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INTERVIEW

Japanese

ベランパレード

2018年10月号掲載

ベランパレード

Member:歌王子あび(Vo/Gt) Kota Kamimura(Gt/Cho) ゆりえちゃん(Ba/Cho) モッコリ(Dr/Cho)

Interviewer:フジジュン

宮崎在住、持ち前のポップ・センスから生まれる、癖になる楽曲たちが人気を集める4人組ロック・バンド、ベランパレードが2ndミニ・アルバム『スクラップ イン マイ ルーム』を完成させた。全国ツアー、サーキット・イベントを中心に人気を集めてきた彼ら。メンバーが中心となってサウンド・プロデュースを手掛けた2年ぶりの新作は、骨太に強靭になったリズム隊、ソリッドさを追求したギターで、歌王子あびの曲の良さや優しさ、温かみがより際立つ楽曲たちがずらりと揃った7曲を収録している。前作からグッと成長した歌とサウンドに、メンバーも強い手応えを感じている最新作について話を訊いた。

-前作『omoide fight club』(2016年リリースの1stミニ・アルバム)から2年。最新ミニ・アルバム『スクラップ イン マイ ルーム』を完成させましたね。

あび:今回はメンバー・プロデュースで作り上げた作品だったんですけど、2年前のKota君加入以降の曲がアルバムに入っていて、ぶつかりまくってひとつになってるので、4人の塊感がすごい出てると思います。

Kota:僕は前作が出る前にバンドに入っていたんですけど、前作は前のギターが作ったフレーズをなぞって、自分のアレンジを足していくという作業だったんです。今回は僕も作曲に携わったり、これまでの"キラキラした多幸感のあるポップ・バンド"みたいな方向性をバサッと変えて、"サウンドはもっとソリッドにいこう"って話し合ったりしたので、今までとは違うベランパレードが出せてるんじゃないかな? と思います。

あび:そう、キラキラよりギラギラさせようというか(笑)。新しくできていく曲がソリッドになっていくにつれて、僕の性格もソリッドになっていったんです。今までは気を使って、メンバーに言えなかったことも言えるようになったりして。

-へぇ。では、あびさんやバンドの中で、この2年の間には革命が起きてたんですね。

あび:そうですね。静かなる革命です(笑)。

-モッコリさんとゆりえさんはこの2年での変化で感じることはありますか?

モッコリ:僕は前まで手数がすごい多かったんですけど、ぶつかり合うなかで、"もっと骨太なビートをくれや!"と言われて、骨太って今まで意識したことなかったんですけど、意識することですごいマッチョになっていったのが変化ですね。

ゆりえ:バンドや曲自体も前作はお利口さんな印象があったけど、逞しくマッチョになった印象があります。あびも実際2年前と比べてたくましくなったし。自分の意見を通すだけじゃなくて人の話を聞けるようになって、意固地さを別のところで使えるようになったよね?

あび:それはあるかも。あと前作は僕が曲を持ってきて、メンバーの感覚で曲にしてたんですね。それを尊重したいと思ってたので、"違うんだけどな"と思いながらもそのまま詰め込んだりしたんですが、今作に関しては"ギラギラさせたい"というはっきりした意志があったんで、フレーズの裏づけまで掘り下げるようになって。曲作りがすごく明快になったし、すごい張り合いも出ました。自信を持って出せる楽曲たちになったんです。

-完成した作品を改めて聴いて、感想はいかがですか?

あび:これまでは、例えば"人が嫌な気持ちになることは歌わない"と思ってたんですけど、本当に書きたいことがあるなら、誤解を受けてもいいから深いところまで書くとか、NGとしてたことを解禁したんです。そしたら、優しいことを歌いたかった前作よりも優しい印象になって。怒りや悲しみの感情が増えたことで、優しさが見えてきたんです。

-曲を聴いて、歌や歌詞から優しい人柄がすごく滲み出てるなと思って。怒りや悲しみがあることで、優しさもより際立ったかもしれないですね。あと、歌を聴いてて思ったのは、歌詞に嘘がないし、見たもの感じたことを歌っているから、なんでもない景色や日常もキラキラ見えるし、感じる隙や考える隙を与えてくれるんですよね。

あび:みんながいいと思うこと、価値があることよりも、人によってはまったく価値がないものでも、誰かにとってはすごく大事だったりするじゃないですか? そういう感覚を忘れたくないなと思って、歌詞を書いています。

-あと、話しながらわかったんだけど、サウンドをソリッドにしたことで、逆にあびさんから滲み出るキラキラやポップさも際立ってるのかもしれないですね。

Kota:まさにそのとおりだと思います。どんなにソリッドにしても、あびの書く曲には人柄が出るので、優しい部分や温かみがより際立つものになると思ってて。力を込めて8ビートを刻むことで、グッときちゃう曲になるんですよね。

あび:不自然でいいんです。のほほんとした曲をのほほんとしたサウンドで歌ってても、何も面白くなくて。歪なものこそドキッとするし、旨味があると思うので。

-キャッチーだけどどこか歪で、ドキッとさせる歌詞があって。まさに今話してることを、表題曲「スクラップ イン マイ ルーム」では表現できていますよね。

あび:そうですね。アルバムを象徴する曲であり、今のベランパレードの心意気みたいなものを表した曲になっていると思います。この曲ができたとき、サウンドやアレンジ、歌詞で伝えたいことや角度から、バンドの未来が見えたというか。方向性が定まった気がしたので、表題曲にした感じでしたね。