Japanese
tacica
Skream! マガジン 2018年01月号掲載
2017.11.25 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 石角 友香
9月から続いてきたツアーの23本目となるファイナル。ニュー・アルバム『新しい森』のプロデューサーでもある野村陽一郎(Gt)、そして中畑大樹(Dr/syrup16g)はすでにサポート・メンバーの域を超え、しかしtacicaの心臓部はあくまで猪狩翔一(Vo/Gt)と小西悠太(Ba)であることを実感させた。それはこのライヴがまさに、tacicaの音楽を真ん中に、ミュージシャンとして響き合う4人という新たなフェーズを体現したものだったからだ。
ブルーとグリーンのライトと鳥の声のSEが"新しい森"を思わせる演出のなか、メンバーが登場し、新作のオープナーどおり「mori」の抽象度の高い歌詞が、中畑の機敏な8ビートと小西の縦横無尽に動くベース・ラインに乗って走り出す。続けて猪狩のファルセットがスムーズに伸びる「YELLOW」と新曲が続く。人間ひとりひとりの違いを肯定という明確な言葉を使わず、月の光を表す"YELLOW"を暗喩的に用いて表現し、歌詞の静かな強さを誠実な歌声で届ける猪狩、アウトロに向かっての小西、野村、中畑のコーラスも柔らかなニュアンスで曲の世界観を後押しした。
猪狩のシンプルなコード・カッティングと、野村のノイジーなフックが効いたギター2本のアンサンブルが鮮やかな「アトリエ」、野村のスライド・ギターが空間を広げた「JADITE」、続いて新作からの「youth」では、中畑の3拍子を感じさせる変拍子やマーチング・ドラム的なフレージングから、この4人でしか作れないタイム感や質感がさらに豊かなものに醸成されてきたことを知る。特にこのメンバーでレコーディングした『新しい森』と、それ以外の楽曲が多く織り交ぜられた前半で、ライヴにおいてもこれまでのtacicaの楽曲に芯を残しつつ再構築していることがつぶさに伝わった。そしてこのツアーの中で発見し、さらに練られていったグルーヴは間違いなく彼らが作ったものだが、同時に彼ら自身が楽しんでいる様子が、今日ここでしかないダイナミズムとなって伝わってきた。猪狩が何度もボソっとながら"ほんとにありがとう"と繰り返す様子がリアルだ。
中盤では猪狩がアコギに持ち替えての「ハイライト」と「カナリヤ」。特に野村のフィードバック・ノイズが情景を浮かばせた「カナリヤ」は体験的な演奏だった。後半、猪狩の歌声の伸びやかな強さがさらに際立つ「群青」や「諦める喉の隙間に新しい僕の声が吹く」といった新曲の間におなじみの「サイロ」や「HALO」を配置。日本語のロックとしてのメロディに乗る歌の強さを感じながら、初期の邦楽ロックの音像を塗り替えてきた今のtacicaのバンド・サウンドの変遷をこうしたセットリストで感じることもできた。それにしても何かと比べることに意味を感じないバンドだなと、ライヴ中に幾度となく思う。それでも新鮮だということの意義は大きい。
イントロで歓声が上がった「人鳥哀歌」が瑞々しい音源とは違う発火するようなエネルギーをフロアに充満させて、猪狩がラスト・ナンバーの前に"自分の不器用なMCより曲が雄弁であることに感謝します"と言い、オーディエンス、メンバー、スタッフへの感謝を述べて、最後は「回転盤」。自分たちの音楽だけじゃない、あらゆる愛する音楽や、回り続ける=生きることをやめられない人たちへの優しい凱歌。残響すらも作品のように響いて、このツアーの結実を祝しているようだった。なんとアンコールに続き、ダブル・アンコールまで行った彼ら。2018年のtacicaの結成日、4月5日から始まる東名阪ツアーは、初のアコースティック・セットとバンド・セットによる2部構成であることも発表。ライヴの充実を反映した企画になるんじゃないだろうか。
[Setlist]
1. mori
2. YELLOW
3. アリゲーター
4. HUMMINGBIRD 蜂鳥
5. アトリエ
6. JADITE
7. youth
8. ハイライト
9. カナリヤ(THE YELLOW MONKEY カバー)
10. 群青
11. サイロ
12. HALO
13. 諦める喉の隙間に新しい僕の声が吹く
14. ジャッカロープ
15. 人鳥哀歌
16. 回転盤
en1. 私服の罪人
en2. キャスパー
Double en. アースコード
- 1
LIVE INFO
- 2024.07.27
-
ぜんぶ君のせいだ。
Bye-Bye-Handの方程式
ASP
Ado
豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL
"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL VOL.13"
ジュウ×アンと私
いきものがかり
凛として時雨
おいしくるメロンパン
私立恵比寿中学
NakamuraEmi
終活クラブ
"FUJI ROCK FESTIVAL'24"
愛美
マオ(シド)
osage
MyGO!!!!!
