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INTERVIEW

Japanese

レミオロメン

2010年03月号掲載

レミオロメン

Member:藤巻亮太(Vo&G) 前田啓介(Ba) 神宮司治(Dr)

Interviewer:伊藤 洋輔


-では次に3人それぞれのお気に入りの曲を教えてください。

前田:僕はねぇ、「大晦日の歌」なんですよ。冒頭から歌詞に「そば」って出てきて(笑)。「そばかよ!」なんて最初は思っていたんだけど、それがいい意味で引っかかりとなっているんですよね。全体の雰囲気も年末にテレビ見ながらみかんを食べ、こたつの中でくつろぐなんとも言えない贅沢さみたいな、そこにカツオ出しの匂いが漂ってくるような感じがね(笑)。世界観はふたりのラヴストーリーなんだけど、家族とみかんとこたつ、後はなにもいらないって思える空気が最高なんですよ。あっ、それとこの曲は亮太くんの使ってるYAMAHAのギターが味噌なんですよ。あのなんともいえないジャリジャリ感ね。

藤巻:そうそう。なんかエレキとアコギの中間のような質感がね。

前田:うん、冷たいんだけど、暖かいっていうね。あれが結果的に匂う一品として描けた要因なんです。これは大好きな1曲ですよ。

-確かにインパクトある曲ですよね(笑)。藤巻さんは?

藤巻:なんだろうなぁ……レコーディングで「東京」なんて面白かったですね。いろんな試行錯誤があり、メロディーはあったけどサビの頭がなかなか決まらなくて。なんか「東京~!」っておもいっきり叫んだらしっくりきて、その瞬間にこの曲は東京だなって納得しちゃったんです(笑)。そこから掘り下げてこの街のヒリヒリ感というか、ルーティン・ワーク感というか、無機質な感じの空気をどう表現するかをみんなで考えていったのは楽しかったですね。

神宮司:僕は「小さな幸せ」ですね。シンプルな3人だけの演奏なんですけど、シンプルな中にも独特の雰囲気を出そうといろいろ試したのは楽しかったですね。今回、ヴィンテージものから最近のものまであらゆるスネアを集めたんですよ。それって純粋に楽しかったし、すごく微妙な違いのこだわりなんだけど、いろんな質感を探したのはいい経験でしたね。まさにこの曲なんか演奏していても、なんとなく小さな幸せを感じられる質感になったんで、お気に入りの曲です。

-『花鳥風月』を経て見つけた新たな発見はありましたか?

藤巻:う~ん、ありきたりですけど、やっぱり淡々と自分を掘り下げるしかないなと思いましたね。こう活動経験が長くなると経験値が増えて、音楽に対する足し算引き算掛け算割り算ってうまくなっていくんですよ。でも1番大事なのは0から1にして、1をどう広げていくかですからね。改めてその作業の難しさを教えてくれましたよ。

-今年は結成10周年ですが、これまでの道のりを振り返るとどうですか?苦難の連続?それとも幸福の連続?

藤巻:同じぐらいじゃないですか(笑)。

前田:ハハハ、とんとんな感じかな(笑)。

神宮司:そうだね(笑)。

-10年間この3人で続けられた結束力の秘訣ってありますか?

前田:なんだろ……やっぱり音楽がやりたかったんですよ、単純に。音楽でつながっている3人で、そしてレミオが大好きなんですよ。うん……そういう意志はありますね。でもね、ぶっちゃけ10年ってあんまり意識してないんですよ(笑)。その時その時にベストを尽くして来たから、その連続としか思えなくて。

-やってる側としてはあっという間と。

藤巻:うんうん。苦難のトンネルにいるときは長いんですけどね(笑)。

-これまでの活動で最も記憶に焼き付いているエピソードはなんでしょう?

藤巻:やっぱり地元山梨・日本航空学園の滑走路で行った野外ワンマンライヴですね。大雨にやられて、もう中止かってところから晴れ渡っていって、3万人とライヴの数時間を共有できたのは強烈な体験でしたね。

前田:そう、あれは凄かったね。もし開演時間が1時間早かったら確実にやれてなかったから!

藤巻:その時は後悔しただろうね~(笑)。

(一同爆笑)

神宮司:晴れちゃったよって!(笑)

藤巻:あれ中止にしていたら、結構なダメージ受けてましたね。

前田:時間設定から奇跡だったよ。

-あれは神憑っていましたね(笑)。

前田:うんうん。しかも会場の周りには何もなくて、3万人を帰らせなくちゃいけないっていう心配もあったし。ギリギリまで粘って晴れたから、忘れられない最高のライヴができましたよ。

-では、10年経て改めて聞かせてください。音楽を奏でる動機とはなんでしょう?

神宮司:音楽に出会えたのは本当に幸福なことなんですよ。やっぱり音楽を奏でることが楽しいから。これってシンプルだけど重要ですよね?楽しいことをずっとやり続けて生きていけるなんて、そうそうできないでしょ?だから音楽に出会えたことは僕らにとって凄くラッキーでしたよ。

藤巻:うん。それとやっぱり生きている実感が大きいんですよね。音楽を通して得るすべてが存在証明のような感覚にまでなるから、僕らを音楽に向かわせるんでしょうね。

-5月からは全国ツアーが始まりますが、意気込みを聞かせてください。

前田:初の全都道府県を巡るツアーなんです。だからどこへ行ってもアルバムに詰まった幸福感を、ふつうの営みにある"ありがとう"を全国でしっかり届けたいですね。また僕らもそこで、大切なものを受け取りたいとも願っています!

-最後に、ファンのみなさんに愛の詰まったメッセージをお願いします!

藤巻:僕らなりの日常感から何かを得てくれて、感動してもらえたら最高です。今だからこそ言えるありがとうがあるので、それをライヴでも伝えたいと思っています。

神宮司:アルバムを気に入ってくれて、ライヴを心から楽しんでくれたら嬉しいです。

前田:全国の会場でファンのみなさんをとことん愛します!(笑)

-ありがとうございました(笑)。