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LIVE REPORT

Japanese

WANIMA

Skream! マガジン 2021年01月号掲載

2020.12.17 @東京ガーデンシアター

Writer 秦 理絵 Photo by 瀧本JON...行秀

"みんなと新しい一歩を踏み出せたら"――WANIMAが10ヶ月ぶりに開催した有観客ライヴ"Boil Down 2020"(※現状を鑑みたガイドラインに沿い配信ライヴも実施)。その東京ガーデンシアターのステージで、KENTA(Vo/Ba)が何度も口にした言葉だった。

この日のために用意されたという初公開の新曲「Boil down」が会場に流れ出すと、KO-SHIN(Gt/Cho)、FUJI(Dr/Cho)がステージに登場した。冒頭からフルスロットルのテンションで「エル」を投下。FUJIが刻む性急なビート、開放感に満ちたKO-SHINのギター・リフ。"明日は晴れるかな/晴れたらいいのにな"。その歌詞を引き続くように、2曲目の「雨あがり」に繋ぐ。

"KO-SHIN、FUJI君、みんな来てくれてる。やっと!"(KENTA)。最初のMCで、久々の有観客ライヴへの喜びを爆発させると、WANIMAの攻撃的な一面が研ぎ澄まされた「いつもの流れ」へ。途中でKENTAが歌詞を飛ばし、"ごめん!"と謝る場面もありつつ、シンプルなメッセージが胸を打つショート・チューン「昨日の歌」へと、バンド初期のナンバーを連発していく。恒例のリクエスト・コーナーでは、KENTAがマスクを着け、アクリル板を片手に、お客さんのひとりにリクエスト曲を紙に書いてもらうという感染防止対策のうえで、「1CHANCE」に決定。どんな状況になっても、"お客さんと一緒にライヴを作る"という、WANIMAの姿勢が貫かれていた。

中盤戦は、"このままじゃ終われない"と、熱い闘争心を滲ませたナンバーが続いた。激しい緩急で踊らせた「リベンジ」。無数のレーザー光線がステージを縦横無尽に駆け抜けた「Japanese Pride」では、声は出せずとも、全力で身体を動かすフロアが見て、KENTAが"やっぱ、みんなおって良かった"と顔を綻ばせた。会場にシャンシャンと鈴の音が響きわたったバラード曲「SNOW」のあと、6月に配信リリースされた「Milk」は素晴らしかった。ギターに乗せた歌い出し。豪快に加わるバンド・サウンド。"あたりまえで あたりまえで/なくなって気付いたんだ"と、どこか昔を懐かしむように紡がれるその歌は、これまで、いいことも悪いことも懸命に抱きしめながら生きてきた私たちは、たとえ"あたりまえ"を見失った日常でも、これまでと同じように生きていくという、WANIMAらしいメッセージのように聴こえた。

本編ラスト2曲を残したところでKENTAが語り掛けた。"生きとったら、いろいろあると思うけど、俺らはこれからも、みんなが一歩踏みとどまれるように音楽を作っていくから。みんな、なんとか負けんで。おってくれるだけでいいから"と。そのまま「Mom」へ。母親代わりだった祖母への想いを込めたその楽曲に、新たにエピソードを加えて披露すると、 "みんなと大切な一歩を踏み出した気がする"と、KENTAは感極まったような表情で伝えた。ラストは高速パンク・ナンバー「Hey Lady」で終演。ここからが新しい日々の始まりだと宣言するような楽曲は、コロナ禍に新たなスタートを切ったWANIMAの今に相応しいフィナーレだった。

アンコールは、2月、3月のツアー中止直後に緊急配信された「春を待って」、さらに「HOPE」という2曲で、未来への希望を込めて、全16曲のライヴを締めくくったWANIMA。"雨あがり"を願い始まったこの日のライヴが、"春を待って"終わる選曲には、この状況下でWANIMAが伝えたいことが見事に凝縮されていた。今後、"Boil Down"は、年末恒例ライヴとして、お客さんとともに時間を"煮詰めていく"大切な場所になるだろう。そうなったとき、"あの1回目のBoil Downの年は大変だったね"なんて、みんなで笑えたらいい。そうやって明日も生き抜くためにWANIMAの音楽はあるのだから。


[Setlist]
SE. Boil down
1. エル
2. 雨あがり
3. いつもの流れ
4. ララバイ
5. 昨日の歌
6. 1CHANCE
7. リベンジ
8. Japanese Pride
9. いいから
10. SNOW
11. Milk
12. オドルヨル
13. Mom
14. Hey Lady
En1. 春を待って
En2. HOPE

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