halca
- 2024.07.28
-
ASP
Ado
Bye-Bye-Handの方程式
終活クラブ
"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL VOL.13"
PIGGS
LUCY IN THE ROOM
ヤングスキニー
NakamuraEmi
おいしくるメロンパン
私立恵比寿中学
PEOPLE 1
"FUJI ROCK FESTIVAL'24"
マオ(シド)
KEYTALK
MyGO!!!!!
THE BACK HORN
ExWHYZ
- 2024.07.30
-
終活クラブ
打首獄門同好会
THE FOREVER YOUNG
ゲスの極み乙女
離婚伝説
超☆社会的サンダル
東京スカパラダイスオーケストラ
- 2024.07.31
-
終活クラブ
PEDRO
THE FOREVER YOUNG
くるり
cadode
ヲドルマヨナカ
GANG PARADE × BiS
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
水曜日のカンパネラ
ザ・シスターズハイ
ExWHYZ
東京スカパラダイスオーケストラ
- 2024.08.01
-
TENDOUJI ※振替公演
桃色ドロシー
向井秀徳
Wisteria
SILENT SIREN
NakamuraEmi
- 2024.08.02
-
TENDOUJI ※振替公演
ビレッジマンズストア
ヤユヨ
THE FOREVER YOUNG
終活クラブ
GIFTMEN
フラワーカンパニーズ
くるり
Creepy Nuts
菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)& NAOTO QUARTET
- 2024.08.03
-
SHAKALABBITS
桃色ドロシー
back number
マオ(シド)
ASP
NakamuraEmi
GIFTMEN
いきものがかり
THE FOREVER YOUNG
フラワーカンパニーズ
GRAPEVINE
G-FREAK FACTORY × 四星球
Ado
パピプペポは難しい
終活クラブ
向井秀徳
"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024"
なきごと
milet
- 2024.08.04
-
ASP
back number
桃色ドロシー
いきものがかり
くるり
NakamuraEmi
"Heaven God Beach 大作戦 GIG 2024"
Bye-Bye-Handの方程式
"PSYCHIC FES 2024"
いゔどっと
ジュウ×アンと私
Ado
ヤユヨ
"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024"
豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL
愛美
フジファブリック
- 2024.08.05
-
Novelbright
- 2024.08.06
-
THE FOREVER YOUNG
くるり
ゲスの極み乙女
NakamuraEmi
Hello Hello
polly
桃色ドロシー
Mega Shinnosuke / DYGL / yonige
- 2024.08.07
-
THE FOREVER YOUNG
ゲスの極み乙女
NakamuraEmi
オレンジスパイニクラ / Laughing Hick / シンガーズハイ / カネヨリマサル ほか
ASP
"閃光ライオット2024"
- 2024.08.08
-
polly
くるり
KANA-BOON / Cody・Lee(李) / bokula.ほか
Sou
ヤングスキニー
ゲスの極み乙女
めろん畑a go go
GIFTMEN
みゆな
ポップしなないで
cinema staff × HEY-SMITH
- 2024.08.09
-
終活クラブ
ハク。
Bye-Bye-Handの方程式
ぜんぶ君のせいだ。
そこに鳴る
詩羽(水曜日のカンパネラ)
凛として時雨
コレサワ
RELEASE INFO
- 2024.07.29
- 2024.07.31
- 2024.08.01
- 2024.08.02
- 2024.08.07
- 2024.08.08
- 2024.08.09
- 2024.08.10
- 2024.08.13
- 2024.08.14
- 2024.08.16
- 2024.08.20
- 2024.08.21
- 2024.08.23
- 2024.08.28
- 2024.08.30
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
East Of Eden
Skream! 2024年07月号