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LIVE REPORT

Japanese

つしまみれ

Skream! マガジン 2014年05月号掲載

2014.04.19 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 石角 友香

今年2月にリリースした15周年記念となる初のベスト・アルバム『つしまみれまみれ』を携えたツアー・ファイナルとなったこの日。ロックをやるのに男も女ももはやとっくに垣根はないとは言え、いい意味で女性ならではのしなやかさ、健気さ、逞しさ、可愛さを感じずにはいられないライヴだった。そしてそれはとても清々しい気持ちにさせてくれるものでもあったのだ。

広い年齢層、男女比6:4ぐらい、中には外国人男性もいるファン層は、彼女たちが続けてきた音楽の軌跡に合致するような多彩さ。定刻を少し過ぎ、メンバー登場。1曲目は新曲であり、ベスト・アルバムのオープニング同様「スピーディーワンダー」。ギター/ヴォーカルのまりのみならず、音と存在感で3人ともフロントマンみたいなバンドだなぁと改めて感じ入ってしまう。ノンストップで「タイムラグ」「J-POP」「おじいちゃんのおズボン」「ミから出たサビ」と5曲を演奏していくバンドの地力!みずえのハード・ヒッティングしながら歌う姿、やよいの全身から奏でるベース・ラインがまさに冒頭で書いたように、女性ならではの自然な良さを実感させてくれる。そして「ミから出たサビ」でこともなげに幾何学的なアルペジオを弾きながら、そのラインとは全然違うラップ調のヴァースを歌うまりの瞬発力たるや。中盤からスローに展開し、抜群のブレイクでフィニッシュした演奏に胸がすく。

"QUATTROは2007年ぶり"と満面の笑みのまりは"今、全員犯したるぞ!って言いそうになったんだけど(笑)"と、あながち冗談でもないぐらい、オーディエンスへの愛と攻撃力。そしてつしまみれのコーラス・ワークの美しさも堪能できる「UFO FOR YOU」、まりの伸びやかな歌声が気持ちいい「ストロボ」と、やわらかい側面を見せた後は、この日の個人的ハイライト。つしまみれ流ポスト・ロックに挑んだ時期の「エアコンのリモコン」は、音源で聴く以上に歌メロの切なさ、その裏を行くベース・ラインもこれまたツボを突くラインが切なく、そんな美しいメロディに対する骨っぽいビートの緩急が、感傷的になりそうな曲に力強さを与えている印象。この曲を演奏する前に"恋が始まって、終わる曲"と、まりが紹介したのだが、コントロールの効かない感情の移ろいが、曲という肉体を持った物語に昇華されていて、かなりグッとくる場面に。続く「新しい世界の夜明けはとりあえずROCKとBEERで」では、ZAZEN BOYSも真っ青な居合のような抜き差しに息を飲みつつ、まさにビールを飲みたい気分を抑え込むのが大変......。

中盤には活動開始期の柏駅前の思い出や、次に演奏する曲の主人公でもあり、まさにファン第1号だったおじちゃんのことを話すまり。"こんなに本人が知らないところで名前を呼ばれる人もいないでしょう(笑)"と「海老原眞治」をスカッと演奏。「良いテンポです。」の15周年ヴァージョンにさらにフロアは沸きながら、一転、心にしみるスローな「ママのうた」も披露してくれた。

ガレージ・パンクな「ダーウィン」から始まった狂騒は、おどろおどろしいイントロから極端にファストに展開する「まつり」や、ソリッドな「JAGUAR」まで間髪入れずに加速していき、つしまみれというバンドの体力とオーディエンスをどこまでも巻き込み、楽しませながらカオティックに展開するというエンタテインメント性に感動してしまう。本編最後のMCで、まりは"80歳まで3ピース宣言"をしたあと、"最近、つしまみれって言ってもわかってもらえない寂しい現実があるけど、一緒に武道館やりたいよね!?"と、強い意思表明とともに背面ダイヴを決め、フロアでファンとともに「脳みそショートケーキ」を歌う。そして本編ラストは、今のつしまみれをフラットに表現したような名曲「愛の夢」で美しい締めくくり。アンコールでも新曲かつ今の彼女たちが最もしっくりきているとインタビューで話してくれた「スピーディーワンダー~スローリーワンダーバージョン~」に聴き入ってしまった。なお、恒例のおみやげは未発表曲のダウンロード用パスコード!手作りのグッズもいいけど、表現意欲満々な今を知れるのはさらに嬉しい。ビバ!KEEP ON ROCKIN'UNTIL 80 YEARS OLD!女は長生きだぞ!?

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