Japanese
FUZZKLAXON
Member:福永 啓太(Vo/Gt)
Interviewer:山口 智男
-音の幅が広がったとおっしゃったように、これまでのガレージ・ロック・サウンドに90~00年代のオルタナティヴ・ロックの要素が加わりましたね?
今作の制作前から次回のアルバムはガレージ・ロックに別の要素を加えたアルバムにしたいと思っていて、試行錯誤しながらいろいろとデモを録っているなかで、適当に"スーパーオルタナティブ"っていう仮題を付けた曲があったんですが、それがそのままアルバム・タイトルとして使えるんじゃないか? と思ってからオルタナの要素を加える発想が出てきました。"ガレージ・ロック+オルタナ"というコンセプトで制作した結果、やっていいことの幅が広がって、より自由に素の状態で曲が作れたと思います。前作では、ガレージ・ロック・バンドだから硬派で強気な感じでいこうという"構え"みたいなのがどうしてもあったんですが、バンドとしての素を確認できたのは大きいですね。
-「ROCK'n'ROLL MIND」のようなダイナミックな演奏を聴かせる曲もあれば、「夜に生きる」のように繊細な歌を聴かせる曲もあるのですが、曲を作るときはどんなふうに? あらかじめ、こういう曲とテーマを決めて作るんでしょうか、それとも福永さんの中から出てきたものがたまたまそういう曲になるのでしょうか?
僕がまず曲を持ってきて、3人で編曲をしています。テーマを決めて作曲する――というよりは、とにかく大量に曲の種であったり、デモを作ってあって、採用されたものを元に最終的なテーマを決めるような感じです。今回のアルバムでは「ROCK'n'ROLL MIND」と「夜に生きる」が一番初めにできあがっていて、その2曲の間を補完するような形で他の曲も作っていきました。
-今回、聴きどころとしてオススメと言える曲を、その曲のどんなところに注目してほしいかも含め、教えてください。
「KILLING YOUTH」と、「未来のスーサイド」です。単純に良い音で録れたのと、アルバム・タイトル"Super Alternative"の名に恥じない、オルタナティヴなニュアンスを表現できたと思います。「未来のスーサイド」では、ギターのチューニングを少し変えて弾いていて、独特な響きになっていますのでそこにも注目して聴いてみてください。
-ギターの歪んだ音色もこのバンドの特徴だと思うのですが、曲ごとに様々な歪みを使い分けていますね。ギターの音色にはどんなこだわりが? その意味で聴きどころと言える曲は?
今回は制作の都合上、ギターの音は僕が持っているIMPACT 60というアンプですべて録りました。アンプが変更できないぶん、ギターやエフェクターを変えて音にバリエーションを出しています。前作はガレージ・ロックとして作っただけあって、ストレートな勢いあるギターの音ですが、今回はギターを複数重ねて、聴きやすく柔らかい音像を目指して録りました。「ライブハウス」のアウトロのソロは演奏の熱量をそのまま伝えているように思います。
-日々の暮らしの中で感じる様々な心の動きを、象徴的な言葉の使い方で歌詞にしていますが、歌詞を書くときはどんなことを意識していますか?
言葉を飾りすぎないようにしています。あと、今回は明るい曲ほど歌詞の内容を重くしています。「RAIN NIGHT」なんかはかなり明るいというかポップな曲ですが、歌詞はストーカーの男が雨の夜に部屋に入り込む......という内容です。
-「僕らの生活」は具体的な描写が生々しいところが異色と言えると思うのですが、この曲に込めた思いはどんなことだったのでしょうか?
「僕らの生活」は、アルバム制作において最後に完成した曲で、歌詞もアルバムの収録期間中に書きました。この時期はいろいろ生活が苦しくて、バンドの活動も制限があるような状態だったので、その状況を題材にしています。歌詞が耳に入ってきやすい曲調なので、あえてこの曲のみ少し具体的に歌詞を書きましたが、この曲だけに限らず、「ライブハウス」や「未来のスーサイド」など、アルバム1枚通してそういう苦しさを匂わせる構成にしています。
-今回のミニ・アルバムを、どんなふうに聴いてもらえたら嬉しいですか?
まずは何も考えずにひととおり聴いてみてから歌詞を意識して聴いていただけると、違う印象を楽しめると思います。あと、シンプルで耳に残るリフを多く作ったので、ギターを持っている人は弾きながら聴いてくれると嬉しいですね。
-リリース後は、どんな活動をしていこうと考えているのでしょうか?
次の音源制作に向けての準備をしようと思っています。前作『BLUE YOUTH SUICIDE FANCLUB』から今作『Super Alternative』は制作までに間が空いてしまい、本来予定していたリリースより遅れてしまったので、その反省を生かして早めに次回作に取り掛かりたいです。他には、県外のライヴにも誘っていただけることが多くなったので、まだ行ったことのない関東地方でもライヴできるような態勢を整えたいと考えています。
-最後に読者にメッセージをお願いします。
今作『Super Alternative』は、リフ主体のガレージ・ロックにオルタナティヴ・ロックの音色をプラスしたミニ・アルバムになっていますが、曲調とは裏腹に歌詞は"生きること、物事を続けていくことへのつらさ"を書いています。この歌詞の内容は現代のちょうど僕たちのような20代の人が感じる漠然とした不安に向けているので、そういう人たちの心に少しでも刺さってくれたら、他に言うことはありません。今後もライヴ、音源制作ともに自分たちのペースでやっていくのであたたかい目で見てくださいね。
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