Japanese
DEVIL NO ID
2019年03月号掲載
Writer TAISHI IWAMI
hana(Vo)、karin(Vo)、mion(Rap)からなる沖縄発の3人組"ガールズダンスクルー"DEVIL NO IDが、1stアルバム『Devillmatic』をリリースする。まさに"IDのない悪魔"の如く、どこかに属することを拒んでいるのか、どこにも属することができないのか。いずれにせよポップに対する既成概念をぶち壊すべく、愛くるしさと躍動感を併せ持つパフォーマンス力と、トラックメーカーたちの容赦なき攻撃性や創造性が共闘し、時代を動かそうとしているような作品だ。
DEVIL NO IDは、本作の最後にも収録されているシングル『EVE -革命前夜-』で2016年9月にデビューした。トラックメイクを担当したのはTeddyLoid。ヒップホップやフレンチ・エレクトロをルーツに持ち、以降のEDMやダブステップなど様々なクラブ・ミュージックを消化しアウトプットする、国内屈指のDTMアーティストだ。その力をアイドルやJ-POP、ロックにゲーム、多様なシーンに注ぐ彼だからこそ描くことのできるドラマチックなサウンドはお見事。アニメーションやレーザー、ボディ・ペイントなどを用いたサイバーパンク的なインパクトの強い世界観と、それに勝るダンス・パフォーマンスが光るミュージック・ビデオもまた、センセーショナルだった。
2017年に入ってからは、爽やかなEDMサウンドとJ-POPの真ん中を射抜くようなメロディのマッチが印象的な「Sweet Escape」、同路線の「シグナル」をシングルとしてリリース。また、『シグナル』のカップリングでは、EDM以降のトレンドであるダンスホールへのアプローチも見せるなど、トータルでアメリカを中心とした世界のポップ・スタンダードと日本らしさを感じさせる要素を融合させた、新たなオリジナリティを打ち出す。それによって、hanaとkarinのヴォーカルとmionのラップ、3人のダンスも「EVE -革命前夜-」とはまた異なる柔軟性やしなやかさを手に入れた。
となると、DEVIL NO IDの次なる一手が楽しみで仕方がなくなるなか、2018年10月に決定的なサプライズが届けられた。AA=こと上田剛士が曲提供とサウンド・プロデュースを手掛けたシングル『BEAUTIFUL BEAST』をリリースしたのだ。上田と言えば、2006年に活動を休止した世界的人気を誇るバンド、THE MAD CAPSULE MARKETSのベース&ヴォーカルであり、ほぼすべての曲の作曲、プロデュースをしていたことでも知られるラウドロック・シーンのパイオニア的存在。また、他アーティストとの仕事においても、BABYMETALが世界に飛び出す大きなきっかけのひとつとなった「ギミチョコ!!」の作曲とサウンド・アレンジをはじめ、数多くの曲提供やプロデュース、リミックスなどの実績を持っている。そんな彼のエレクトロニック・ミュージックに対する嗅覚とDEVIL NO IDが積み重ねてきたイメージが絶妙にマッチ。プラス・アルファ、これまでDEVIL NO IDを手掛けてきたクラブ畑出身のミュージシャンにはなかった、パンクやハードコアのエッセンスが加わったことで、ガールズ・グループにおける究極のエクストリーム・ミュージックとまで言いたくなるほどの、凄まじく素晴らしい曲に仕上がった。
早すぎた重低音が時代を捉える瞬間が来た――今最も聴くべきガールズ・グループの新作はこれだ
こうして2016年から現在までのDEVIL NO IDが歩んだ道を振り返ってみると、実に革新的且つ強いフックを持ったリリースを続けてきたことがよくわかるが、国内のポップ・シーンに風穴を開けることはできなかった。その理由としては、日本においてDEVIL NO IDの仕掛けは"早すぎた"のだと考えられる。"J-POP的"と前述した「Sweet Escape」と「シグナル」に代表されるように、日本人の感覚におけるポップな要素はどの曲にも入っている。しかし曲展開において、現行のクラブ・シーンや世界のポップに照準がいきすぎていたことと、それらの折衷センスにおけるオリジナリティの強さが逆に作用したのかもしれない。
ポップスで言うと"Aメロ→Bメロ→サビ"、クラブ・ミュージックだとEDMにおける一定の四つ打ちが主軸にあるなかでの"ブレイクダウン→ビルドアップ→ドロップ"という流れや、サウンドにおいては中音~高音域が広く好まれる日本において、例えばアメリカやヨーロッパでは当たり前の、ドロップでキックが抜けて音数が減るといった展開や極端に低音が強調されたサウンドは、まだ一般層には浸透していなかった。しかしここ1~2年でその傾向は変わりつつある。多くのポップ・アーティストが遅いビートを倍で取れるスタイルを取り入れ始め、低音に目を向け、世界とのタイムラグを埋めるような流れが確実に生まれている。DEVIL NO IDは早い段階からそういったスタイルを打ち出しつつ、決して海外の真似事だけではない独自の前衛性も極めたサウンドを提唱しながら、3人のパフォーマンスを徹底的に磨いてきた。だからこそ、このタイミングで、ここまでで説明した既発シングルを改めて追えるよう収録したアルバムをリリースすることは、とても意味のあることだ。
そして本作のリリースにあたって制作された新曲たちも素晴らしい。まずは上田が曲を提供した「サバイバー」。近年、リバイバルの兆しを見せる00年代の風に乗った、ドラムンベースとロックのダイナミズムがクロスするサウンドに、瑞々しいヴォーカル・メロディと癖になる独特の譜割りが印象的なラップが走り未来を指す、リード・トラックにはもってこいのアッパーな曲だ。
TeddyLoidがデスクトップから生音にアプローチしたサウンドが新鮮で、キャッチーなギターのコード・カッティングやメロディに吸い寄せられるポップ・ソング「PLAY GROUND」、オーストリア出身の日本人で世界の名だたるDJ/プロデューサーと肩を並べて"ULTRA JAPAN"に出演したKENSHUによる「ジェネレーション反抗期」は、跳ねたミドル・テンポのビートが3人のダンスに新たな刺激を加えそう。「シグナル」と「Sweet Escape」の作曲を担当したS-kit(from GROUND-LINE)がサウンド・プロデュースも手掛けた「うしみつどき」と「ユートピア」はさすが。安定のメロディ・ラインとダンサブル且つシンセが夢見心地な世界を演出するサウンドも、合わせて作品中の清涼剤になっている。ここにきて最もベタなEDMの構造を大胆に取り入れた「RSG」もまたS-kitによるメロディの牽引力が強いからこそ面白い。高音で持っていくサビのヴォーカルをライヴで聴いたときの臨場感が楽しみだ。
