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INTERVIEW

Japanese

Alstroemeria

2023年12月号掲載

Alstroemeria

Member:りくお。(Vo/Gt) 田中(Ba/Cho) れいや(Dr)

Interviewer:石角 友香

愛知県豊橋市を拠点に活動する3ピース・ロック・バンド Alstroemeria。高校3年生のときに結成し、10代の感受性が溢れていた頃からツアーやイベント、オーディションなど5年の歳月を経て、環境や心情の変化を表現した1stフル・アルバムがついにリリースされる。"Blue Earth"と題されたこのアルバムには、バンドだからこそ描ける日常も、ソングライターであるりくお。の、少し大人になった人と人との関係や恋愛観、物語性を帯びた歌詞表現、深みを増したバンド・アレンジなどが随所に立ち上がる。本作の話題を軸に、リリース・ツアー"Alstroemeria 1st FULL ALBUM「Blue Earth」Release Tour"で掲げる目標や、地元を拠点に活動を続ける理由などを訊いてみた。

-1stフル・アルバムに対する想いやイメージっていうのは、みなさんそれぞれにありましたか?

りくお。:今回TAIL RECORDSに所属させてもらって、昔1回自主でデモ・アルバム(2021年リリースの『机の落書きと僕らの日常』)は出したんですけど、それとは違う、今までを詰め込んだものなので気合も入ったし、進化した部分を届けたいなっていうイメージでしたね。

田中:今まで出した音源もそうなんですけども、これからやりたいAlstroemeriaと昔のAlstroemeriaの違いがギュッと1枚に詰まってるなって感じ。だからこれ1枚聴くだけで、いろんなすべてを感じ取れる気がします。

れいや:僕も、進化した部分、今までの良さと少し変わってきてる部分を、聴いてわかってもらえるアルバムにできたらなと思いながら作ってました。

-1stデモ・アルバムの『机の落書きと僕らの日常』は高校生の日常感がすごくあったので、この間の変化がよくわかります。

りくお。:そうですね、本当に。

田中:垢抜けた感じはあるよね。

-垢抜けるってどういう感じなんでしょうね?

りくお。:『机の落書きと僕らの日常』のときは、やっぱ学生時代ならではの悩みとかが多かったんですけど、今は成長してきて、まぁまだ子供ですけど、大人になったつらさの表現もできてるし、その中の恋愛とか生活の部分とか、希望だったりを感じるものが少し大人になったのかなっていう。歌詞だけで言うとそれがありますね。

-ちなみにAlstroemeriaの曲の作り方っていうのはどんな感じなんですか? 昔から変わらないんですか?

りくお。:昔とちょっと変わって、昔はスタジオでみんなでセッションというか、バーッて合わせて持ち帰って歌詞つけるみたいな感じだったんですけど、最近は僕が作詞作曲して、それをメンバーに聴かせてアレンジを考えてもらって、集まってアレンジしていくみたいな感じですね。

-りくお。さんが最初に持っていくのは弾き語りのデモみたいな感じなんですか?

りくお。:自分のこだわってる部分を落としたくないので、最近はDTMで作った音源聴いてもらっている感じです。

-DTMで作るようになってもう何年ぐらいですか?

りくお。:ちょうど専門学校上がったときにDAWを始めて、それから1年後ぐらいなんで、3年前ぐらいですかね。

-3ピースでやるにしても、りくお。さんがデモの段階でこういうところまで詰めたいっていう欲求がバンドの中にも出てきたっていうことですか?

りくお。:そうだと思います。

-それによって完成度って変わりましたか?

りくお。:一曲一曲だいぶ充実感があるというか、飽きる部分は少なくなってきましたね。

-ちなみに、今回のこの1stフル・アルバムに収録されている曲は、アルバムのために書いた曲ですか?

りくお。:半分はそうです。「7179」と「髪」っていう曲は昔からある曲で、「彼の話」と「スキマ」は7月に出した1stシングル(『短夜、ふたり』)と10月に出した2ndシングル(『空澄む愛の情景』)のリード曲が入ってる感じです。

-今年の活動の中で、バンドにとって影響が大きかったことってなんですか?

りくお。:影響はTAIL RECORDSに所属したのが一番大きいけど、"TREASURE05X 2023"のオーディション("トレチャン2023")で優勝させてもらって出演できたのも大きい出来事ですね。それからお客さんがいっぱいいるライヴに誘われることが少し増えてきて、自分たちのお客さんも増えてきたんで、"TREASURE05X 2023"から変わったなってのはありますね。

-ところで、みなさんにとってアルバムを聴く習慣や思い入れは深いものですか?

りくお。:アルバムって1個を通して作品になってると思うんですけど、シングルは2曲表裏がある感じで、それも好きなんです。アルバムはそのバンドの今の全部がわかるのが魅力だなと思ってて。で、今回田中がアルバムの曲順を考えてくれて、そこもこだわってると思います。

田中:曲順の話で言うと、結構好きなバンドへのリスペクトもあって。このバンドのこのアルバムを1曲目から最後まで聴いたとき、こういう感情になったよなっていうのを思い出して、自分たちの曲をそれにあてはめたらこうなるかな、みたいな感じで組んでいきましたね。

-田中さんの中にあった流れっていうのは、どういう感じですか?

田中:1曲目は、絶対に1曲目から再生すると思うので、聴き馴染みのいい、耳に残るような曲。で、2~3って続く曲はメロが良かったりテンポが良かったり、"しっとりさせるのじゃないよな"っていうので、その自分の好きなバンドで得た感情と照らし合わせたときに、"だったらこういう順番かな"っていう。僕のこだわりポイントは6曲目で、ちょっとダークな感じの曲入ってくるんですけど、その6曲目ってのが結構大事で。僕らみたいな長い曲もあるけど、短い曲もある感じだったら、中盤で落ち込んできたところで上げるよりも、ミドルのちょっとダークな感じの曲を入れることによって、落ち込んできた気持ちに寄り添えるけど落ち切らない、ちゃんと不安定な感じを表現できてるかなっていう感じですかね。

-その6曲目にいい仕事をしてくれている「じゃあね、霞む灰色」、これは音像的にも新しくて。どういうこだわりがありましたか?

りくお。:曲自体は田中が言ったようにダークな雰囲気を出したくて、すげー悩んでるっていうか、世界に対しての悩みというか、そういうのを表現したくて。でも社会にはいいとこもあるし悪いところも多いんで、その不安定感を音色で出したかったっていうのはすごいあって、そこはこだわりましたね。

-歌詞にある"深夜3時"の感じが、聴いてると自分の空間がそう感じられるんですよ。

りくお。:あぁ、嬉しいです。

-ギター・サウンドもレイヤーがあるアレンジで、コーラスのアイディアもすごいいいですよね。俄然深みがある曲が出てきたなって。

田中:嬉しい! ありがとうございます。

-この曲も、りくお。さんがある程度デモの段階でアレンジを詰めたりしてる結果なんですか?

りくお。:コーラス入れたい場所はあったんですけど、コーラスの譜割とかは田中が決めてくれて。全体の雰囲気は僕が詰めたいところで、タム回しだったりリバーブ感だったりは想像できてたんで、そこらへんはやってました。


れいや:りくお。からデモが送られてきて、ドラムが入りからいつもと違う感じで、僕は結構ああいうのが好きで。でも3ピースのギター・ロックであんまり入れられるイメージがなくて。実際やってみてめっちゃムズかったんですけど、完成したのを聴くと"めっちゃいいな"と思うんで、ドラマー的にすごい楽しかったっていうか(笑)、やりたいことができたんで嬉しかったです。