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INTERVIEW

Japanese

World's End Super Nova

2023年10月号掲載

World's End Super Nova

Member:ツモト アキ(Vo/Gt)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

2014年12月に無期限活動休止したバンド NOAのギター&ヴォーカル、ツモトアキが新たにバンドを始動させてから8年。World's End Super Novaが初の全国流通盤『EHON』を完成させた。初期曲から新曲までを収録した名刺代わりの1stアルバムをきっかけに、バンドの活動規模はさらに広がっていくことだろう。現時点での集大成と言える作品を完成させた今、ツモトはどんなことを感じているのか。Skream!初となるインタビューでは制作エピソードを訊くとともに、作詞作曲のほか、イラストを描くのも好きだというツモトの創作のメカニズムに迫った。

-World's End Super Novaは、ツモトさんが以前所属していたバンド、NOAが無期限活動休止になってから始まったバンドですよね。当時はどういう想いでバンドを始めたのでしょうか?

"バンドをやめる"という選択肢が自分の中になかったので、新しいバンドを始めたのは自然な流れでした。前のバンドはツイン・ヴォーカルで、メロコアのバンドだったんですよ。歌詞は基本的に英詞で、ちょっとずつ日本語の曲が増えていったんですけど、そこで日本語で歌うことの楽しさ、奥深さにどっぷりハマりまして。もともとくるりが好きやったし、ギターを始めたきっかけもASIAN KUNG-FU GENERATIONやし、BEAT CRUSADERSやHi-STANDARDももちろん好きだけど、日本語ロックも自分の根底にずっとありました。そんななかで、2014年12月に前のバンドの活動が止まったので、自分が思い描いていた"こんなバンドやりたいな"というイメージを形にしてみようと思いました。

-World's End Super Novaの活動開始から8年。その間には様々な出来事があったかと思います。ツモトさんはこの8年をどう振り返りますか?

僕の性格が難しいのもあってメンバーが変わることもありましたけど、冒頭に言ったように"やめる"という選択肢はなくて。World's End Super Novaを続けていくためには何をしたらいいか、誰とだったら長く続けられるか、この人とであればもっと広げられるんじゃないか......とを考えながら活動してきた8年でした。コロナ禍に入ってバンド活動をしづらくなったり、もちろんしんどい時期もあったけど、今は"暗闇の中にも光はある"と思えていて。というのも、こうしてアルバムを出させてもらえる状況になったのは、コロナ禍で知り合った方の存在があったからなんですよ。

-そうなんですか。

はい。それが府中Flightの店長であるまさしさんや、今いろいろサポートしてくれているスタッフさんだったりするんですけど。コロナの影響でライヴハウスに人が来なくなった時期に、World's End Super Novaは"何かちょっとでもやれたら"という気持ちで、ライヴハウス限定の無料配布音源『夜の歌、夢で逢えたなら』(2021年5月リリース)を作りました。その音源を僕が好きなライヴハウスに設置してもらうという活動をしていたら、まさしさんが"それ面白いね"と言ってくれて。そこから今のスタッフを繋げてもらったり、コンピレーション・アルバム『to the next field 4』(2021年8月リリース)に参加させてもらう機会を貰ったりしました。コロナ禍じゃなかったら僕とまさしさんの間でここまで盛り上がらなかったと思うから、一概に悪いことばかりではなかったなと思います。

-今年に入ってからリリース・ペースが加速したのには、そういった背景があったんですね。

そうなんです。僕、もの作りはすごく好きだけど、どういうペースでリリースしようとか、誰に届けようとか、そういうところにはちょっと疎いので。アシストしてくれる人が周りに増えたおかげで、いいペースでリリースできています。

-もの作りといえば、ツモトさんはイラストもよく描いていますよね。

曲を作るのも、絵を描くのも好きです。自分の中では永久機関みたいな感じで、曲作りに行き詰まったら絵を描いて、絵を描くのに飽きたら曲を作っています。歌詞を書いていると自分の目線になりがちで、視野が狭くなってしまうことがあるんですけど、そこでいったんイラストを描いてみると"あ、こういう曲なんやな"と自分でも気づけていなかったことに気づけたりするんです。曲はもちろん全部自分で作っとるんですけど、できあがった瞬間には自分でもまだ曲の本性を理解しきれていないんですよ。絵を描いたり、ライヴで歌ったりしているうちに"あ、こいつはこういう曲やったんやな"、"歌詞のこの一節はこういうことを歌っとったんやな"と後追いでわかる。そういうことは結構よくあります。

-ここからはアルバムの話を。まずは完成後の心境を聞かせてもらえますか?

