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INTERVIEW

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BROKEN SOCIAL SCENE

 

BROKEN SOCIAL SCENE

Member:Brendan Canning(Ba&Vo)

Interviewer:伊藤 洋輔


-前作はトータル140曲くらい録ったとあなたは発言していましたが――。

あー、それはどうだろう、かなり多く見積もってるね(笑)。

-(笑)今作はどのくらいのストックから14曲に絞ったのでしょうか?

曲の数はどんどん増えていく一方で、どのくらいなのかわからないな。僕達はとにかくたくさんレコーディングしたから、もう1枚アルバムを作れるだけのものは確実にあるからね。今回すでに10曲入りのEP(日本盤ではエンハンズドCDとして収録)も作ったわけだけど……だからとにかくいくつもの曲のアイデアがあって、すごく短いものもあれば、もっと長いものもあって、大きく変貌するものもあるし、もっと時間をかけていくべきものもある。そうやって、完成に近いものから、まだできてないもの、完全にできあがっているものまで、様々な形の音楽が手元にあるんだ。多すぎていくつあるのか数えられないくらいだよ。

-では、今作の制作過程で、最も突飛なアイデアを持ち込んできたのは誰でしょうか?「おいおい!そりゃないだろ!」というような、ユニークなエピソードでもありましたら教えてください。

そうだな……今回僕は「Art House Director」でヴォーカルをやったんだけど、それは1ヶ月半続く議論を巻き起こしたんだ(笑)。みんなそれぞれ意見があって……そうだ、結構大きな議論を呼んだのは、Justin (・Peroff)がヴォーカルをした「Highway Slipper Jam」で、あれはかなりとんでもなかったからね(笑)。でも聴いていくうちに、あまりにも……無視するにはいいものすぎたっていうか、うん、とにかく黙殺できなくなって。でもその理由があまりにもとんでもないものだからっていうはどうなんだろう(笑)。だからいくつか突飛なアイデアはあったけど、そういうものこそ残るっていうこともあるんだよね。

-あなたの今作に携わるアイデアは、どのようなものがインスピレーション源となったのでしょうか?

すべてのインスピレーションはとにかく、常に起こり続けているもので、僕は個人的に一度スタジオに入ってしまうと、それは……クリエイティヴィティのための場所だから……いったんそのモードになってしまえば、レコード・ストアに行ったりするときでも、店内で偶然聞こえてくるものでも、スタジオに行く前に聴いてる音楽からでも、自転車に乗っていたり、コーヒーを買いに行ってる時とか、とにかくどんなことをしているときでも、人生のあらゆるものからインスピレーションを受けてしまうものなんだよ。それと、シカゴのスタジオにいたことは、やっぱり僕達にとって大きなインスピレーションになったと思うけどね。

-それでは楽曲について伺います。ちょっと邪推かもしれませんが、アルバム1曲目に強烈なネーミングが目を引く「World Sick」を選んだのは、何か“宣言”のような意味が込められているのでしょうか?

それはどう受け取るかによるものだと思うけど、ある意味、大勢の人がそう感じていることだと思う。たとえば朝起きて新聞に目を通すと、どこもかしこも死があふれていて……自分にできることは何もないっていう、どうすることもできない無力感に襲われる。その無力感に負けてしまうか、それとも何か行動を起こすのか……。だからさっき話したことに戻るけど、何か行動を起こして問題の解決に手を貸そうとするのか、それとも無関心になって問題の一部でい続けるのか、お前はどっちなんだ?ってことだよ。

-うんうん。次にエレクトロを基調としたダンサブルな「All To All」や「Sentimental X’s」はこれまでにない新たな発見を感じましたが、これらの曲が生まれた背景を教えてください。

曲がどうやって生まれたのかはよくわからなくて、答えるのが難しいというか、というのも、アイデアが出てくるときは、ただそうなるもので、大きな会議室にこもって全員で話し合ったりするわけでもなく、「よし、このダンス・トラックをやらなくちゃいけない」とか、そういう話し合いから生まれるものじゃないから。とにかくアイデアが浮かぶだけで、それを説明する方法はないと思う。アイデアが出てくるときには、「こういう理由でこうしました」っていうのがないわけで、それは必要以上に音楽を合理的に説明してしまうことになるからね。とにかく、その2曲の仕上がりにはすごく満足してるよ!

-では、今作で最もキャッチーかつストレートなロック・ナンバーは「Forced to Love」ですが、この曲は誰のアイデアですか?

この曲はAndrew(・Whiteman)が持ってきたギター・リフから始まって、そこからどんどん発展していったんだ。Kevinが“forced to love”っていう歌詞を思いついて、そこにそれぞれが自分のアイデアを加えていった感じで。でも僕達みたいなバンドにとっては、確かにこの曲はストレートだよね。

-「Meet Me in the Basement」の壮大なインスト・ジャムを聴いていると、BSSの根幹にある“音楽を奏でる純粋な楽しさ”が伝わってきます。どんなに時が経とうと、このメンバーが集まれば素晴らしいケミストリーが起こると、このジャムから感じることができたのでは?

そうだね。確かにその曲をやっている時はバンドの中にいいケミストリーがあると感じたし、みんな楽しんでやってるのがわかったから、うん、僕達は……何も疑いはしないんだ。自分達がやっていることについて考えすぎたりしない。こんなにいい気分なんだから、そこに余計な疑問を持ったりしないで、音楽を作ろうとすることを続けていこうっていう。

-オーケーです。ところで、今作のアートワークも印象的なものですね。群衆から放たれた光とは、どのような意味が込められているのでしょうか?

アルバム・カヴァーについては、作ってくれたアーティスト本人に話してももらったほうがいいと思うし、それぞれの解釈にまかせるよ。

-KevinやBrendanは時としてシーンに対し反体制的な発言をしてきましたが、現在の音楽シーンで思うこととは何でしょうか?特にUSシーンに対しての意見をお聞かせ下さい。

正直僕達はUSシーンにはまったく興味ないし、僕達はカナダ人だから(苦笑)。音楽業界に関しては話したいと思わないというか、僕達は音楽を作っていて、それがやるべきことだから、シーンの状況について話すのは僕達のやることじゃないよ。たとえばRihannaが1位をとったとか、Lady Gagaのどの曲が1位をとったとか、そういうことはなんら影響を及ぼしたりしないから。僕達はまったく別の軌道上にいるんだよ。

-19世紀の詩人/デザイナーであるWilliam Morrisの思想を受け継いだレーベル、ARTS&CRAFTSですが、その思想を体現するBSSのコミュニティーこそ、時代に流されず優良な音楽を生み続ける秘訣であると考えますか?

そうだね、うん、そう思うよ(笑)。僕達はただ、お互いとうまくやろうと努力してる人間の集まりなんだ。それだけだよ。

-いよいよ夏にはFUJI ROCKでの来日が決まっていますね。自然溢れる地で、祝祭となるBSS・ワールドを多くのファンが歓喜に満ち堪能する姿を想像しますが、待ち望んでいるファンにメッセージをお願いします!

FUJI ROCK、僕もとっても楽しみにしているよ!