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INTERVIEW

Japanese

Vaiwatt

2017年11月号掲載

Vaiwatt

Member:ぴえろ拳(Vo/Rizm) TAMA(Ba/Vo) S タクロー(Gt/Shout)

Interviewer:秦 理絵

-Deshabillzというのは?

ぴえろ拳:90年代に活動していたマニアックなヴィジュアル系バンドなんですよ。ドロドロした音楽なんですけど、僕、ジャケ買いをしちゃって。最後にSHAZNAと一緒にスプリット盤を出して、SHAZNAだけ売れたっていう。カルト的な人気があって、今もブラジルとかではこのバンドのTシャツが売ってるんです。それをWARRANTっていうすごくポップなバンドと掛け合わせた感じですね。

TAMA:WARRANTはすごく間口が広い音楽なんです。

-で、思想はU2とKurt Cobain?

ぴえろ拳:これは僕もよくわからないんですけど(笑)。「チェコりんご」(2013年リリースの1stアルバム『チェコりんごs』収録曲)っていう曲を、ある有名なパンク・バンドの人に聴いてもらう機会があって、そしたら"君はパンク界のU2になりなさい"って言われたんです。それが今でも僕は理解できないんですけど、その言葉がずっと頭に残っていて、じゃあ、そう思おうっていう感じですね。

-どういう意味なんですかね? U2は環境とか人権的な活動もしてますけど。

ぴえろ拳:わからないですね。でも、結構真剣に言っていただいたので、それは、ずっと探しているところです。

-他のメンバーはこの方向性に関してはどう捉えてますか?

TAMA:理解は不能なんですけど、それぞれに近い部分があると思うんですね。

ぴえろ拳:よくみんなで話すのが2000年代初頭ぐらいからすごくフェスが流行って、それ自体がジャンルみたいになってるじゃないですか。シーンが"イカ天"(※1989年~1990年に放送されていたバンドのオーディション番組"三宅裕司のいかすバンド天国")みたいに感じるんですよね。リアルタイムで"イカ天"を知ってるわけじゃないんですけど。

-ジャンルがごった煮になっているような感覚ですか?

ぴえろ拳:もうジャンルとかじゃなくなってるんだと思います。個々のバンド自体にすごく個性があって。いろいろなバンドが集まってシーンを作ってるみたいな。

-Vaiwattもまたそういうジャンルレスな存在ですよね。

ぴえろ拳:そうだと思います。(※Skream!9月号を見て)魔法少女になり隊とかもすごく気になりましたもん。このバンドも今の時代だから当たり前に見えるけど、ひと昔前だったらクエスチョンだったと思うんですよ。イロモノとか異端として見られたと思うんですね。でも今はすごくわかりやすいじゃないですか。僕らもこういうふうになりたいんです。

-ちなみにバンドのテーマとして"精神POP"を掲げていますけど、これはどういう意味なんですか?

ぴえろ拳:僕たちは、初めて見た人には"怖い"だとか"もっとパンクかと思った"とか"アングラかと思った"って言われることもあるんですけど、精神的に弱っていたり、元気のない人だったり、"疲れたなぁ"っていう人を笑顔にできる音楽をやりたいと思ってるんですよ。たまに普通のサラリーマンの人がパッとライヴを観て気に入ってくれたりするんですけど、そういう自分たちがやりたい音楽を感じとってくれた人が好きになってくれるんです。

-普通のポップと"精神POP"とは違うものなんですか?

ぴえろ拳:精神がついてますからね。ギリギリのところにいる人たちのためのポップでありたいというか。そういう気持ちではありますね。

-なるほど。ライヴ活動としては、"napaJ興行"っていう自主企画を積極的にやっていたようですが、これはどういうイベントだったんですか?

ぴえろ拳:日本に元気を取り戻そうみたいなライヴですね。

TAMA:震災後に始めたイベントだったんですよ。

ぴえろ拳:その時期、日本は暗かったので。震災後にNPO法人の人の話を聞く機会があったんです。(過去の例では)震災から3年から8年後くらいは募金額がガクンと落ちる時期だったんですよね。8年目からは10年目までは、またテレビで特集をしたりして復活したんですけど。だから、その募金額が落ちる期間に少しでも被災者の力になれるように、売り上げを全部寄付してたんです。3年ぐらいやったんですけど、募金総額も32万円までなんとかいって。アメリカからも送ってきてくれる人がいたりして、こんなにみんなに協力してもらえると思わなかったよね。

TAMA:1,000円札が募金箱にたくさん入ってたりして、びっくりしました。ロックな人たちは見た目が怖くても、みんないい人だなと思いましたね。

-音楽で社会貢献をしたい、という気持ちなんですか?

ぴえろ拳:いや、そんな偉そうなものじゃないんですよ。僕たちも常に社会と関わってるんだよっていうのを持ちたいんでしょうね。それだけのことだと思います。