタ探ししとこう。

まつした：いや、だからそれ準備やん（笑）。準備したらアカンって。

－（笑）歌詞は全体的に天邪鬼ですよね。忘れたくないけど早く忘れたいとか、傍にいてほしいけどやっぱり早くどこかへ行ってほしいとか、対照的なことを歌ってるように思えます。

まつした：でもみんなそうじゃないですか。

でんでん：言葉ではそう言ってても絶対ちゃうやんっていうことはあるもんな。

－個人的に一番気になったのは「殿堂入り」で。この曲はどういうイメージで書いたんですか？

まつした：「殿堂入り」はアイドルのことを歌った曲なんですけど、アイドルって言ってももっと広い意味で。例えば宗教とかでも教祖はアイドルじゃないですか。

－英単語の"Idol"の原義の方ですよね。"偶像"みたいな。

まつした：そうです。そういう自分の崇拝する人にとってなくてはならないものでありたいけど、現実はそうじゃないしっていう。だけど、そういう現実だとしても、僕の想いは変わりませんよっていう歌です。

－拗れてますよね。

まつした：こうやって掘り下げられると恥ずかしいんですけど、そんな深くは考えてなくて、とりあえず響きを優先してバーッと歌詞を書いて、あとから意味を整えてるだけですよ。

－でも逆に、考えてないからこそ地の部分が出るのでは？

まつした：うーん。そうですね。

－今日初めてお会いしましたけど、まつしたさんはクールというか淡々と喋る人だなと思って。でも歌詞でこれだけ拗れた部分が出てくるのが、ギャップがあって面白いなぁと。

まつした：クール......なんですかね？でもそうやって、自分のパーソナルな部分を出せないとバンドは長続きしないと思うので。

－そうですかね？

まつした：たぶん。嘘を歌ってるようなバンドは長続きしないような印象があります。だから、あえて自分を出していこうと思って歌詞を書いてますね。要は、このアルバムって"エジプトの壁画"なんですよ。

でんでん＆ヤマト：......？

－どういうことですか？

まつした：エジプトの壁画って、もしかしたら昔の人が適当になんの意味もなく書いたものかもしれないじゃないですか。それを現代の人が見つけて"これはこういう意味があるんや"って必死こいて解読して、深読みして。でも実際にどうなのかっていうことは本人たちにしかわからないじゃないですか。

ヤマト：たしかにね。

まつした：だから、もしかしたらめちゃくちゃ伝えたい想いがあって書いたのかもしれないし、適当にわーっと書いたのかもしれないし。そういうアルバムを作りましたっていう感じです。

－聴いた人が何かしら解釈をして、それが合っているかどうかという本当のところはわからないけど、それでいいんだと。

まつした：そうです。そこはどうでもいいんです。もしかしたらこの6曲の中に適当に作った曲もあるかもしれないし、聴いた人が"この曲適当に作ったやろ"って思った曲が、もしかしたら僕らが何時間もかけて本気で取り組んでた曲かもしれない。それは僕らしか知らないです。だからエジプトの壁画です。

－......ここまで曲にまつわる話を聞いてきたつもりだったんですけど、最後の最後にすべてを覆されてしまいました（笑）。

でんでん：はははは（笑）！大丈夫かな、適当に作ったとか思われんで？

まつした：いやでも"かもしれない"だから。

ヤマト：うん。"適当な曲があります"とは言ってないから。

まつした：そうそう。......いや、適当な曲はないで？こうやって俺は"ない"って言うけど、それは実際のところわからへん。それは、それぞれで自由に考えてくださいっていう感じです。