気持ち悪いと言われるかもしれないですけど、僕、自分の曲をめっちゃ聴くんですよ。なんでもないときにも自分の曲を聴くし、何かあったときにも自分の曲も聴く。完成後の今は自分の聴きたい曲、自分の作りたいアルバムを作れたなという手応えがあって、今はこのアルバムのことがかわいくて仕方ないですね(笑)。

-(笑)過去作に収録されていた曲も新曲も収録されていますね。

このバンドで初めて出す全国流通盤なので、既存曲に関しては思い入れの強い曲を選んでいったのと、新しい表現もしたくて、新曲も収録しました。とはいえ、"はかいこうせん" (※"ポケモン"の技)のような曲ばかり入れても面白くないので、カップリングっぽい曲も光ればいいなと。聴いた人に"World's End Super Novaはミドル・テンポの曲も実はいい"と思ってもらえたら嬉しいですね。最初はフル・アルバムくらいの曲数をイメージしていたんですけど、いろいろ考えていくうちに、8曲入りの、ミニ・アルバムよりもちょっとボリュームのあるアルバムに落ち着きました。活動歴が長いもんで、入れたい子(曲)たちはいっぱいいたから、(収録曲を)選ぶときはめっちゃ悩みましたね。"次は入れてほしい"って言ってる子たちが今もたくさん待機してます(笑)。

-"EHON"というタイトルの由来は?

前やっていたバンドの1作目のアルバムが"picture book"というタイトルだったので、World's End Super Novaとして出す1作目のアルバムは"EHON"というタイトルにしようと、結構前から決めていました。それは過去をやり直したいという意味ではなく、前のバンドでは他のメンバーも曲を作っていたから、当時から"例えば全曲僕が作って、曲順とかも自分で決められたとしたら、どんなアルバムにしたいかな?"と考えることがあって。自分の中では伏線回収的な意味合いがあります。

-ジャケットのイラストもご自身で描いたんですね。

そうなんです。ジャケットは文字をくり抜いたようなデザインになっているんですけど、歌詞カードの中ではイラストの全貌が見られるようになっています。CDが売れない時代だと言われていますけど、もの作りが好きな人間として、いろいろとこだわりながら日々捜索をしているので、それが誰かにとってのCDを手に取る理由になったら嬉しいなと。配信とかで音楽だけを聴いてもらうのももちろん嬉しいけど、"もっと深掘りしたいな"と思ってくれた方や、目で見て楽しめるものが欲しいという方は、ぜひCDを手に取ってみてください。

-丹精込めて作った作品がこれから世に出るということで、楽しみですね。

はい。いろいろな人に好き勝手聴いてもらえたら嬉しいです。

-好き勝手、とは?

例えば僕が悲しい気持ちでいるときに作った曲であっても、そこに誰かの思い出が重なれば幸せな曲になることもあると思うし、その人の目線で聴いてもらえるのが一番だと思っていて。僕自身、好きなアーティストの曲に対して"ホンマはどういう曲なのか、知りたいけど知りたくない"という気持ちを持っているので、歌詞で全部を説明してしまわないような、想像の余地のある曲を作りたいと思っているんです。

-なるほど。では、収録曲について聞かせてください。1曲目の「惑星と流星群」は活動を始めた頃からあった曲だそうですね。

最初に出したデモCD(2015年リリースの『星と世界と夢』)にも収録されています。やっぱりバンドを続けるほど活動の幅がだんだん狭まっていってしまいがちというか。前のバンドをやっていたときも"こういうことがやりたいけど、らしくないって言われるかな"という悩みがなかったわけではなくて。"このバンドはめっちゃ速い曲もめっちゃ遅い曲もできるバンドにしたい"、"そのために1発目から幅広げたろう"と思いながら作った、めっちゃ遅い曲ですね。SEを流す代わりに、ライヴのオープニングで演奏する曲として作りました。さっき言ったデモCDには、前半の弾き語りの部分しか収録されていないんです。だけどバンドで演奏していくうちに徐々に肉づけされて、2番ができたという経緯があったので、今回バンド・バージョンを収録することができて良かったです。

-"白熱灯惑星とミラーボール流星群"という歌詞が印象的でした。

僕、ミラーボールが好きなんですよ。ライヴでも、自分で持ってきたミラーボールをマイク・スタンドにぶら下げているくらい好きで。

-なぜそこまでミラーボールが好きなんですか?

前のバンドで"FUJI ROCK FESTIVAL'12"のROOKIE A GO-GOというステージに立たせてもらったことがあったんですよ。"フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)"の会場には自然と共存したオブジェがたくさんあるんですけど、日が暮れてから道を歩いていたら、森の中に1個だけミラーボールがあって、跳ね返った光で森全体がキラキラしている......という場所に辿り着いて。その空間がすごく好きで、音漏れを聴きながら2~3時間近くそこでボーッとしていました。そのときからずっとミラーボールが好きなんですよね。僕はその年に初めて"フジロック"に行って、錚々たるアーティストのライヴから刺激を受けたんですけど、あれ以来ミラーボールは自分にとってアートへの入り口としてのモチーフになったんですよ。だからライヴをするときにはミラーボールを持ち込みたい。そうすることで、気持ち的に入り込みやすくなるというか。