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INTERVIEW

Overseas

RA RA RIOT

2016年02月号掲載

RA RA RIOT

Member:Wes Miles(Vo/Key)

-歌詞については、前作ではWilliam Gibson(※小説家)の作品など、先ほどあなたが触れた通り、かなり具体的なインスピレーションに基づいていたわけですが、今回はパーソナルで実体験に根差した歌詞に立ち返ったと解釈してよいのでしょうか?

そうだね。さっきも言った通り、このアルバムはより幅広い内容にしたかった。曲のテーマも然りで、それと同時に"年を取ること"というのも主要なテーマなんだ。31歳にしてそんなことを言って、笑われるかもしれないけど(笑)、とにかく今までとはどこか気分が違うんだ。1年過ぎるたびに何かが変わっていって、バンドとしても10年の節目を迎えた。それってすごく怖いことでもあるし、その一方で、自信も与えられる。なぜって、僕らは10年が経った今もこうして活動を続けていて、音楽を作り続けていて、こうして日本にいる君とインタビューを楽しんでいるわけだからね(笑)。そういう意味では本当にエキサイティングなことだ。そんなわけで、このアルバムにはパーソナルな想いがたっぷり込められている。それから、僕とRostamはストーリーを綴るというか、ストーリーを伝える曲を作るのが好きだから、そういう曲も含まれているし、本当に幅広い題材を扱っているんだ。前作のようなコンセプト性は希薄だけど、これまでに触れたことがない深いテーマにも向き合っているしね。例えばセックスに関する曲。僕は基本的に多くの曲で孤独感について綴ってきたんだけど、他の題材についても書ける自信を得た気がする。セックスのことも照れすぎずに書けたような気がして(笑)、すごく解放されたよ!

-本編ラストのTrack.10「Suckers」は非常に興味深い曲です。トーンはかつてなく挑戦的で、ミュージシャンとしての決意宣言のような内容ですが、どういう経緯で誕生したんですか?

これはどちらかっていうと、自分自身を奮い立たせるために書いた曲なんだ。なぜって普段の生活の中で、朝、目を覚ましたときに、こういう気分とはまさに対極の状態にあることも珍しくないからね(笑)。だから、こういう気分でありたいというゴールを描いているのさ。仮説として、こういう気分にもなり得るってこと。もし1日の始まり方を自分で選べるのだとしたら、こういう気分を抱いて目を覚ましたいと歌っているんだ。"可能な限りたくさんのことに挑みたい!"と。同時に僕は、歌うことの喜びを再発見した。そのことを書いてもいる。歌うことこそ僕の天職であり、それって素晴らしいことなんだなとね。そんなわけで、この曲は書き終えるまでにすごく時間がかかったんだけど、サビの部分はわりとスピーディに固まった。ほら、ふとアイディアが思い浮かんで、その時点で曲の性質がはっきり見えていることってあるよね。ちょうど自転車に乗っていたときに思いついたんだ。全編じゃないけどね。それはバンドとして、みんなで仕上げたんだけど、歌詞は、あの瞬間に僕の中から流れ出てきた言葉をそのまま歌っている。夏で、天気もよくて、僕はいい気分で、すごくポジティヴなスタンスで......そういう気分って、落ち込んでいる日のために、ボトルに詰め込んでとっておきたいものだろう? それがこの曲なんだ。

-では、"Need Your Light"というアルバムのタイトルに込めた想いを教えてください。

まず曲の方が、つまり「I Need Your Light」(Track.4)が先に誕生したんだ。この曲で歌っていることもアルバムの気分を象徴していて、この曲は愛することと、人生に目的を抱くことを歌っているんだけど、それがアルバム全体に流れているテーマなんだと思う。僕らはみんなそれぞれに、日々こういったことと向き合っているよね。もちろんパーフェクトなストーリーではないんだけど、まさにみんなが人生に望んでいることなんだと思う。何らかの目的意識を抱くことと、他の人と絆を築くことを。だから、そういう想いをタイトルに込めたんだ。

-そういえば、今作にはKenny Bernardが正式にドラマーとしてクレジットされていますね。何度かメンバー・チェンジして、ようやく理想的なラインナップに落ち着いたと感じていますか?

ああ。Kennyは『Beta Love』のレコーディングにこそ関わっていないけど、その後のツアーでは全日程で叩いているし、一緒に体験を分かち合ってきた。ライヴのためにアルバム収録曲をアレンジする段階から、参加していたんだ。だからすでに事実上のメンバーだったんだよ。もはや本人も自分が"助っ人"のようには感じてはいないだろうし、間違いなくRA RA RIOTのドラマーであり、そんなふうに自分たちのチームの一員として、誰かに全幅の信頼を置けるっていうのは嬉しいものだね。それに、ツアー中はすごく和気あいあいと過ごすことができた。今のバンドは順調そのものだよ。お互いに面倒な部分を抱えてはいるんだけど、それをみんな心得ていて、そこには触れないように気を使ったり、そこをうまく処理する方法を見出したのさ。だから今のラインナップはいい感じだよ。本当に恵まれていると思う。

-ちなみに、RostamとやっているユニットのDISCOVERYは今も続いているんですか?

それはいい質問だね! 答えは僕にもわからないよ(笑)。様子を見るしかないな。僕とRostamはチームとして素晴らしく相性がいい。っていうか、彼は他にも大勢のミュージシャンたちといいケミストリーを持てるんだと思うけど、彼とコラボするのが大好きだし、他の誰にも引き出せないものを、僕の中から引き出してくれるんだよね。だから今後もコラボを続けられたらと願っているよ。まだ僕らふたりはいろんなことができるポテンシャルを秘めていると思う。Rostamもきっとそう感じているはず。とにかく様子を見るしかないね。そもそもお互いにすごく忙しいから、今回2曲を一緒に作ることができたなんて、タイミングが奇跡的によかったとしか言いようがない。何しろDISCOVERYの『LP』は、着手してから完成に至るまでに5年をかけた。つまり、アルバムを聴けるとしたら、まだかなり先の話だろうね(笑)。

-そのRostamが参加したCarly Rae Jepsenの最新アルバム『Emotion』から「Run Away With Me」を最近ライヴでカバーしていますね。

そうなんだ。僕のお気に入りの曲のひとつで、大好きなんだよ。実は、Rostamが参加していることを知るまで、彼女の音楽にそんなに興味を持っていなかった。それで、RostamとCarlyの共作曲「Warm Blood」も好きだから、当初カバーを試みたんだ。でも今ひとつしっくりこなくて(笑)、「Run Away With Me」の方が僕らは合っていた。歌っていて楽しいよ。女性シンガーの曲を歌うのが好きなんだ。理由ははっきりしないんだけど、よりハードルが高いせいかな。あるいは、男性とは異なる視点を持っているところに面白さがあるのかもしれないし、とにかくこの曲を演奏するのは楽しいね。

-では最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

いつも応援をありがとう! 新しいアルバムをリリースできることにすごく興奮していて、できるだけ早く日本に行けたらと願っているよ。だからライヴ会場で会おうね。まだいつ行けるのかわからないんだけど、どうやら話はあるみたいなんだ。何も具体的なことは言えなくて、待ってもらうしかないけどね。1公演だけとかじゃなくて、ちゃんとしたツアーだったらいいなと思っている。僕は本当に日本が大好きで、恋しくてたまらないから(笑)。