ダンス・ミュージックの概念を塗り替えるセンス、パンクな爆発力、激しく身体を揺さぶる重低音、爽快なドライヴ感、実に生き生きとした表情豊かなメロディやラップ、各曲の制作に加わったメンバーが、3人の力量を分析して合わせたというよりは、3人の力を信じて作ったことが伝わってくるトラックの数々。それを受けてアップデートされてきたパフォーマンス力。DEVIL NO IDの現時点における最高到達点である本作が広く世に受け入れられ、多くの人たちと新たなポップの夜明けが見られることを、切に願う。
VIDEO MESSAGE
▼リリース情報
DEVIL NO ID
1stアルバム
『Devillmatic』
2019.03.06 ON SALE
[VAP]
VPCC-86234/¥2,500(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
1. サバイバー
Lyrics: Three 6 Maria / Music: TAKESHI UEDA / Sound Produce: TAKESHI UEDA
2. BEAUTIFUL BEAST
Lyrics: Y.O.G., KEN THE 390 / Music: TAKESHI UEDA / Sound Produce: TAKESHI UEDA
3. シグナル
Lyrics: Y.O.G., KLOOZ / Music: S-kit(from GROUND-LINE) / Sound Produce: TeddyLoid
4. PLAYGROUND
Lyrics: Y.O.G., KLOOZ / Music: TeddyLoid / Sound Produce: TeddyLoid
5. Sweet Escape
Lyrics: Y.O.G. / Music: S-kit(from GROUND-LINE) / Sound Produce: TeddyLoid
6. ジェネレーション反抗期
Music: KENSHU / Sound Produce: KENSHU
7. かしましサバト
Lyrics: KiWi, KLOOZ / Music: KiWi, KLOOZ / Sound Produce: KiWi
8. まよいのもり
Lyrics: Y.O.G. / Music: S-kit(from GROUND-LINE) / Sound Produce: Monster Rion
9. うしみつどき
Lyrics: Y.O.G., ZOM / Music: S-kit(from GROUND-LINE) / Sound Produce: S-kit (from GROUND-LINE)
10. ユートピア
Lyrics: Y.O.G. / Music: S-kit(from GROUND-LINE) / Sound Produce: S-kit (from GROUND-LINE)
11. TGIF
Lyrics: Three 6 Maria / Music: P and D / Sound Produce: P and D
12. RSG
Lyrics: Y.O.G., KLOOZ / Music: S-kit(from GROUND-LINE) / Sound Produce: P and D
13. EVE -革命前夜-
Lyrics: Y.O.G., KLOOZ / Music: TeddyLoid / Sound Produce: TeddyLoid
■「サバイバー」先行配信中
■TOWER RECORDSオリジナル特典CD:ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)による「まよいのもり」リミックス音源
※SoundCloudにて試聴可能
※そのほか店舗別特典の詳細はこちら
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.26
-
あれくん
[Alexandros]
Eve
"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.14"
GANG PARADE
須田景凪
コレサワ
LOCAL CONNECT
アーバンギャルド
reGretGirl
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Creepy Nuts
FIVE NEW OLD
PENGUIN RESEARCH
マオ(シド)
さめざめ
Academic BANANA
"MURO FESTIVAL 2025"
WtB
有村竜太朗
Czecho No Republic
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.07.27
-
Eve
東京スカパラダイスオーケストラ
MAPA
神はサイコロを振らない
"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.14"
LOCAL CONNECT
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
ASP
コレサワ
Bubble Baby / TOKYO世界 / NEW BABYLON / DJ bara
DURDN
"MURO FESTIVAL 2025"
Mrs. GREEN APPLE
DAYBAG / ONEDA! / Too Leap Bunny ほか
- 2025.07.28
-
THE YELLOW MONKEY
パピプペポは難しい
のうじょうりえ
Hump Back
- 2025.07.29
-
大森靖子×銀杏BOYZ
斉藤和義
- 2025.07.31
-
TENDOUJI
フラワーカンパニーズ
GIFTMEN
なきごと
The Gentle Flower.
