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INTERVIEW

Japanese

Vaiwatt

2017年11月号掲載

Vaiwatt

Member:ぴえろ拳(Vo/Rizm) TAMA(Ba/Vo) S タクロー(Gt/Shout)

Interviewer:秦 理絵

-そんなVaiwattが初めて全国流通でリリースする『BEST』ですけども。過去の集大成でもありつつ、新曲として「Babel Babel」が収録された1枚ですね。

ぴえろ拳:ちゃんと全国で買える形で出すのは初なので、ほとんどの人にとっては全部新曲だと思います。

S タクロー:今まで拳太郎さんがやっていたことを、一度ちゃんと世に出したいっていうのはあったんですよね。僕たちがお客さんのときに彼らがプレイしていたことを、そのままやりたい。2016年までの音源に関しては、そこを忠実に演奏してるんです。

-収録曲のなかでは「チェコりんご」が古い曲ですよね。"チェコりんご"ってなんですか?

S タクロー:なんですかね......爆発ですかね。

ぴえろ拳:これは2013年に作った曲なので、さっきの"napaJ興行"でやっていた楽しく義援金活動みたいなところにも繋がるんですよ。4年前ごろは日本がバラバラになってしまうイメージがあったので、それを具体的に出さずに、ただ"バラバラになるー!"っていうメッセージだけを出してる歌だと思うんですよね。それも、すごく楽しく。

-YouTubeに上がっている「チェコりんご」のMVでは、このあとに「イエローゴブリンズ」も続けて出てきますけど、これは何か意図があったんですか?

TAMA:これは単純に聴いてほしかったんですよね。渋谷のガビガビっていうところで、水曜日に集まる"水曜会"っていうのをやってて、そのときの歌なんですよ。

-パーティみたいな感じで?

ぴえろ拳:そうですね。この曲は外国の人に人気があるんですよね。あと(拳太郎さんは)"ポンキッキーズ"を思い浮かべながら書いたって言ってました。

TAMA:おもちゃ箱って言ってたね。

-「風芽-FUUGA-」はサイケデリックな感じもありつつ、あたたかい曲だなと。

ぴえろ拳:鐘の音が鳴って、ライ麦畑があって、きれいな女の人がいて、現実逃避をしてるようなイメージですね。たまたま新潟の魚沼に行く機会があって、ライ麦畑も見たことがないし、教会の鐘の音も聴いたことがないんですけど、田園風景を見てたら、それが自分の中でシンクロして出てきたんです、本当に。山があって、水があって、それが街に流れて......そこから全然話がぶっ飛ぶんですけど、高度成長期になって、団地があって、おばあちゃんがいて、ふるさとはなくなったりあったりして、そういう時間の流れみたいなのを感じながら、それが結局わけわからない感じで混ざり合ったイメージで作ってます。

-描きたかったのは、ふるさとの懐かしさみたいなもの?

ぴえろ拳:それと同時に、失ったものとかまで表現できたらと思いました。

TAMA:私は一番好きな曲かもしれないです。優しい曲ですよね。音のミックスも柔らかくて、白い光みたいなのが見える曲というか。

ぴえろ拳:でも、この曲をライヴでやると、なぜかみんながめちゃくちゃ暴れるんですよ。そこはVaiwattにしかないことなんじゃないかなと思います。意味がわからないですもん。それこそこっちは白い光を感じながら歌ってるのに、ふと気づいたら、めちゃくちゃみんな暴れてて。笑ってる人もいるし。ちょっと意味がわからないですね、そこは。

TAMA:ダイブとかね。

-それも上等なんじゃないですか? "みんなこの曲は静かに聴いてよ"っていうバンドでもないというか。自由に楽しんでくれればいい。

ぴえろ拳:そのとおりですね。本当はむちゃくちゃ真面目な歌なんですけどね。俺なんか半泣きぐらいで歌ってるけど。"ま、いっか"って。これがいいのかな、うちらは。

-1曲目の「Babel Babel」だけが新曲ですけど、すごくポップですね。

ぴえろ拳:自分たちではグランジっぽくしすぎちゃったかなと思ったんですけど。これは7ヶ国語で歌ってるんですよ。あの......バベルなので。

-あぁ、バベルの塔を壊して言語をバラバラにしたっていう神話ですね。

ぴえろ拳:それにもかけて。いろいろな言葉で"つまらない"って言ってるんです。今はスマホで翻訳とかもあるじゃないですか。だから、"バべルの塔"は完成してて、本当はもっと世界は面白いはずなんですよ。だけど、そうならない部分もある。だから、めちゃめちゃ楽しく"つまらない"って言ってるんですよね、この曲では。

-「Babel Babel」って、Vaiwattが持ってるアンダーグラウンドな空気感とオーバーグラウンドのわかりやすさの中間ギリギリをうまく狙えた曲だと思うんですよ。Vaiwattが突き詰めていくものって、そういうところなのかなと思いましたが。

TAMA:アンダーグラウンドな感じは自然と出ちゃうんですよね。

ぴえろ拳:そうだね。「Babel Babel」のミュージック・ビデオとかも、わざと学生のノリを狙ってるんです。そういうのを見たバブル世代の方とかには"お前ら、痛いぞ"って言われるんですけど、そのわりにはめちゃくちゃ見てくれてるんですよ(笑)。僕らはバンド・ブームを知らないし、その時代がリアルタイムじゃなくて悔しいんですけど、でも今の時代はさっきも言ったような"イカ天"みたいな時代がまた来てるっていうところもあるから。そういうものの一部に、この音楽で、僕らもなりたいと思ってるんです。