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INTERVIEW

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JET

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Member:Nicholas John Cester(Gt&Vo) Christopher Cester(Dr&Vo)


-「Walk」のトライバル・ビートは、どうやって作ったのですか?

C:DAFT PUNKを最近よく聴いているんだけど、その影響もあるんじゃないかな。これまでは、DAFT PUNKのようなエレクトロ・ミュージックには興味がなかったんだ。本物の音じゃないと、ロックンロールじゃないとダメだってね。だけど、最近はPRIMAL SCREAMみたいに、エレクトロとロックを融合したバンドもいいじゃないかと思ってね。それで、こういうものを取り入れてみたんだ。だけど、自分たちでその音を叩くことには凄くこだわったよ。でも、トライバルなビートって表現は面白いな。自分が叩いたからそうなったのかもしれないしね。その上に、コンゴとかパーカッションを重ねたりしているけれど、そう感じているのかもな。

-生音のみじゃなく、エレクトロ、デジタルな要素は、前2作よりも多く取り入れているんですか?

C:そんなことはないよ。0.2%しか入れていないよ。

N:ハンド・クラップはMPCで作ったな。

C:そうだった。「Beat on Repeat」「Black Hearts (On Fire)」の2曲だね。だけど、それ以外は全部自分達でやっているよ。

-まだ歌詞の対訳が届いていないのですが、自分達で特に思い入れのあるお気に入りの曲などあれば、一つ、二つ歌詞の内容を教えてください。

C:「Goodbye Hollywood」だな。Nicholasが書いた曲だよ。

N:『Shine On』を作った当時のことを振り返って歌っているんだ。当時は、本当に自分達の身に色々なことが起こった。プレッシャーだったり、父の死だったりね。それをうまくコントロールできず、言ってしまえば、悪い人達に操られてしまった。そういう時期を振り返って、そこから抜け出したいという気持ちを歌っているんだ。

-「K.I.A.」というのはどういう曲ですか?

C:「K.I.A.」って言うのは、軍隊で使われる言葉で、「Killed In Action」の略なんだ。つまり、戦場で死んでしまったことを意味する言葉なんだけど、これは戦場のことを歌った曲ではなくて、日常の生活でも言えることだと思うんだ。人生でもそういうことが起きるってことの比喩をこめた歌なんだ。毎日同じことを繰り返したり、周りからのプレッシャー、それはメディアからのプレッシャーかもしれないけれど、そういうことによって、実際には息をしているかもしれないけれど、心の中、魂は既に死んでいる、そういう人が多いんじゃないかということを歌った曲だ。

-グローバル・シングルにもなった「She’s A Genius」は?

C:この曲は、ただ単に楽しい曲だよ。全ての曲に深い意味が込められているわけじゃない。興奮できるリフが詰まっている、アップテンポな曲だ。言ってしまえば、アルバムの中ではポップな曲だよね。Geniusって何だろうって考えると、知識の豊富さなのか、IQの高さなのか。俺にしてみれば、なんにでも使える言葉だよね。食べ物がおいしい時にも使えるし、今回は、女の子に使ってみたんだ。

-「Black Hearts (On Fire)」はどういう歌なんでしょうか?

C:これは、貪欲さについて。自分の権力を使って、悪いことをいろいろする奴についての歌だ。全てが欲しい、あれもこれもとやっているうちに、自分が破壊されて、結局何も手にできていない人間についての歌だ。

-『Shaka Rock』というアルバム・タイトルに込められた思いを教えてください。

C:アフリカにズールー族という民族がいるんだけど、そこに有名な戦士がいて、彼のことをシャカ・ズーと呼ぶんだ。シャカって言うのは、ズールー族の言葉で「父なし子」という侮辱の言葉なんだ。彼はそう呼ばれて皆から馬鹿にされていたけど、何とその部族の王様になってしまったんだ!そして、王様になった後も、彼はあえてシャカ・ズーという呼び名を変えなかった。昔は馬鹿にされていたけど、お前たちのトップに立ったんだということをステートメントとして出していたんだ。それで、自分達もシャカ・ロックという言葉を使うのは面白いじゃないかと思ったんだ。音の響きも好きだったしね。それに、今回は初めてストレートなロックンロール・アルバムになったから、ロックという言葉は使いたかったんだ。

-さきほど、DAFT PUNKの名前が出ましたが、その他に今回の作品のインスピレーションになったようなアーティストはいますか?

C:Tom Pettyだな。

N:実は、4人ともTom Pettyの『Runnin Down a Dream』というドキュメンタリーDVDでもらってね。凄く興奮したんだ。自分達がTom Pettyのように凄いとは思わないけれど、共感できる部分もたくさんあった。「分かる、分かる」という部分が多かったから、印象的だった。

C:あとは、THE CLASH。それに、個人的に言えば、THE WIREをよく聴いていたな。

-前回インタビューをさせてもらった時に、あなた方はTHE BEATLESを引き合いに出されて、「ロックと呼ばれようが、ポップと呼ばれようが構わない。とにかく、いい曲を書くバンドになりたい」と言われていました。今作は、もっとストレートにロックンロールをするんだというモードという風に理解しても大丈夫ですか?

C:確かに、このアルバムについて言うのであれば、ひたすらロック、もしくはロック色が強いというモードだけど、僕達の人生は、ライヴでの自分とスタジオでの自分と半々に分かれているんだ。スタジオ・アルバムではそうでも、ライヴでは3枚のアルバムから演奏するから、もっといろいろな面を出せると思うな。今後もアルバムを出していくことで、もっとディープな作品、そういうバンドになっていくと思うよ。

-最近は、少し線が細いというか、頭でっかちなバンドが多いと思いますか。

N:(笑)今も昔も、そういうバンドはいつの時代もいるし、これからも出てくるだろう。で、そういうバンドが誰かっていうのは、NMEを読めば分かるさ。

C:NMEに出てくるバンドは、クソみたいなバンドっていう公式だよ(笑)。

-このアルバムは、2000年代の金字塔と言ってもいいと思いますが、あなたがたはそういう自負や誇りはありますか?

N:3枚のアルバムを出した自信が出ていると思うし、長い時間をかけて、世界中を旅して、歳を重ねてきた。そういう音に反映されているんだろうし、自分達が全てのプロダクションに関わったことが出ているのかもしれない。これまでもそういう手法はとれたかもしれないけれど、一つ一つ全てが学びの場だからね。今回でこれをできたのはよかったと思う。

-いつ頃、来日を期待できそうかということも含め、分かっている範囲で今後の予定を教えてください。

N:しばらくバンド活動をやっていなかったから、大々的にやりたいよね。とりあえず、ロンドン、ヨーロッパを回って、その後に実際にアメリカでライヴをやるよ。

C:日本のことが大好きだから、本当に早く戻ってきて、みんなの為に演奏したい。リリース前に出来れば一番いいけど、年内には日本に戻ってきたいな。

-日本のファンにメッセージがあれば、お願いします。

N:待っていてくれてありがとう。大好きなバンドにこれだけ長い間待たされたら、ファンはじれったい気分になるだろうし、だからこそ、待っていてくれたことに感謝したい。早くステージで会えることを楽しみにしているよ。

C:じれったい思いをした甲斐があったと思ってもらえる作品になっていれば、嬉しいな。