のうじょうりえ
ZAZEN BOYS
板歯目
- 2025.08.01
-
bokula.
GIFTMEN
ビレッジマンズストア
キュウソネコカミ / 礼賛 / 西川貴教 / FANTASTICS
GOOD BYE APRIL × エルスウェア紀行
cinema staff
the shes gone
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
Newspeak
Amber's
パピプペポは難しい / IQ99
- 2025.08.02
-
Saucy Dog
マオ(シド)
四星球 / フラワーカンパニーズ / Hump Back / 眉村ちあき ほか
なきごと
FIVE NEW OLD
BLUE ENCOUNT
TENDOUJI
カミナリグモ
"Live House Pangea presents「新世界FESTIVAL2025」"
あれくん
藤沢アユミ
reGretGirl
Nothing's Carved In Stone
ぜんぶ君のせいだ。
岸田 繁(くるり) / 向井秀徳アコースティック&エレクトリック / 折坂悠太
古墳シスターズ
PENGUIN RESEARCH
忘れらんねえよ
シナリオアート
SCOOBIE DO
eastern youth
"NEW HORIZON FEST"
ExWHYZ
BRADIO
映秀。
- 2025.08.03
-
Saucy Dog
なきごと
四星球 × G-FREAK FACTORY
マオ(シド)
ビレッジマンズストア
PK shampoo
フラワーカンパニーズ
BLUE ENCOUNT
Nothing's Carved In Stone
FIVE NEW OLD
reGretGirl
さめざめ
カミナリグモ
あれくん
忘れらんねえよ
SCOOBIE DO
"NEW HORIZON FEST"
古墳シスターズ
Lucky Kilimanjaro
め組
コレサワ
有村竜太朗
- 2025.08.05
-
Hump Back
BLUE ENCOUNT
YOASOBI
- 2025.08.06
-
bokula.
KALMA
SHE'S / トンボコープ / Fish and Lips
Hump Back
BLUE ENCOUNT
YOASOBI
Conton Candy / Laughing Hick / なきごと / the paddles ほか
フィロソフィーのダンス
Hello Hello
Dannie May / yutori / muque / CLAN QUEEN ほか
キュウソネコカミ
- 2025.08.07
-
羊文学 × Omoinotake × マルシィ
bokula.
ザ・クロマニヨンズ × 斉藤和義
坂本慎太郎
忘れらんねえよ
MAPA
Mirror,Mirror
"閃光ライオット2025"
キュウソネコカミ
フラワーカンパニーズ × NakamuraEmi
Panorama Panama Town
- 2025.08.08
-
THE YELLOW MONKEY
ビレッジマンズストア
そこに鳴る
MAPA
KALMA
忘れらんねえよ
BLUE ENCOUNT
reGretGirl
YOASOBI
女王蜂
Nothing's Carved In Stone
終活クラブ
Bye-Bye-Handの方程式
JYOCHO
LOCAL CONNECT
Panorama Panama Town
- 2025.08.09
-
eastern youth
フラワーカンパニーズ ※振替公演
鶴 / 水中スピカ / ターコイズ / some you bit
セックスマシーン!!
Bye-Bye-Handの方程式
片平里菜
HY
Faulieu.
9mm Parabellum Bullet [Expand Session] / フレデリック / TenTwenty / BIGMAMA ほか
ハク。
古墳シスターズ
マオ(シド)
Lucky Kilimanjaro
reGretGirl
YOASOBI
anew
パピプペポは難しい
CROWN HEAD
カミナリグモ
LOCAL CONNECT
GIFTMEN
超☆社会的サンダル
豆柴の大群
"LuckyFes'25"
"UKFC on the Road 2025"
RELEASE INFO
- 2025.07.29
- 2025.07.30
- 2025.07.31
- 2025.08.01
- 2025.08.06
- 2025.08.08
- 2025.08.11
- 2025.08.13
- 2025.08.15
- 2025.08.20
- 2025.08.22
- 2025.08.27
- 2025.08.29
- 2025.09.03
- 2025.09.05
- 2025.09.10
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Organic Call
Skream! 2025年07月号